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高校を出て、僕は自転車をこいでいた。必死になってこいだ。まだ春間近の冬だと言うのに、汗をかいていた。
僕は自転車を停め、長い長い坂を歩いて登る。とても長くて、息が上がる。苦しい。苦しい。
僕が来たのは、霊山だ。
息の上がる音を響かせ、木の間から、僕は大分の景色を見つめた。
僕はこの街で生まれ、この街で育った。
この街で、先生と出会った。
この街で、先生は、父さんに恋をした。
この街で僕は、失恋をしたんだ。
冬の冷たい空気は、大分の景色を澄ませている。
僕はその、冷たい空気を、一気に吸い込んだ。
僕の新しい生活が、ここから始まる。
僕は、歩き出すのだ。
きっと、先生より愛せる人と、僕は出会うのだろう。きっと、きっと。
先生、先生。
貴女が、大好きでした。




