上
ガタン、ゴトン——という特有の音と、揺れで目を覚ました。
やべっ乗り過ごしちまったな、とそこで気づいた。
次の駅で降りようとして俺は気づく。
「これってまさか、あの展開か——?」
そしてどうやらあの展開は現実となって、俺、万歳二斗の身に降りかかってきたようだった。
ようだったというのは、まだそれが現実であることに気づいていないというか、なんだろう——それを現実して受け入れたくないからだった。
「次は〜」という車掌の声もついに聞こえず、俺が降り立ったのは、やはりきさらぎ駅だった。
「くそおおお!」
なぜか悔しがる俺。何が悔しいのだろう、自分でも不思議だった。
「まあでもいい。話によるとここら辺更地らしい。俺が征服してやる」
しかし、改札を降りると、一見すると普通と変わらない夜の街が広がっていた。コンビニの明かりは煌々と明かりを照らしているし、俺と同じような姿のホモ・サピエンスもおり、日本語に酷似した言語も存在した。
「もしかして、ここが世にいうパラレルワールドってやつか……?」
改札を降りてから、そんな風景に自然と紛れ込むこと数百歩、俺ははたと気づいたのだった。