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短編集  作者: 紅もみじ
1/9

@言い訳だろうか

こちらは

若干俺様生徒会長×腐男子チャラ男

です。

R15程度。

 橙に満たされた世界で一人、携帯を見つめてにやけている俺、岡田誠也は腐男子である。高校から王道ともいえる環境が出来上がったこの学園に入学し、生まれ持った顔立ちの良さから生徒会の会計という職についている。緩いノンケチャラ男な性格で通し、半年間で生徒会にも溶け込んだ。

 つい先ほどまでも生徒会の仕事をしていたのだが、用事があるとかで一緒に作業をしていた生徒会長が出て行ってしまったため、現在この広い部屋に一人でいる。

 これはしめたと思って携帯電話を開いたのは性。息抜き息抜きとは良い言い訳。登録してある素敵サイト様の新作をぽつぽつ読んでいた。

 

 ……そこまでは記憶がある


「あ、あのぉー。……返してもらえないかなぁ~?」

 俺の携帯を(詳しくは映し出された画面を)がん見する生徒会長こと相模拓斗。

 ……どうやら俺は画面をそのままに眠ってしまっていたようだ。気がついた時には彼が俺の目の前で画面を見つめていた。状況を把握して顔面蒼白になった。

 腐男子バレするということはつまり、彼らをそういう目で見ていたということが露見するということ。せっかく今まで円滑に進んでいた関係が崩壊、または嫌悪か。とりあえずいい方に転がる目星は全くない。

 ちょっと前の俺を心底恨めしく思いつつ、返してもらおうと片手を伸ばした。

「ちょっと~相模ぃ~?」

 そう言って下から見上げると、相模が俺へ目を向けた。怪しく光る両眼を。

「……っ?」

 感情が読み切れず俺は体を強張らせる。

 彼の瞳から俺を嫌悪する感情は感じない。そのことに安堵しつつも、何か怒りに似た色が見えた気がした。

 俺は彼を見上げたまま硬直する。彼の手の中にある携帯を取って投げ捨てたくなった。

「はっ、お前にこんな趣味があるとはな」

 相模は俺から顔をそらし、嘲笑うようにそう吐き捨てた。にんまりと笑まれ、ただでさえ悪くなっているであろう顔色がさらに悪化する。

 胸が苦しくなる。誰かに知られるなんて考えてもいなかった。ましてやこんな横暴な奴に。

「……だからなんだ。返せよ」

「ふん。お前らしくないな。知られたくなかったか?」

 素になった口調に鼻で笑われ、分かり切った質問を投げかけられる。

 苦しくなった胸の内に沸々と怒りがわき上がる。不注意だった自分への自己嫌悪を相まって、一気に頭に血が上った。

「うるさいな!返せ!」

「おっと」

 勢いよく立ちあがって、机越しにあった体に手を伸ばした。するりと避けられて余計頭にくる。十センチ弱の身長差が恨めしい。180越えとかこいつがでかすぎる。俺は机を乗り越えて携帯を持った腕を掲げる彼に飛びかかった。

「あぶっ」

「げ!?」

 勢いがよすぎた。

 天地が回った後に、何かを打ち付けた音がした。僅かにうめいて片目をあけると同じようにしている相模と目があった。

「え?えっ!?」

 ……俺が押し倒したみたいになってる。俺じゃなかったらおいしい状況なのに。と、脱線する思考に渇を入れる。携帯はどこだ。

「いってぇな」

「お前が悪いんだろ!!」

「変なもん読んでっからだ」

「~~っ!うるさい!」

 俺は湧いてきた羞恥に目を背けて、視界の端に捕えた目的へと腕を伸ばした。

「ひゃっ!?……なにすんだ」

 あろうことが俺の脇腹へ彼は手を入れていた。

 俺が弱いの知ってんだろうが。……体制が悪すぎる。

 俺が腕を伸ばしたことで上体がこいつの顔の真上だ。しかも左腕は自分の体を支えるので手一杯。

 何も答えない相模をじと目で睨み、まずは取り返すことが第一と腕をさらに伸ばす。

「と、取った!」

 携帯を奪い返し、彼から退こうと体を引いた。

 が、エビみたいに沿っただけで、起こすことはかなわなかった。

「なんだよ!」

 腰にがっちりと回った彼の腕を外そうと体を捻る。

 ほんとにこいつは何がしたいんだ。こんなとこ誰かに見られでもしたら、あらぬ誤解をされそうだ。

 誰かが来る時間でも場所でもないと理解しながら、恐怖に似た焦りに駆られて彼の腕をべしべし叩いた。しかし一向に外れる気配はない。なんつー力だ。ききやしない。

「お前さ」

「は?……へ」

 がしと肩を掴まれて瞠目する。その隙に世界が反転した。

 なんだこの体勢は。さっきの体制もおかしかったけど今はもっとおかしい。俺の上に相模がいる。

 彼が俺の頭の真横に肘をつき、顔を寄せた。

 目を瞠って体を固めた俺の手を、相模が掴んで無理やり指を絡めた。

「!」

 ……不覚にも、どきっとしてしまった。

 さっきとは違った意味で顔に熱の集まるのを感じる。

 透き通る群青の瞳が俺だけを映し出す。ひんやりとして相手を畏怖させる、その瞳が不意に優しく細められた気がした。吸い込まれる。そう錯覚した。

 こいつは、俺をどうしたいのか。そもそもどうしてこんな状況になった。混乱する頭でもう何も考えられない。ただ見つめてくる彼を見つめることしかできなかった。

「ばらされたく無きゃ、俺の物になりな」

「……え?」

 耳を疑った。反射的に聞き返すも、答えは望んでいない。混乱がひどくなるだけだ、幻聴だと思いたかった。

 あいた口が塞がらないとはこのこと。俺の顔がよほど面白くなっていたのか、相模がくすりと笑った。元からいい顔がこれまた妖艶に笑みを作る。その顔と、今しがたの言葉が結びついて、一気に頬が熱くなる。

 これは、そういう意味だろうか。

「ばらされてもいいなら、断ってもいいぞ」

「な……っ」

 そんな甘い声音を耳元で囁かないでほしい。

 ぞくりとしたモノが下に伝わって、良く読む小説の彼らの気持ちがわかった気がした。

 二次元に置き換えたら、今の俺の状況はどう形容できるだろうか。最悪の場合……。はっとして現実が怖くなった。

「どうする?」

 相模は明らかに色を含んだ声でささやく。

 断って俺が腐男子だとばらされるか、彼の物になるか。究極だが、実際俺に選択権など無かった。

 彼に色気に充てられて、俺の体は火照ってしまった。

 これは、言い訳だろうか。


やってみたかった短編投稿www

読んで下さりありがとうございます。



ちょっと語っちゃうと、

腐男子がばれちゃったらどうなるだろう。

というところから妄想が膨らんで、きっとそれを弱みにされるんだと思いたってできたもの。


岡田君は典型的な偽チャラだけど、遊んではいない設定。女としかやったこと無くて、見るのは好きだけどやりたいとは思っていないノンケ。でも嫌悪は無いし、男を見てかっこいいと思うこともあったり。

基本が純粋で緩いから。

一方相模は半年のうちに岡田君が好きになってしまっていたという設定。でもノンケって知ってるし、下手に伝えて嫌われるのを恐れていたという、弱虫な一面があったりするwww

普段横暴で俺様に見えるんだけど、嫌われるようなことを自らしないから、周りからの信頼は熱い。


というような設定でした。


最後に僭越ながらリクエストなどありましたらメッセか感想にてお願いします。また評価など頂けると嬉しいです。

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