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第114話 水着姿


「ギーク先生は海とかに興味がなさそうだと思ったので、わざわざ部屋へ迎えに行ってしまいましたよ」


「確かにその通りだが、教師としてしっかりと監督しないとな。それに海では様々な実験ができるから何度か来たことがあるぞ」


「……せっかく海に来たのだから楽しみましょうよ」


 シリルがあきれ顔でそう言うが、海で楽しめるのは若い頃だけなのである。


「先生も一緒に遊びませんか? 私、海にくるのなんて初めてです!」


「僕もです! 聞いていた通り、海って本当に広いんですね!」


 どうやらメリアとベルンは海を初めて見たようで、いつもよりもテンションが高い。この広大な海を初めて見たら興奮するなという方が難しいか。


「そうだな、俺も少しだけ混ぜてくれ」


 さっきまで魔術の特訓で限界まで魔力を使ってハイな気分になっているのかもしれない。さすがにここで水を差すのもよくないだろう。


「はい、もちろんです!」


「それではパラソルはこちらに設置しますね。ボールやラケットなどの遊具も取り揃えております」


「……こんなに用意していたのか」


 ソフィアがパラソルや大きなバッグを持っていると思ったら、いろいろと準備をしていたようだ。こちらの世界にもバレーボールやバドミントンのような遊具がある。ここの施設で借りたのかもしれないが、準備は万端らしい。


 というか、もうすぐ日が暮れてしまうんだけれどな……。まあ、訓練で疲れた身体や精神を休める息抜きになっているようだから予定通りだが。


「ところでギーク先生、私たちに何か言うことはないのですか?」


「……そうだな、みんな水着姿もよく似合っているぞ」


「あまりにも適当ですね。もっとひとりずつ褒めてくれてもいいんじゃないですか? マイナス10ポイントです」


「男性教師が女生徒一人一人にそんなことを言っていたらセクハラだろうに……」


 シリルがそういう時はいつもと違った服装なんかにコメントが欲しい時だとわかってはいるが、服とは違って水着姿の女生徒ひとりひとりにそんなことを言っていたら完全にセクハラで通報案件である。


 ちなみにエリーザは髪の色と同じ銀色のビキニ、シリルはフリルのついたボーダー柄の水着で、ソフィアはシャツにショートパンツというラフな格好、メリアは……スクール水着のようなワンピースだった。こっちにもスクール水着のような存在があったのか……。


 もちろん言葉通りみんなよく似合っていた。


「ギ、ギーク先生は海でも白衣を着ているんですね!」


「ああ。日焼けを多少は防げるし、岩場で擦り傷なんかも防げるからな。ちゃんと濡れても軽い素材でできているぞ」


 ベルンが女性陣から視線を外しつつ、顔を赤くしながら俺の方を見る。


 思春期の男子が同級生の水着姿を見ればこういう反応になってしまうのは正常な証である。ふむ、傍から見たらベルンのハーレムみたいになっているな。


「すみませ~ん、遅くなりましたあ!」


「あっ、イリス先生~!」


 そんな話をしていると、ひとりこちらの方へ向かって走ってくる人影があった。メリアが手を振ってこちらの方へ呼んでいる。


「す、すみません、着替えるのに時間がかかってしまって……」


「いえ、大丈夫ですよ」


「「………………」」


 イリス先生が浜辺を走ってくると、その大きな胸部が弾むように揺れ、男女に関係なく周囲にいるお客さんの視線をすべて集めてしまっている。


「……あの、イリス教諭。そちらの水着はご自身で選ばれたのでしょうか?」


「い、いえ! 実は私は海に来るのは初めてで、お店の人に聞いたらこういった水着が流行っているって聞きました。やっ、やっぱり変でしたか……?」


「そんなことはないですよ。イリス先生にとってもよくお似合いです。……ただイリス先生にしてはちょっと露出が多い水着なのと、いろいろと負けたような気分になりました……」


「負けですか?」


 シリルが言わんとしたいこともわからなくはない。


 普段は大人しいはずのイリス先生だが、今はかなり布面積の少ないビキニの水着を着用している。イリス先生の性格上、ああいった水着は選ばないと思ったのだが、お店の店員さんの仕業であったか……。


 上がり症を克服したイリス先生だが、今度は詐欺師や悪い男に騙されてしまうのではと心配になってしまう。


 ベルンも完全にイリス先生から目を背けてしまったし、青少年にとっては目に毒なこともあるのだ。


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