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【WEB版】異世界転生した元教師、【臨時教師】として崩壊した魔術学園を救う。『GA文庫様より11/15発売!』  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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135/136

第135話 昔の話


「はい。臨時教師としてですが、バウンス国立魔術学園で教壇に立っております。大賢者とバレると面倒なので、ギークという偽名を使っております」


「臨時教師? なるほど、研究の合間に期限を決めて教えているということじゃな」


 ふむ、さすがイグニス先生。俺のことがよく分かっている。


「それにしてもあのギルが教師とは感慨深いわい。在学中はだいぶやんちゃをしていたあのギルがのう」


「……当時はいろいろとご迷惑をお掛けしました」


 俺も中身はいい大人なのだが、平民特待生だからとちょっかいを出してくる相手が多く、その辺りを排除していく過程でイグニス先生にはお世話になった。イグニス先生も俺と同じで身分を重要視しておらず、俺にちょっかいを出してきた生徒相手に対して公平な処罰を下してくれた。


 俺もあの頃はなんの後ろ盾もなかったし、今思えばマナティやアストのような教師ばかりの状況だったら、俺もかなり危なかったかもしれない。そういった意味でもこの人は俺の恩師である。


「なるほど、そういえばユリアスがバウンス国立魔術学園の教師のことを絶賛しておったのはそういう理由か。まさかそれがギルであったとはのう」


「ユリアスとは合宿をしていた施設でたまたま会いました。彼の水魔術には驚きましたよ」


「そうじゃろう。そういえば彼は昔のギルによく似ておるのう。魔術に没頭し過ぎて他のことに目が入らないなんてこともしょっちゅうじゃからな」


「……否定はしません」


 ぶっちゃけ今もそれについては変わっていないかもしれない。研究者というものは集中すると周りのことがまったく目に入らなくなる生き物なのである。


「今年のバウンス国立魔術学園は随分と手強そうであるな」


「生徒たちが胸を借りさせていただきます」


 コンコンッ。


「学園長、そろそろご準備をお願いします」


「うむ、了解じゃ。もっと話したいことがあったのじゃが、すまぬが先に行かなくてはな。まったく学園長という仕事はやることが多すぎて生徒たちと触れ合う時間が少ないのは困ったものじゃ」


「イグニス先生らしいですね。私もいろいろと話したいことがありますので、今度一緒に一杯いかがですか?」


「おおっ、そいつはいいのう! 教え子が成長して一緒に飲む酒はこれまた格別なんじゃよ。その時はまた近況について教えてくれ」


「ええ、もちろん。私の方こそ、今度は教師のことについていろいろと教えてください」


「ふぉっふぉ、楽しみにしておるぞ」




 イグニス先生は相変わらずだったな。スパルタだけれど、生徒想いのいい先生なんだよ。


 ……あの先生をクビにするとか本当に前学園長は無能だ。まあ、あまり身分を気にせず鉄拳制裁も辞さない人だったから、貴族から苦情などは多かったらしい。貴族社会というものは実に面倒なものだな。


「むっ」


 座席へ戻る前にトイレへ寄ろうとしたところ、その手前でイリス先生を見かけたのだが、そこには以前カフェで絡んできたベルトルト国立魔術学園のラルシュという女教師も一緒にいた。周囲に人気のない場所に2人きりでなにやら話している。


 イリス先生の方からあの女へ会いに行くことはないだろうし、今朝の様子も普通だったからたまたま会場内で出会ってしまったのだろう。以前のカフェの時もそうだったが、イリス先生は少し運が悪いらしい。


 助けに入った方がいいのか判断に迷うところだ。ここは少し行儀が悪いが盗み聞きをしてみるか。




「はあ~本当にあなたと話しているとイライラするわね!」


「うう……」


 遠目から様子を探りつつ、集音の魔術を使って声を拾う。


「その暗い性格は昔から何ひとつ変わっていないわ。男どもも胸だけが大きいだけのこんなネクラ女のどこがいいのか理解に苦しむわね。学園で私が目をつけていたリードくんとミーシルくんに色目を使って誘惑していたことはまだ忘れていないわよ!」


「そ、そんなことはしていないです……」


「ふん、あんたみたいな女は伯爵家の家柄をとったらなにも残らないのにね。まあ私たちのおもちゃになってくれたおかげで少しだけ楽しかったわ」


「うう……」


 相変わらず無礼な女だ。というか、あのカフェで出会った時も酷い態度だと思っていたが、まさかイリス先生と2人きりの時にはもっと酷いとは思わなかったぞ……。


 だが、あの女がイリス先生をいじめていたことはこれで確定した。ノクスがミシルガ伯爵家の調査をしてくれたことだし、この競技会が終わったらその報いはきっちりと受け取ってもらうとしよう。


 あの女をイリス先生と話させては駄目だ。早く止めに入るとしよう。


「あんたみたいな女にものを教わっている生徒たちが本当に可哀そうね。まあ、あんな落ち目の学園に通っている生徒なんて、そもそも才能や能力がない底辺の生徒ばかりなんでしょうけれど。それに平民の臨時教師が2教科も教えている時点で本当に終わっているわね。さっさと廃校になってエリーザ第三王女だけでもうちの学園にくれないかしら。たとえ才能がなくても王族が通ってる学園っていうだけで多少は箔が付きそうだわ」


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