表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この街で、僕は恋をした  作者: めい
第四章
21/33

6


「愛斗?」


声の方を振り向くと、純平だった。


「お前、どこ行っちょったん〜裕子とラブホでも行ったんかと思ったわ!」


純平はそう言って、ヘラヘラと笑った。僕は、その笑顔で安心したような、先生の名前を聞いて苦しいような、そんな気がした。


「…愛斗?まじ、どしたん?」


純平が心配そうに僕を見た。


「純平、俺」


僕は、言葉をひとつ、ひとつ、吐きながら、涙を止められなかった。


「俺は……」


純平は、泣き出す僕を見て、動揺している。


「俺、好きだ………」


こんなにも、好きだ。


「先生が、好きなんだ……」


僕は、その場に座り込んでしまった。


「先生のことが…、好きなんだよ」


僕は、情けないくらい泣いた。純平は、僕の体を支える。


「ちょ、とりあえず、俺ん家に上がれ」


純平は僕を立たせ、家に上げてくれた。



僕は、純平にすべてを話した。先生を好きでいたこと。先生の好きな人は、父さんだということ。先生を忘れるため、友梨と付き合ったこと。昨日の夜、先生を送ったときに起こったこと。友梨と会っていたこと。


純平は最後まで、黙って聞いてくれていた。途中途中で、驚いたり、え!と声を上げたりもした。そして、少し考えたようにして、話し始めた。


「いや、しかしなあ、俺に相談してくれりゃあ良かったやん」


「ごめん、言いにくくて」


「愛斗の父ちゃんは、母ちゃんのこと、今でも大好きやけん、先生と再婚とかそんなんは無いやろ。」


「俺も、先生の恋は、叶わんと思っちょん。でも、なのに父さんをずっと好きな先生を見るのが辛い」


先生は、父さんのことを、とても好きなのだ。僕は見ていて、わかっていたし、それを再確認してしまった。


「いやー、複雑…」


純平はそう言って、頭をかいた。その様子に僕は、笑いが出た。


「なんなん、愛斗のために考えよんのぞー!」


笑う僕を見て、純平も笑った。


「ごめんごめん」


ふいに、僕の携帯が鳴った。


「ん、わりい、電話」


着信の表示を見ると、知らない番号だった。


「ん?…もしもし」


僕は電話に出た。


「県立病院ですが、瀬能愛斗さんで、お間違いないですか」


「…はい」


途端に、僕の背中を冷たい空気が走った気がした。


「お父様がトラックに跳ねられまして、たった今、運ばれました。急いで来て下さい」


瞬きが、出来なくなった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ