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答えの出ない問題
それからというもの、彼女とは月に一度のペースで、一緒に食事をしていた。
彼女は、特別美人という訳でもなかったが、笑顔が可愛らしかった。彼女と一緒にいると朗らかな気分になるし、何より話が面白かった。
(何で私は、この人と一緒に食事をしているのだろう?)
一生解けない、クイズの答えを考えている気分だった。
後で、今西さんに聞いて分かったことだったが、クライアントは彼女自身だと言う。
( 一体、彼女は何者なのか?)
私が彼女にプロポーズしたのは、彼女が形だけでいいからそうして欲しいと、今西さんに依頼があったからだ。
そうでなかったら、奥さんがいるのに、告白なんかしたりしない。
今でも『彼女は何者なのか?』という疑問に対して答えが見つからないまま、青い空を眺めていた。彼女とは、どっかで会ったことがある──そんな気がしていた。
どうしても思い出せない。あと少しのところで、答えが分かりそうで分からない。
私は目を閉じると、釈然としない思いを抱えたまま、静かに眠りについたのだった。