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僕の通う学校は、家から自転車で20分くらいの所にある。県内で最低ランクの私立高校だ。僕は高校なんて面倒で、行くつもりはなかったのだけど、父さんも母さんも、高校に行けと一日に10回以上は言ってきていたので、僕はそれに負け、一番近くの高校を選んだ。仲の良い奴も居たし、まあいいか、という感じでしかなかった。だけど、僕はこの高校を選んだことで、大きな人生の転機を迎えることになった。
「瀬能くん」
校門を抜け、駐輪場に向かっていると、後ろから声をかけられ、僕は振り向いた。
「今日も遅刻せんで来たんや。偉いぞ」
担任の、斉藤裕子だ。
先生は今年28歳で、体育教師をしている。初めて担任を持ったのが、二年前の僕のクラスだった。だけど僕には、背も低めで小柄な先生が、20代前半にしか見えないし、とても担任やら体育やらを任せていいようには、未だに見えないのである。行動も、いちいち大きくて子どものような人だ。
「今日、家庭訪問の日程表配るけん。最後の訪問やなあ」
先生はそう言いながら、職員室へ続く外階段を小走りで駆け上がって行った。階段を上がるたび、フワフワした髪の毛が跳ねる。僕はそれをしばらく目で追う。
僕は、先生のことが好きだ。




