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少女は運命に殺された  作者: Philia
Chapter1
17/18

Ep.15

「今日は皆でゲームをしないか!?」


 偶然、食堂で全員が同じタイミングで食事をしていた中、ウミが声をあげる。


「ゲームですか!? 楽しそうですね!」


 相変わらず、サクラがまっさきに反応した。

 ヒカリが殺され、リリィが処刑されてからすでに数日が経っていた。

 サクラの明るい様子や、ウミの献身的なメンタルケアもあり、皆ある程度回復してきていた。


「私は……医務室で……」

「今日だけはダメです!」


 キヨが逃げようとするが、サクラが捕まえる。


「私にはわかりますよ! キヨさんいま実はめちゃめちゃ体調いいですよね!」

「ギク」


 サクラの言う通り、キヨの体調は過去一番と言っていいほどであった。


「キヨ君、それは本当かい!?」


 ウミが嬉しそうな声でキヨに駆け寄る。

 その様子に、キヨは嫌そうな顔をしながらも答える。


「私は……人と遊んだことなんて……ないから……迷惑に……」

「迷惑だなんて……ありえない」

「そうですよ!」


 キヨの言葉を遮ったのは、ヒビキとノノミだった。


「そうだぜー。こういうのは一緒に遊んだほうが楽しいんだよー!」


 続けて言葉を重ねるのは、ケイである。

 皆、あまりキヨと積極的に関わったことはない。だが、皆がキヨを心配し、気にかけていることだけは事実として存在するのだ。


「一緒に遊ぼう! キヨちゃん!」


 ヒナタも、その気持は同じだった。


「そ、そこまで言うなら……」


 そうして、皆はキヨを遊びに誘い出すことに成功したのだ。



 †



 場所はレクリエーションルーム。

 そこでは、一つのトーナメント表が描かれていた。


『激戦! 大富豪最強決定戦!』


 十一人の少女が、3人,3人,3人,2人,に分かれ、トーナメントに張り出されていた。


 まずはAブロックの最初の三人……柊ヒナタ、狩谷ユイ、白石マコトだ。

 ローカルルールは八切り、革命のみの少なめの構成だ。

 そしてまもなく、戦いの火蓋が切られる。


 ヒナタの初手のカードは強かった。


 3,4,4,7,7,8,8,9,9,9,10,10,Q,A,A,A,A,2,2,


 ヒナタはじゃんけんに負けたため一枚多いが、代わりに先行である。


「この勝負! もらったよ!」


 そうしてヒナタは3を出し、ヒナタ、ユイ、マコトによる三人の白熱したバトルの始まりを告げた。



 二十分は過ぎただろうか、もう少女たちのカードの残りも少なくなってきていた。


「やった! あーがり!」


 そしてついに、決着がついた。

 勝者は、ユイである。


「ま、まけたぁぁぁぁ……」


 ヒナタによる革命のあと、ユイによる革命返しがあった。

 そこで、ヒナタの戦略はすべて瓦解してしまった。

 ヒナタは自身の革命がまさか返されると思っておらず、高いカードを序盤に使いすぎていた。


「ヒナタさぁ、あんな高カードをポンポン出してたらそりゃ革命警戒するっての」


 ユイからのアドバイスが入る。

 ユイにとっては、ヒナタのカードの使い方から、おおよその予測がついていたようだ。


「Aブロックはユイ君が勝って……次はBブロック!私、アズキ君、そしてヒビキ君だね、お手柔らかにお願いするよ」


 つづけて、Bブロックの対戦が始まる。対戦カードは山田ウミ、鳴神アズキ、そして桑原ヒビキだ。

 ヒナタは負けてしまったが、アズキのことをさも自分かのように応援している。

 ルールは変わらず、八切りと革命のみだ。


「それでは……始めよう!」


 ウミの一言と出された4のカードにより、試合が始まった。

 アズキ、ヒビキも順調にカードを出していく。

 先程のAブロックでの長丁場とは違い、今回は十分程で各プレイヤーのカードの枚数は五枚を切っていた。


「この勝負、私の……勝ち」


 ヒビキがそう呟く。皆が疑問に思う直後、その結果は現れた。


 8,8,2,A,そして3。

 連続の八切りと、最後まで残していた高カードによって、ウミとアズキのパスを誘い、そのままフィニッシュした。


「まさか、ヒビキ君は強いね!」

「負けた……」


 ウミは感嘆し、アズキはショックを受けている。

 アズキの手札をみれば、Q,Q,K,そしてAが残っていた。

 少しでも流れが違えば、アズキが勝利していたかもしれない。だが、すでに出されていたカードをすべて把握していたヒビキは、その上を行ったのだ。

 ちなみにウミの手札は3,6,10,Qである。絶望だ。


「ふむ、ではBブロックの勝者はヒビキ君ということで、次はCブロック!」


 つづけて、Cブロックの面々が立ち上がる。楠サクラ、佐々乃ノノミ、雪宮ルゥの三人だ。


「よろしくおねがいしまーす!」


 元気なサクラと気弱なノノミ、そしてどちらかといえば寡黙なルゥ。

 全く属性の違う三人だが、結果はどうなるのか。

 そう少女たちが予想していたが、結果は思ったよりも早くに現れる。


「サクラちゃん……」


 ヒナタが思わず呟く。開始してからおよそ五分。あまりにも早い。それなのにサクラの手札は、すでに残り二枚となっていた。


「これで終わりです!」


 サクラが8を出し八切り。そしてそのまま2を出してフィニッシュした。


「早いよぉ……」

「……」


 ノノミが泣き言をいい、ルゥが恨めしげにサクラを見つめる。


「あはは、運が良かっただけですよ!」


 そういって視線を受け流し、ウインクまでしかえす。


「圧倒的、だったね……」


 サクラの動きには一切の無駄がなかった。素人目からそう見えてもおかしくないほどに、サクラが圧倒的であった。


「そ、それじゃあ最後にDブロック! ケイ君とキヨ君だ!」


 人数の関係で、最後はタイマンだ。

 ケイとキヨがそれぞれカードを受け取る。


「よろしく~」


 そのケイの声と同時に、試合は始まる。二人なので、先程よりもそれぞれの持つカードの量が多い。

 ふたりは苦戦しつつも、順調にカードを減らしていく。

 そして激闘すること二十分。ついに終わりの時が来た。


「こ、これで終わりです!」


 キヨが最後の一枚を出す。これにより、キヨの手札がなくなり、勝者が決まった。


「勝者、キヨ君!」


 先程の圧倒的な試合とは違い、接戦というにふさわしかったその試合は、観戦者の心も掴んでいた。


「ぐえ~負けたー!」


 負けてしまったケイも、どこか清々しいような、気持ちよさそうな表情を浮かべていた。


「よし、ブロック戦もすべて終わったことだし、決勝トーナメントだ!」


 ウミが、いつのまにやら何処かで見つけた短い棒を、マイクのように握っている。完全にノリノリだ。


「Aブロック勝者、狩谷ユイ選手! Bブロック勝者、桑原ヒビキ選手! Cブロック勝者、楠サクラ選手! Dブロック勝者、清水キヨ選手! いざ、決戦の舞台へ……」


 呼ばれた四人が、戦いの舞台へと進む。

 ある少女は堂々と、ある少女はゆったりと、ある少女は元気に、ある少女はおどおどと。

 全員が揃い、そして……戦いの火蓋が切られた。

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