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この日の僕は、学校でもずっとモヤモヤとしていた。家庭訪問なんか、なくていいんじゃないか。なんて、考えても仕方ないし、考えるようなことでもない、くだらない感情が、ずっと付きまとっていた。
「愛斗、今日家庭訪問がんばれよ〜だりいよな〜親に何言われるかわからんもん!裕子はそんな奴じゃねえけどな」
純平が僕に寄って来る。僕は、先生を呼び捨てにするのが気に障り、モヤモヤが大きくなった気がした。まったく、嫉妬深い自分に疲れてしまう。
「愛斗は、また参加型家庭訪問なん?」
「うん、帰りに父さんくるわ、一緒に帰るっち」
僕がそう言うと、純平はテンションが上がって騒いだ。
「愛斗の父ちゃん来るん!俺今日一緒に帰ろ〜」
「いや、毎日帰りよんし」
純平と僕の家族は、すごく仲が良い。父さんは小さい頃から純平のことを可愛がっているし、母親と2人で暮らしている純平には、父さんは本当の父親のような存在なのだ。僕の母さんが死んだとき、純平は普段絶対に見せない涙を流していた。純平は、僕の家族を、とても大事に思ってくれている。
「吉田くん、ちょっとー」
2人で笑いながら話していると、先生が、純平を教室の前に呼んだ。
「なに〜裕子」
純平は、だるそうに先生の元へ向かう。僕は無意識に、聞き耳を立ててしまう。
「今日の放課後、帰る前に校門前おって!お母さんに、渡しちょってほしいのがあるけん」
校門前…。僕は、嫌な予感がした。
そして、それは的中することになる。




