5.特訓開始!
ミオザ村へと引っ越した俺は、荷物を家に置くやいなや、サカキさんに呼び出された。
サカキ「よーし!さっそく特訓じゃ!」
サーヤ「おじいちゃん、あんまり無理しないでね...」
アレス「よろしくお願いします!」
サカキ「それじゃ、まずは、腕立て10,000回、V字腹筋5,000回、スクワット5,000回からじゃ!」
アレス「ふぁ!?」
サーヤ「ちょ、ちょっと...いくらなんでも厳しすぎると思うよ。」
サカキ「何を言っておる!こいつは死なないんじゃろ?容赦なく鍛えた方が、こいつのためじゃ!」
…ぞんざいな扱いを受けるのは、相変わらずか。でも...
アレス「...わかりました!がんばります!」
その分俺のプラスになるなら、やりがいがあるというものだ。
…3時間後....
アレス「も、もう無理...」
力を使い果たした俺は、床に倒れ込んだ。
サカキ「何をへこたれておるんだ!まだ腕立て1,000回からやっておらんではないか!」
サーヤ「いや、無理でしょさすがに...」
サカキ「まったく...死なないというから、永遠に動けると思っていたんじゃが...」
何度も繰り返すが、不死なだけで、人並みに痛みや苦しみは感じる。というか、腕立てでは人は死なないので、俺の能力の範囲外だ。
アレス「ちょっと休ませてください...」
サカキ「ふん、それじゃあ、今日はこれで終わりじゃ。明日も同じメニューをするからな。」
アレス「は、はい...」
そうして家に戻った俺は、ベットに倒れ込むように横になり、しばらく動けなかった。
アレス「いたた...もう筋肉痛が襲ってきたよ。」
サカキさんのスパルタ特訓がこれからも続くことに恐怖を抱いていた中、玄関のドアを誰かが叩いた。
コンコン
アレス「ん?誰だ...?」
そして、玄関のドアを開けると、サーヤさんが立っていた。
サーヤ「こんばんは、今日はお疲れさまでした。おじいちゃんがずいぶんスパルタだったので、気になっちゃいまして…」
アレス「はは…鍛えてもらえるだけありがたいです。」
サーヤ「差し入れを持ってきましたから、よかったら食べてください。」
そう言って、サーヤさんは魚料理が盛り付けられた皿を差し出してきた。
サーヤ「近くの海で、おじいちゃんが釣ってきた魚なんです。」
アレス(そういや、疲れて何も食べてないな…)
アレス「美味しそうですね、ありがとうございます。」
サーヤ「いえ、おじいちゃん年甲斐もなくかなり張り切っていますけど、無理しないでくださいね。あと…今更ですけど、お名前を教えてもらっていいですか?」
アレス「…あ、そう言えば言っていませんでしたね。アレスって名前です。」
サーヤ「アレスさん、今後ともよろしくお願いしますね。」
そう言って、サーヤさんは自宅へと戻っていった。その後、俺はサーヤさんの差し入れをありがたくいただいた。
アレス「うまい!これがあれば明日からがんばれる…と思う。」
…サーヤの自宅にて…
サカキ「あの子に差し入れを持って行ったのか?」
サーヤ「うん。あと、名前も聞いたわ。アレスさんだって。」
サカキ「アレス…?」
そう言って、サカキさんは何かを考え込む様子を見せた。
サーヤ「おじいちゃん?どうしたの?」
サカキ「いや…彼の故郷の名前とかはわかるか?」
サーヤ「ううん。そう言ったことは聞いていないけど…」
サカキ「そうか…」
サカキ(まさか…)
翌日、サカキさんの稽古を受けるため、サーヤさんの家に訪れた。
アレス「いてて…筋肉痛がまだ残ってるよ…」
サカキ「おはよう。孫から聞いたんじゃが、名前はアレスらしいの。」
アレス「あ、そうです。すみません、今まで名乗らなくて。」
サカキ「いや、こっちも聞いていなかったのも悪いが…アレスはどこの出身じゃ?」
アレス「フィオル村です。」
サカキ「!!…ちなみに、両親はどうしている?」
アレス「それが…僕が物心つく前に、行方不明になってしまったみたいで…両親の記憶すらありません。」
サカキ「……そうか。」
アレス「あの…サカキさん?」
サカキ「ああ、すまん。それじゃ、今日も特訓をしていくぞ。」
サカキさんの様子に違和感を覚えたが、その後の強烈な特訓メニューに頭がいっぱいで、違和感のことを気にする余裕はなくなった…
特訓終了後…
アレス「はあ、はあ…」
サカキ「今日は昨日よりはマシじゃな。明日もあるから、帰るといい。」
アレス「は、はい…ありがとうございました…」
フラフラと家に帰る俺の後ろ姿を、サカキさんは神妙な顔で見つめた。
サカキ(グレンの息子か…奇妙な縁があったもんじゃわ。)




