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少女は運命に殺された  作者: Philia
Chapter1
10/18

Ep.9

 一週間がたった。

 その日はよく眠れた。

 自身の部屋の時計を見れば、すでに十時を迎えていた。


「寝坊、したなぁ」


 ぼんやりとした思いでヒナタは呟く。

 日は入ってきていないはずなのに、まるで日光浴をしたかのような気分だ。

 とても平和で優しい気持ち。

 そんな気持ちは、今日ここで打ち砕かれることとなる。


「きゃあああああああぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁっぁぁ!!!!!」


 耳をつんざくような悲鳴が牢屋全体に響く。

 その声に驚いた少女たちは飛び起きた。

 その中にはもちろん、ヒナタ自身も含まれる。


(なにが……あったんだろう)


 尋常ではない悲鳴に、背筋が凍る。嫌な予感が脳裏を駆け巡る。


「ヒナタさーん、起きてますよね? 行きましょう!」


 気づけば、牢屋の外では自分のことを呼んでいるサクラがいた。そばにはアズキが控えている。


「う、うん」


 軽く支度を済ませて牢から出る。

 悲鳴が聞こえたのはすぐ近くだ。


「皆、集まったか……」


 すでにウミ含む全員がとある牢屋の前に集合していた。

 ……いや、一人だけいない。


「あ、あ……あぁ……」


 サクラの影でアズキが嗚咽を漏らす。

 それも仕方がないことだ。

 そこに有った凄惨な状況は、アズキにも……いや、そこにいる全員にとってショックなものであった。


 血だ。

 血溜まりがそこにはあった。

 布団と床、どちらも大きく血が滲みており、一人から出るなら明らかに死ぬレベルの血だ。

 そしてそこから血の跡が、一階へと続いていた。

 皆は、その血を辿るように一階へ向かう。

 血は、リビングへと続いていた。

 そして、そこで少女たちは先程の比にならないショックを受ける。

 そこにあったのはヒカリの死体だった。

 茶色の美しく長い髪は乱れている。

 心臓部分に刺されたような傷があり、顔は無惨にも切り刻まれている。

 あまりの損傷に、その瞳が、口が、表情が、どうなっているかすらわからなかった。

 凶器は残っておらず、おそらく止血しようとしたのか、血で染まったカーテンが床に落ちていた。


「ああぁぁぁぁあああぁぁぁぁ!」


 キヨが大きな声を出して泣いた。

 肩が激しく揺れ、全身で泣いていた。

 その紺色がかった長い髪が、床の血に触れすこしだけ染まる。

 その涙は止まる様子がなく、永遠に続くかのようだった。

 そんな中、全員の携帯に通知が入る。


『さて、皆さん揃いましたね。悲しいことに、人がひとり死んでしまいました。悲しいですね。恨めしいですね。ですので、犯人を処刑する裁判を開きます。今が十時なので……そうですね、十四時にしましょうか。時間になれば、皆さん二階から裁判所へと向かってください。その間に犯人を特定する証拠でも見つけておいてください。もしも来なければ……まぁ無理矢理にでも連れてきちゃいますけどね』


 クモからのメールだった。


「犯人を……見つける……?」


 ウミがつぶやく。


「それってさぁ、つまりこの中に殺人鬼がいる、ってことなんじゃないの?」

「そういうことになりますね!」


 ケイの返答に、サクラが反応する。


「君たち……この中に犯人がいると思っているのか!?」


 その軽薄な態度に、ウミが声を荒げる。


「いえいえ、客観的事実を述べたケイさんに賛同しただけです! 気を悪くしたならごめんなさい」

「いや……すまない。私も冷静ではなかった」


 サクラの謝罪に、ウミも冷静ではなかったと謝罪する。


「とりあえず、一旦情報をまとめよう」


 そう言ってウミはその場から立ち去った。おそらくは一人で現状を受け止めようとしていた。

 それにつづいて、他の少女たちもその場から去っていく。


「ヒナタさん、アズキさん、私たちはどうしますか?」


 サクラは、最後に残ったヒナタとアズキに判断を任せるようだ。


「私も……調査をするよ。こんな事があって、黙っていられない」

「私も同じ気持ちです……」


 アズキはこの一週間で随分と打ち解けてくれた。ウミたちとはまだ話したことがないが、この調子で行けばすぐに打ち解けることができるだろう。


「決まりですね! ではまずは情報整理から始めましょう!」


 そう言ってサクラはスマホを取り出す。


「サクラちゃん、そのスマホは……」

「これには、メモ帳アプリがありますよね? 実は私、皆さんの能力をメモしてたんです!」


 そう言って、誇らしげにスマホを見せてくる。

 そこには、各々の選ばれたカードと、この一週間で判明した大まかな能力が記載されていた。


「今回の犯行、総合格闘技経験者のヒカリさんが被害者です。つまりは、普通の私たち程度では返り討ちにあうのがわかっているんですよ。ここからわかるのは、今回の事件はズバリ、能力が一枚噛んでると思います!」


 反論の隙がなかった。

 たしかにヒカリは総合格闘技経験者だ。ここにいる少女では、ただ殺すことは不可能だろう。


「怪しいものは写真にとって、証拠に残して行きましょう!」


 このスマホは検索も何もついていないが、カメラやメモ帳など、事件が起きたときに便利なアプリならしっかり入っているようだ。

 ヒナタはスマホを握りしめ、調査を始める……

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― 新着の感想 ―
遂に人が死んでしまった……。 これからの展開を想像してワクワクしてしまいます。
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