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事故に遭いました~俺って全身不随?でも異世界では元気ハツラツ?  作者: サクラ近衛将監


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1ー7 ギルド専属の治癒師

 ギルマスのところでは、それから俺の治癒魔法の話になった。


「ところでお前は、今日一日だけで8人もの冒険者の怪我を治したようだが、魔力は枯渇(こかつ)していないのか?

 普通なら一人若しくは二人ぐらいで魔力は切れているはずだぞ。」


「えーと、どの程度残っているかは分かりませんが、今のところ枯渇はしていません。」


「ふーむ、相当な魔力を持っていそうだな。

 ところで、ケント、お前、冒険者ギルド専属で治癒師をやってみないか?

 怪我人が運ばれてくるのは概ね午後からなんだが、半日詰めているだけで小銀貨二枚、実際に治療を行なったら、一人について小銀貨二枚から大銀貨一枚を支払うようにするぜ。

 教会に頼めば、多少の傷でも治癒魔法一回について小金貨一枚から三枚以上もふんだくられるんだが、冒険者で余程貯えのある者じゃないとそんな金はおいそれとは出せんのだ。

 だから助けられるのにも関わらず金が無くて死んだり、借金奴隷に落ちた若い冒険者がかなり居るんだよ。

 俺としては、そんな奴らをできるだけ助けてやりたい。

 もしお前ができそうなら、それを受けてはくれないか?」


 うん、これは格好の申し出だよな。

 ここでの実践を通じて治癒魔法の経験が積める。


 おまけに午前中は、近場の薬草採取ぐらいなら出かけられそうなんだ。

 今日一日で、ゴブリンの巣に至るまでの道筋で薬草の在りそうな場所に目星をつけておいたから、近場でも午前中に採取ができそうな場所が何カ所かあるんだ。


 午前中にそれをやって、午後からギルドに詰めていれば小金も貯められるだろう。

 まさしく渡りに船という奴だよね。


「俺で良ければ請け負いますよ。

 但し、何でもかんでも治せるわけじゃありませんので、その点は勘弁して下さい。」


「おう、もちろんだ。

 教会の僧侶だってさほど高い能力を持っているわけじゃねぇよ。

 そもそもが、ここに運び込まれるまでに息を引き取る奴が大部分なんでな。

 教会の僧侶なんかは絶対にやってくれないが、万が一の場合、お前みたいに現場近くまで出張れる奴がいれば鬼に金棒なんだ。

 それと、馬に乗れるようにもなって置いてくれよ。

 怪我人を動かせない場合は、馬車若しくは騎馬で現場に向かってもらうこともあり得るからな。

 ギルドの馬車と馬を使えるようにしておくぜ。」


 そんな訳で、1月6日から、ケントはカルヴィアの冒険者ギルド専属の治癒魔法師に就職することになったんだ。

 何も無ければ小銀貨二枚だけなのだけれど、それでも日本円にしたら四千円から八千円程度にはなる。


 しかもアルバイト感覚なんで、空いている午前中には冒険者稼業もできるしね。

 薬草採取もコンスタントに小銀貨二枚程度は楽々稼げそうだから、裕福とまでは行かずとも生活に困ることはなさそうだ。


 まぁ、場合によっては怪我人の居る場所まで往診しなければならなくなりそうなんで、その点が少し厄介かもしれないな。

 駆け出しクラスの可動範囲ならともかく、中堅や上級者クラスの行く先は危険な場所と相場が決まっているからね。


 今のところ、俺が得た収入の四分の一は貯めておいて、グルヌベルヌ村に帰省したときにギラン爺さんに渡してやろうと思っているんだ。

 現金じゃなくモノでも良いけれどな。


 そう言えば今回のゴブリン退治で、結構な稼ぎになったよな。

 何せ37匹のゴブリンに加えてゴブリンの巣を壊滅させた報償金が大きいんだ。


 ゴブリンの巣発見、ゴブリンの巣までの案内それにゴブリンジェネラルその他の討伐で、併せて小金貨三枚と大銀貨三枚の収入になったよ。


 ◇◇◇◇


 1月6日早朝には、一緒に来た爺さんたちを見送った。

 それから冒険者ギルドの裏で乗馬訓練だ。


 馬場とまでは言えないかもしれないが、冒険者ギルドの裏手には、厩舎(きゅうしゃ)と結構広いスペースの広場があるんだ。

 俺はそこでお馬さんと仲良くなって乗馬の練習だ。


 馬術の才能が有った所為なのか、取り敢えず、三日ほどかけて、単騎でなんとか馬に乗れるようにはなったな。

 後は、近隣の地図と地形さえ覚えれば、何とか出前での往診は可能になりそうだ。


 実際に往診するためには医薬品も必要だから、各種ポーションも作り始めている。

 もうひとつ、お馬さんにバフをかける練習もやっているぜ。


 お馬さんにバフとヒールを併用することで、かなりの長距離をスピーディに移動することができるようになると思うんだ。

 それと今回のゴブリン討伐で縫合手術をした重傷者には、6日の午後に抜糸処置をしたよ。


 もともと蚕に似た動物性繊維の糸だから、放置しても多分身体に同化する可能性は高いんだが、抜いてやったほうが()()()()が早く治るはずだ。

 その日を含め二、三日は、冒険者で多少の怪我をした奴がいるにはいたものの、治癒魔法が必要なほどの奴はいなかったようだ。


 そのために、訓練で馬車の御者の真似事までさせられちまった。

 まぁ、何でも経験しておくのは良いことだけれどな。


 冒険者ギルドの抱え馬三頭、「モラン」、「セレズ」、「エベット」とはすっかり仲良くなったよ。

 ギルドお抱えの御者でブラッドリー爺さんとも仲良くなって、昔の冒険者の経験話を色々聞かせてもらった。


 その日、宿に戻って、錬金術で手術用具を造ることにしたよ。

 俺が請け負っているのは、ある意味でギルドの診療所だからね。


 相応の診療ができなければ診療所とは言えんだろう。

 俺は、必ずしも医療に詳しいわけではないけれど、学生時代の同じ寮生に医学部の学生だった奴がいて、そいつから色々と半端な知識を仕入れていたんだよ。


 何も無いよりはマシ程度の知識なのだけれど、どうやらこの世界で治癒師は居ても手術をするような外科医はいないようだから、外科医の真似事と治癒師を併せて行うことにしよう。

 上手くすれば、多くの人を救うことができるかも知れん。


 そのためには消毒のための浄化魔法をより効果的にし、薬品や医療機器を工夫しながら作って行くことにする。

 飽くまで医者の真似事なので、できないことも多いとは思うけれど、少なくともMRIやCTスキャナーの代わりを魔法でできるようにしようとは思っているんだ。


 時空魔法の索敵センサーを人の体内に応用することで、受傷の程度や病気の根源が内部を視ずに分かるんじゃないかと考えているんだ。

 ただ、まぁ、病気の治療については、正直言ってさほど自信があるわけじゃない。


 古代遺跡の知識でも外傷に関する治療魔法はあったけれど、病気に関する記述は至って少なかったんだ。

 或いはラノベでいうところの治癒魔法は外傷対応がメインで有り、病気については漢方にも似た薬師に任せるしか方法が無いのかも知れない。


 但し、俺には薬師のスキルも生えていそうなんだよね。

 問題は、この世界の病気に関する知識が俺には圧倒的に少ないという事だな。


 こいつは色々と情報収集をして集めるしかないだろうと思っている。

 因みに冒険者ギルドには図書室が有って、数は少ないけれど種々の情報が羊皮紙の書籍となって貯め込まれているんだ。


 他にも、商業ギルド、錬金術師ギルド、薬師ギルド、魔法師ギルドなんてのもあって、そこらへんにも書籍があるらしいが、カルヴィアの町にあるのは、冒険者ギルドと商業ギルドの支部だけのようだな。

 錬金術師ギルド、薬師ギルド、魔法師ギルドについては、領都のザッセンハイムに行かねば無いようだ。


 俺は今のところ冒険者ギルド所属なんだが、錬金術や薬師のスキルも生えているようだから、それらのギルドに所属するのもありかもな。

 魔法を使えれば、魔法師ギルドへの所属も可能なんだが、少なくとも冒険者であって魔法を使える奴でも魔法師ギルドには所属しないらしい。


 理由を聞くと、簡単に言えばギルドへの上納金が高い割に、見返りが少ないらしい。

 金だけふんだくられて余りメリットが無いのであれば、冒険者が魔法師ギルドに入るメリットは確かに少ないよな。


 因みに魔法師が何をしているかと言うと、冒険者以外では王国の王宮魔法師や各地の領主の領軍魔法師として雇われることが多いらしい。

 じゃぁ生産的な仕事はしていないのかと言えば、生産的な仕事は魔法で行うとかなりの魔力を費やすことになり、高い経費と時間を要するために、誰も魔法師を使いたがらないらしい。


 勢い、攻撃魔法を持たない魔法師は、マイナーな存在となり易くなって、社会の底辺を形成することになるようだ。

 但し、魔法師として特殊な職業もあるんだぜ。


 簡単な魔法を羊皮紙に魔方陣で描き、他人に使わせるためのスクロールとして売る商売だ。

 このスクロール式の魔法は、簡便であり、魔力の消費も少ないが、高価であることが玉に瑕なんだそうだ。


 更にスクロール魔法では中級の下位魔法までが限度で有り、高度な攻撃魔法は使えない上に、使い捨てになっていることが大きなデメリットでもある。

 高い金をかけて手に入れても一発で消え去るわけだから、簡単には使えない代物なんだそうだ。


 属性魔法としては、『火』、『水』、『土』、『風』があるようだ。

 Cクラスの後衛をしている魔法師の人に聞いたら、魔力が底をついた時の最後っ()にしかならないという。


 それで上手く行かなきゃ、死を覚悟しなければならないようだ。


 ◇◇◇◇


 俺がギルドの診療所?(勝手に俺が思っているだけ)を開いてから7日目、記念すべき第一号の患者が運ばれてきたよ。

 どうやら森狼の集団に追いたてられて崖から落ちたらしい。


 俺が勝手に生み出して名付けた『生体センサー』で患者の様子を診てみると、身体中のあちらこちらが内出血を起こしており、骨がいたるところで骨折している上に、内臓の一部が損傷している。

 内臓の損傷個所は、多分肝臓と肺だと思う。


 肝臓は破裂し、肋骨が折れて肺に突き刺さっている状況だ。

 正直なところ、俺の手に負えるような怪我じゃなさそうなんだが、それでも俺の目の前まで患者が運ばれてきた以上は、やれるだけやってみるしかない。


 いずれにせよ、何とか息をしてはいるが、かなり危ない状態だぜ。

 体表の多少の裂傷は後回しで、最初にやるのは折れた肋骨の修復だな。


 左右の形状を見ながら元の形に復元するようにイメージを浮かべながら、肋骨を戻すと同時に肺臓も破損個所を修復する。

 次いで肝臓だな。


 肝臓は生体の一部がパンク状態で亀裂が入っていて体液が漏れている。

 昔は無理だったが地球の現代医学は、肝臓の切除をも可能にしているんだから、俺も魔法と組み合わせれば、患部の切断部を融合させて復元することも可能じゃないだろうか。


 そう思いながらイメージを必死でつなぎ合わせ、肝臓の修復を行ったよ。

 ここまでで重要部位の修復は終わったが、全身にわたる骨折の修復はかなり面倒だった。


 運び込まれたのがこの世界の五ツ半(15時くらい)で、それから外が真っ暗になるまで治癒魔法で診療を行ったよ。


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