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事故に遭いました~俺って全身不随?でも異世界では元気ハツラツ?  作者: サクラ近衛将監


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1ー9 刺客の処置と、治癒師と薬師

 樹木に刺さっていた毒矢二本を回収し、近くにあった(つた)を利用して男たちを捕縛した。

 凶器となった弓矢と毒矢が入っている矢筒、柄を切られた槍、それに剣をも回収し、ついでに男たちの懐などを改めて、凶器になりそうなものを全てと、ついでに持ち金も押収して俺の亜空間倉庫に放り込む。


 丸腰で捕縛された男達をこのまま放置すれば、間違いなく魔物か獣に襲われて死ぬだろうな。

 こいつらには聞きたいこともあるし、やっぱ、ギルドに連れ帰ろう。


 そんなことで、近くの樹木を使って三人を運ぶ道具を造ったよ。

 大したもんじゃない。


 大八車も時間を掛ければ作れないことは無いだろうけれど、急場の時は、樹木の枝を何本か束ねて、その上に荷物を乗っけるだけで、後はそいつを引きずって帰ればいい。

 これって確かアメリカ・インディアンの古い輸送方式じゃなかったっけ?


 二本の棒に荷物を結わえて、馬で引きずるだけの簡単な輸送方法だ。

 此処には馬もいないから俺が引きずるしかないんで、チョット力が居るんだけれど、身体強化をしていれば三人ぐらい楽に運べるんだ。


 ずりずりと、引きずった跡を残しながら町まで戻ったよ。

 三人の男は引きずられることで多少の擦り傷や打ち身ぐらいはできたかもしれんが、放置されて死ぬよりはましだろう。


 ギルドに戻り、ギルマスに訳を話して、押収品を渡すとともに、取調べをしてもらうことにした。

 尤も、最終的には町の衛士に引き渡すことになるだろうが、その前に背後関係を是非に聞いておきたいと思っている。


 夕刻になってどうにも(らち)が明かないらしく、衛士に渡すと言うので、その前に俺が尋問をやらせてもらったよ。

 俺もこれまで扱ったことの無い闇魔法を試験的に試してみる。


 で、びっくりするほど簡単に闇魔法が効いて、三人とも簡単に吐いた。

 男三人、教会の僧侶に頼まれた刺客だという。


 それに、こいつら冒険者じゃなくって、闇ギルドの構成員らしい。

 察するに俺のギルド内の診療所が、教会の商売敵として仇になったのだろう。


 何せ協会が非公式に掲げている治癒魔法の代金(彼らはお布施と称している。)に比べると破格に安い治癒代金で商売をしているのだから、彼らの収入が激減しているはずだ。

 通常の僧侶ならば、重傷者を一人治せるかどうかぐらいの魔力しか持っていないから、通常一人の患者を診たら、後の治癒はしないというのが当たり前らしいのだ。


 そんな常識に反して、俺は一日に十数人を治癒することもできる底なしの化け物だからな。

 カルヴィア以外にそんな治癒師は存在しないのだが、教会に属する治癒魔法を行使できる僧侶にとっては死活問題なのだ。


 カルヴィアには教会は一つだけ。

 この国の主な宗派は三つ、それぞれにライバル同士ではあるんだが、教会組織同士でカルテルでも結んでいるのか、各街に一つしか教会を置かないようだ。


 だから、この場合刺客を送り込んだ先は、カルヴィアの街にあるセントクラウン教会に間違いない。

 ここから先は、騎士又は衛士の仕事になるはずなんだが、さて、ちゃんと彼らが動いてくれるかな。


 彼らが賄賂でも貰っていると面倒なことになるかもしれない。

 翌日、セントクラウン教会に居る三人の僧侶のうち一人が衛士に捕縛された。


 容疑は殺人教唆(きょうさ)であり、この地の領主の元に連れて行かれ、十日後には三人の刺客と共に鉱山送りになったよ。

 思いのほか司法機能はしっかりしているらしい。


 因みに鉱山送りというのは(てい)の良い終身刑な。

 教会の僧侶と三人の刺客達は、間違いなく鉱山で死ぬまで働かされる。


 治癒能力を持った元僧侶(判決が出ると同時に教会組織からは破門されている)は、おそらく鉱山で魔力が尽きるまで受刑者の治癒をさせられるはずだ。

 乏しい栄養しかない受刑者の食事でいつまで身体が持つかが問題だ。


 三人の刺客に与えられる鉱山での重労働以上にきつい仕事かもしれないな。

 この判決の二月後、カルヴィアの教会は人員を縮小した。


 これまでいた教会職員全てを別の街へ移動させ、カルヴィアの教会には中央から神父一人が送られてきたのである。

 この神父は、治癒能力を持たないが、祝福や催事を執り行うことができるので、信者の求めに応じて慶事、弔事を請け負うようだ。。


 まぁ、多額のお布施を強要するようなのじゃなくって良かったよね。

 治癒魔法では俺のライバルにはなれないとみて、カルヴィアから撤収したんだろうな。


 その代わり俺の仕事が間違いなく増えることになった。

 教会が治療行為をしなくなったから、その分が俺に全部回って来たんだ。


 まぁ、それでも今のところはこれまで通り、午後からの診療で十分に間に合う程度の患者だよ。

 但し、疫病とかが流行した場合は、俺一人じゃとっても無理かもな。


 一応昔の歴史を調べたところ、多数が感染するような疫病が発生した場合、薬師連中と教会が協力し合って疫病の拡散を防ぐらしいけれど、生憎と教会の治癒師は基本的に創傷の治癒が主で有って、病気治療には向かないんだ。

 教会でも二百年に一度現れるかどうかという聖女の場合は、病気も場合によって治すことができたと記録にはある。


 所謂病気の場合には、薬師が主力なんだ。

 但し、疫病の場合は、一般的に対抗薬を作れていないから、薬師でも中々対応できない。


 とどのつまりは、状況にもよるが、疫病の発生した集落や村を封鎖隔離し、誰も出さないようにして見殺しにするのが結構史実ではあるようだ。

 ところが、俺の場合は、病気もある程度治してしまっているんだ。


 だから、実は薬師ももしかすると減収になっているかもしれないな。

 これまで余り効かない薬で儲けていた連中ではあるが、その職を奪うつもりは無くっても、その内おまんまの食い上げになりそうだな。


 仕方が無いから、そうなる前に対策を講じてやろうとは思っている。

 俺も闇夜に背後からナイフで刺されたくはないからね。


 薬師と協力関係になればいい。

 俺の能力で薬も作るんだ。


 但し、そのためには薬師ギルドに入らねばならないらしい。

 薬師ギルドの会員になっていれば薬は作り放題だし、それを他の薬師に販売しても良いらしい。


 これが進むと21世紀の薬局と同じで、既製品を売るだけの店になってしまうけれどね。

 俺が製薬会社で、街に居る薬師はただの薬局の親父と言う訳だ。


 彼らだって立派な仕事がある。

 医者が居ればそれに越したことは無いが、医者が居ない世界では彼ら薬師が症例に合う薬を出してあげるんだ。


 患者さんは、それを信用して薬を買い、服用する。

 今でも調剤を行いながらそんな役割を担っているわけだから、収入は多少減っても生きる術にはなるはずだ。


 問題は俺が薬師ギルドに所属するためには、カルヴィアではなくって、少し離れたザッセンハイムまで遠出しなければならないことだ。

 カルヴィアからザッセンハイムまで、馬車で三日かかるんで、試験を受けて即日合格するとしても少なくとも7日間は俺が不在になることがちょいと問題かな。


 で、ギルマスに相談してみたよ。

 すると意外な手を教えてくれた。


 薬師については、出張鑑定ならぬ、出張試験を受けることができるらしい。

 但し、出張試験は金がかかる。


 何しろ試験員の旅費滞在費を全て負担した上で、受験費用も払わねばならないらしい。

 最低でも大金貨二枚がかかるようなんで、まるでぼったくりだよな。


 だからお貴族様とか大商人の子息でもない限り、出張してもらって試験を受ける者は居ないらしい。

 大金貨二枚と言えば日本円で400万円以上になる?


 ひょっとして私立大学の入学寄付金よりも高いよな。

 裏口入学はもっと高いという噂もあるけどね。


 俺の財産は今のところ大金貨二枚と少しの小金貨があるんで何とか足りるんだが、これだけの出費があると流石に痛いよな。

 仕方が無いから、せめて俺のインベントリで大金貨が四枚になるぐらいまで貯めてから、出張試験の必要経費等の額を確認しよう。


 ケントには古代遺跡の知識もあるし、薬師になるための十分な能力はあると思っている。

 少なくとも自分用のポーション各種は自分で造って持ち歩いているからね。


 市販されているモノと比べれば、間違いなくワングレード以上効果が上のはずだ。

 但し、ある意味で無資格だから、こいつを他人に売ったりはできないんだよ。


 自分で使う分には構わないけれどね。

 そういや、ギラン爺ちゃんにやったポーションもちょっと怪しいかも。


 一応調べたら、この世界では、自家製の薬等を家族に使う分にはお(とが)め無しらしいから、その点は少し規制が緩やかだね。

 江戸時代の日本なら確かにそんなこともあったかもしれないな。


 因みに俺の今の稼ぎは、日によって違うけれど、概ね1日について平均で大銀貨二枚から四枚程度だな。

 従って、10日で大銀貨20枚から40枚程度、一月では小金貨6枚から12枚程度になる。


 最初の頃は、一日では平均小銀貨3枚かそこらぐらいだったけれど。

 今は診療所の収入が結構大きいんだ。


 更に、偶にレアな魔物なんか討伐した時には、小金貨三枚~五枚になることもあるんだぜ。

 そのおかげで、今は日々の生活費を使いながらも、大金貨二枚と小金貨五枚ほどが手元にあるというわけだ。


 だから大金貨四枚を準備するには、もう半年ほどかかるかもしれないな。

 これ以外の金儲けでは魔道具を造るってのもありだけれど、こっちも実は錬金術師のギルドに入らないと勝手に魔道具を造れないようなんだ。


 何でも昔、勝手に魔道具を造って住んでいた町の広範囲を吹き飛ばした(やから)が居たらしい。

 そのために国王陛下の勅令で、錬金術師ギルド会員以外の者が魔道具を造ることを禁止しているようだ。


 そのあおりを受けて、魔道具を造る時点では、必ず錬金術師ギルドに登録していなければならんようだ。

 ついでに魔法師ギルドだが、こっちは規制が緩いな。


 そもそも魔法を使うのに制限などない

 その変わり、何らかの被害を生じた場合には、魔法を使った者の責任になる。


 そして、魔法の場合は、戦争にも使われるために秘匿性が物凄く高い。

 冒険者でも当然に魔法を使う者は居るけれど、その能力は秘匿されているんだ。


 因みに魔法師ギルドの存在価値は、仲良しクラブであることと、組織会員を守るためにあるそうだ。

 だが、会費はめっぽう高いんだぜ。


 年間、大金貨一枚ってのは、いくらなんでも高すぎないか。

 ギルド自体は、決して大したことをしている訳じゃないんだぜ。


 高い会費の割に会員に提供されるメリットが少なすぎるんで、冒険者になった魔法師連中は、魔法師ギルドの会員にはなっていないそうだ。


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腐ったギルドばかりやな……
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