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事故に遭いました~俺って全身不随?でも異世界では元気ハツラツ?  作者: サクラ近衛将監


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1ー8 冒険者以外の患者とその影響

 多分、日没(18時くらい)以後も二時間程かかって何とか治療を終えた。

 今のところ患者の容態は安定している。


 多分、これで敗血症など二次的な症状が発生しなければ助かるはずだ。

 患者を安静にするために、その日は患者をギルド内の一室で休ませた。


 患者の世話は奥さんがやるようだ。

 患者の名前はパーミル、奥さんの名前はリズレディと言うらしい。


 奥さんには現在の旦那の症状を伝えておいた。

 できる限り分かりやすく説明はしたつもりなんだが、この世界は人体の内部まで知っている人間はほとんどいない。


 だから俺の説明ではちんぷんかんだったはずだけれど、それでも旦那が九死に一生を得たことはわかってくれたようだ。

 今度、人体骨格模型と人体解剖模型を作って説明できるようにしておこうか。


 家族や知人が看病に当たる際には、具体的な症状を知っておいた方がいいからな。

 人体模型図なんかは気味悪がられるかもしれないが、知識として知っておくことは大事なことなんだ。


 取り敢えず、精も根も尽き果てた感じで、俺もそのままギルド内の簡易ベッドに横になったよ。

 今夜は宿に戻る元気もねぇ。


 そう言えば夕飯も抜きだったなぁ。

 俺が物事に()ると、時々寝食を忘れることが有って、友人からは良く『お前の欠点だ。』と指摘されていたっけ・・・。


 ◇◇◇◇


 翌1月13日、俺の診療所が一躍冒険者の間で有名になっていた。

 運ばれてきた時には、大勢の冒険者が患者の様子を見ていたからな。


 あれでは絶対に助からないと皆が思っていたようだ。

 それが翌朝ギルドに行ってみると、五体満足で女房に付き添われてギルドから出て行くパーミルを見かけたんだ。


 衣装は血まみれだったが、敗れた衣服から覗いている肌に傷跡は無かった。

 まぁ、それを見て驚いたんだろうな。


 ケントに色々声をかけてくる奴が居たが、その都度、俺は言ったよ。


「怪我をしたら、できる限り診てはやるけど、できれば怪我はしないでくれよな。

 俺も今回は夕飯抜きだったし、物凄く疲れたよ。

 パーミルのような怪我は、二度と診たくはねぇからね。」


 冒険者たちはみな苦笑いをしていたな。

 その日からギルドの看板の隅っこに『ケントの診療所』という小さな看板がぶら下がるようになったぜ。


 ギルマスから感謝と慰労の言葉があったが、俺は大銀貨一枚の謝礼を受け取る際に訊いてみた。


「この診療費用はどこから出るのかな?」


「ケントがギルドに拘束されている日当としての費用はギルドが負担だが、診療を受けた際の費用は当該冒険者の負担になるな。

 大銀貨一枚の負担は大きいが死ぬよりましだし、前にも言ったと思うが、教会なんかに頼むよりははるかに安い。」


「うーん、それを互助的に冒険者全員で負担することはできないかなぁ?

 今のところ、どの程度の割合で冒険者が怪我をするのかがわからないけれど、仮にハンター業務で怪我をしても、積み立てている金を使えるようにすれば、本人負担は少なくて済むよね。

 例えば半額は互助基金が持ち、残り半分を個人負担とするような方式でも良いと思う。

 会費はみんなの収入から天引きで百分の一とか徴収すれば、ある程度は補填できるんじゃないだろうか?」


「ほう、なかなか面白い考えだな。

 冒険者ギルドは、そもそも冒険者の権利を守るために存在しているからな。

 その趣旨にも合っているような気がするな。

 取り敢えず、ウチのギルドだけで試行的にやってみるのも手かもしれん。

 他のギルドには、お前のような治癒魔法を使える奴がおらんので、そもそも話がまな板にも乗らないだろうがな。

 まぁ、いずれにしろ、始めるには冒険者各員の賛同が必要だけどな。」


 その後、種々の紆余曲折(うよきょくせつ)はあったが、カルヴィアの冒険者ギルドでは、取り敢えず収入の百分の一の会費徴収で、無料で俺の診療所での診療を受けられることになったよ。

 仮に互助基金がマイナスになった場合は、当面、俺がそのマイナス分を負担するが、次年度は会費の徴収率がマイナス分の7割補填を充当できるように増額することになるという方式をとった。


 けが人が多い時は、俺が何時でも損をするような形になるが、治癒魔法の訓練を兼ねてやっているから、正直なところを言えば、俺としては別に無報酬でも構わないんだ。

 但し、命にかかわらない限り、互助会の会員優先と言う方式はとらせてもらう。


 おそらくは、いずれ冒険者から情報を聞き付けて、冒険者以外の者が診療を受けに来る可能性があると思うからだ。

 そうした部外の者の診療も拒否はしないが、優先順位は俺なりに付けさせてもらうことにする。


 2月半ばになって、冒険者以外の急患が初めて運ばれてきた。

 商人の子供が、町中で馬車にはねられて大怪我を負い、俺のところに運ばれてきたんだ。


 その子の親と知り合いの冒険者が、教会に運ぼうとする親に冒険者ギルドに運んだ方が確実だと説き伏せて連れて来たんだ。

 俺のところは冒険者優先の診療所だが、冒険者以外の者の診療を拒んでいるわけではない。


ましてや子供の命がかかっているので、俺は必要な診療を施すためにひとしきり格闘を始めたよ。

ギルマスとは事前に話を付けておいたから、診療費用は上限の大銀貨一枚だけにする。


 7歳の男児は、頭蓋骨陥没、鎖骨骨折、肋骨骨折などの重傷であったが、無事に命をとりとめた。

 親には男児の診療後、人体臓器模型と人骨模型を提示しながら説明し、事後に注意すべき点を説明しておいた。


 因みに、人体臓器模型と人骨模型については、俺(健司)が向こうで起きている際にWEB上のデータを見て、概ね二週間かけてそっくり物まねしたものだ。

 下手にうろ覚えの知識で造るよりは、余程ましなものができたはずだぜ。


 おそらくこの子に後遺症が残るようなことは無いはずなんだが、もしも吐き気やめまいが起きた時には躊躇なくこの診療所へ運ぶように指示をしておいた。

 何せこの子は頭を強打している。


 あり得る内出血等の脳内損傷は、生体センサーによるスキャンで一応チェック済みなのだが、血腫等による血行障害から発生する症状悪化は時間経過後もあり得るんだ。

 正直なところ、俺は脳外科でも医師でもないんで、詳細はわからない。


 だが、体内スキャンによる血行異常を精査したが問題は無かったから、これ以上は今の段階では俺の手に負えないということだ。

 後は、異常が発生した段階で個別に対応するしかないんだ。


 うーん、これは予後の経過観察をするための病室と看護師が必要かもしれないな。

 問題は、建設費用と人を雇うための費用だよなぁ。


 初めての冒険者以外の者の治療を行って半月後、受診者が増えてきた。

 冒険者の怪我が増えてきたわけじゃないんだ。


 それ以外の人達が噂を聞きつけてやってきているんだ。

 互助会に入っている人じゃないから、治療費の額(大銀貨一枚)は高いけれど、教会に属する僧侶(プリースト)に払う礼金(最低限度額が小金貨1枚)に比べるとはるかに安いものだ。


 従って、その安さにひかれてやってくるものが大多数なんだろうが・・・・。

 大銀貨一枚は、日本円で2万円ぐらいの価値があるから、かなり高額のはずなんだよね。


 それでも命には代えられないから、大銀貨一枚ならと払うんだ。

 小金貨一枚だと20万円相当になるから、教会に行けばケントの診療所の少なくとも十倍はむしり取られる。


 しかも、治療効果が無くっても最初っから小金貨一枚はむしり取られるらしい。

 ウーン、これはもしかして、俺は教会の商売の邪魔をしているのかな?


 でも念のために調べたら、律令(りつりょう)その他で、治癒魔法を教会の僧侶以外の者が使ってはならないという規制は無いんだ。

 従って、誰でも治癒魔法が使えれば、治癒行為を行っても差し支えないという事だ。


 無論のことだが、診療報酬に定めなんか無い。

 とある古参冒険者に世間話で聞いたら、教会での治療費はそれぞれの教会で概ね料金が決まっているようだけれど、場所によってはかなり料金の違いがあるそうだ。


 いずれにしろ、この街の教会から何らかの苦情や嫌がらせが来ることは覚悟していた方が良いかもしれない。

 俺の診療所の知名度が上がるにつれ、向こうの僧侶は商売アガったりになるからね。


 3月半ば、恐れていたことが現実になった。

 その日の朝から俺が薬草採取に出かけると、俺の後をつけてくる奴が居るんだ。


 男が三人。

 遠目にちらっと見た限りでは、ギルドでも見かけたことの無い奴なんで、流れの冒険者かも知れない。


 俺が何気なく用心していると、そいつらが背後に回って矢を射かけてきた。

 そいつらの動きは察知していたから、弓矢への対策もしている。


 俺の周囲には風の結界が張られている。

 へなちょこの弓矢じゃ貫通できないほどの威力だし、そもそも距離が離れているからチョット横にずれるだけで俺の脇を矢が通過して行った。


 この矢の威力では当たっても傷を負う程度、余程のことが無い限り致命傷にはならないはずだが・・・。

 近くの立木に刺さった矢を鑑定すると、・・・・。


 フーン、なるほど毒矢ってわけね。

 そりゃぁ危ないわ。


 こいつら殺しに来ているってことで間違いないのかな?

 それならそうで俺も遠慮なくやらせてもらおうか。


 それでも念のために訊いておく。


「おいおい、人がいる方向に矢を射かけるなんてのは危ないじゃないか。

 お前らどういうつもりなんだ。」


 弓矢の射手は既に二の矢をつがえており、俺の方に向けている。


「へ、のんきな野郎だぜ。

 こちとらお前の命が欲しいのよ。」


「ほう、なるほど、お前らここらじゃ見かけない奴だが、誰かに頼まれたな?

 一体誰だ?」


「そんなもん、言う訳ないだろ。

 おとなしく死ねや。」


 そう言っている間にも、弓を構えた奴が二の矢を放った。

 さっきの矢よりも距離が近いが、身体強化を既に使用中の俺にとっては全ての動きがスローに見えるから、(かわ)すのは容易(たやす)いんだ。


 瞬時に矢を躱しながら距離を詰めて、男が持っている弓そのものをたたっ切る。

 そのまま、俺の剣の柄で弓を持っていた男の(びん)を叩くとそれだけで一人ダウンだ。


 慌てる槍と剣を持った男達に、そのまま襲い掛かり、槍の手元に入って槍の柄を(たた)っ切り、左手のアッパーで瞬時に打倒す。

 残った男は剣を持った男のみ。


 そいつにも無造作に近寄って行き,打ちかかってきた剣を一閃して払いのけ、剣の平たい部分で脳天をぶっ叩いてやった。

 これで三人ともダウンだ。


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