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「父さん、来たよ」
僕は学校帰りに、父さんのお見舞いに来た。
「ああ、愛斗。ごめんなあ、いつも」
父さんは、同じ病室の中村さんという、おじさんと仲良くなったみたいで、毎日楽しそうにしている。
「父さん、今日進路決めたんやわ」
僕はベッドの横の簡易椅子に座った。
「あ、そうなんか。どうするん、どこでもいいぞ」
「いや、俺さ、体育教師になるんやわ、多分」
僕は自分で口に出して、何だかむず痒い気になった。
「体育教師い?」
ああ、こりゃ反対されるか。僕はそんな気がした。
だけど父さんの顔は、とても明るくなった。
「大学、行くんか!いいやんか!頑張れ!愛斗なら出来るで」
父さんは僕以上に乗り気になった。
「中村さん、俺の息子は、将来大物体育教師や!!」
父さんは、中村さんと肩を組んで喜んだ。
「おお、良かったなあ、瀬能さん。ひぇひぇ」
中村さんは、変わった笑い方をする。
「じゃあ、頑張って勉強するんで!」
父さんの笑顔に、僕は深く頷いた。




