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この街で、僕は恋をした  作者: めい
第四章
20/33

5


夢を見た。


僕は1人、草原に立っていた。

周りを見渡しても、そこには、何もない。

僕は広くて美しい所にいるはずなのに、何だか息が苦しくて、胸を抑えている。

気付くと僕は檻の中にいた。

僕は、出口を探す。だけど、無いのだ。何もない。

僕は、どんどん苦しくなる。

僕は、逃げられない。



目を開けると、僕はベッドに寝ていた。隣を見ると、友梨が寝ている。

僕は夕べ、声にならない声を上げて泣いてた。そしてそのまま、ベッドに行ったのだ。友梨は、僕を抱きしめていた。だけど僕は、それに甘えてはいけなかった。


どうして、僕は手に入らないものばかり求めてしまうのだろう。

どうして、僕は先生をこんなに好きなのだろう。

僕は……。



ホテルを出て、僕は友梨と別れた。電車に乗り、家へ向かった。きっともう、父さんは仕事に行っている。

学校に行く気にはなれない。先生にも、父さんにも、会いたくなかった。僕は、自分の恋を、自分の手で、終わらせてしまったのだ。



家の前に着くと、玄関の扉が開く音がした。ばあちゃんかな、と思って、僕は近付いた。


「愛斗」


出てきたのは、父さんだった。


「何でまだ居るん」


僕は足を止めた。父さんには、1番会いたくなかった。


「先生送って、そんままどこ行っちょったん」


「…関係ないやろ」


「純平は、家に帰ったで、さっき。お前はどこにおったんか」


「どこでもいいやん」


「愛斗!!!」


父さんが、僕に怒鳴る。父さんに怒られるのなんて、いつ以来だろうか。


「心配しちょったんぞ。先生にも、迷惑かけるやろうが!!」


「うるせえよ!!!」


僕は言い返していた。きっと、近所に聞こえるような、大声だった。


「お前、自分が間違ったこと、してないっち思っちょんのか」


父さんが僕に近寄ってくる。


「父さんに…何がわかるん。俺の欲しいもん、父さんにはわからんやろうが!!先生のことも、何も知らんくせに…先生が、俺のことなんか心配するかよ!!」


僕は、完全な八つ当たりをしているのだろうか。恋敵の父さんに、僕はただ吠えることしかできない。父親には敵わない。それは、確実なことだ。だけどそれが、こんな形で分かるなんて、残酷すぎる。


僕は、走っていた。


「愛斗!!!」


父さんの呼ぶ声がしたけど、僕は構わず走った。逃げたのだ。また、僕は。自分の思いと向き合うことから、逃げているのだ。父さんが、追いかけてきている気がした。僕は振り向かなかったけど、何となく、それが分かった。


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