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「この話はフィクションってことで!」  作者: 成
再章 俺たちの旅はこれから……のはずが。
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「Fiction.3 事故紹介」

 視点が戻ります。

 ……結局よく分からなかった。


 こんなに間近でみても、分かったことは……。

『なんかきいたことあるやつ』を演奏してたってことと。


 どこからか、『小鳥』や『お花』が現れて……。

 それに驚いているうちに終わっていたってこと。



 あの──(自主規制)オトコと同じ、幻を見せるタイプの力? 

 ……いや、違うな。実際に触れることができたし。


 やたらとこっち側で『お花』が咲いたり『小鳥』が寄ってきてたのは『楽しませようとしてた』ってことなのか?


 ……でも、正直なところ『すっげぇ……』としかいいようがなかった。 

 いや、ホント。

 言い表すための言葉が見つからないくらいすごかった。


 俺はさっきまでの苛立ちを忘れ。惜しみなく拍手で迎えてやろうという気持ちに変わっていた……。


──だが、謎男はこっちを見るなり。


 (しん)(そこ)。疲れたような顔をしながら。

 ため息をつき。『失望』したかのような目で、みてきた。


 俺にはなんとなくわかる。あれはそういう目だってな。

(何でそんな目を俺に向けてくるんだよ……コイツ)


──とは思いつつも。

  俺は心配の気持ちを精一杯、前に押し出して。


「……大丈夫ですか?」

 と聞くと。謎男は驚いた顔をしてからすぐに。

 少しとまどいを隠しきれていないような笑顔を作りつつ。


「……ええ、大丈夫ですよ。ありがとうございます」

 そう答えた後何かあるわけでもなく、少しの沈黙が続く。



 それにしてもこの謎男。謎が多すぎる。


『俺が異世界に行くことになったきっかけを作ったトラック運転手で何かよくわからない整ってはいるが地味な服とバイオリンを持った……俺とおそらく同じ異世界転移者で、あの異物を動けなくした男……』か。


 長いな。まとめると──


『地味なトラック耳長男の運転手~異世界はバイオリンとともに~』


 …………。


 謎すぎる。やっぱり謎すぎる……。 


 腕を組み、謎男の正体について考えながら。

 ふと、前を見る……っんぇ!?


「うはいぇびゃあっっ!?」


 謎男がこっちを……目を見開いて。


──ガン見していた。


 ホラーかよぉぉ……っ! ホント、心臓止まるかと思ったぞ……?


 胸に手を押さえると。

 心臓の鼓動が早くなっているのを感じる。

 俺は落ち着くために深呼吸した。


 そんな俺をよそに。謎男は問いかけてくる。


「君も異世界に行ったって……?」


 目を丸くしながら一言……。


 ……って、あれ?俺、もしかして声に出してたのか?


 癖で思ってることをつい喋ってしまう時があるんだよな……俺。

 だからびっくりしてたのか……。


「そうか。そうなのか……」

「はい……」


 まあ、言ってしまったものは仕方ねぇよな!

 この世界の人にバレたのならともかく(いや、バレても信じる人はいないか)隠す必要もないし。


 話のきっかけにもなるだろ──と思っていたが。

 

 謎男は再度そのままうつむいてしまった。

 それにしても、いったい何者なの──


「ああ、僕が何者かって話だよね」


 ……まただ。まるで心の声に反応しているかのよう……って、オイまさ──


「僕は君と同じ……ではないか。

 僕は『異世界転生者』といったところかな」


 ……転生? 転移じゃないのか?


「実は、僕はトラックの事故でなくなるはずだったんだけど。

 いや、正確にはなくなってはいるんだけど……とにかく!

 異世界で新しく産まれた後、力を得……て……っ!

 そのあと、まあ色々あった後、なぜかこっちにきてて……

 また衝突事故にあったけど、今度はどうにかなっ──

 

 「なるほど!そうなんですね!」


 とりあえず適当に相づちうっとこう。

 この人もこの世界がおかしくなっていることに。

 混乱してるみたいで話が、ちぐはぐだからな。


 ……まあ、なんとなくは分かったから大丈夫だろ。


「とにかく君と同じ、似た者同士って感じかな!」

 ……似てはないと思う。 


「……そう」

「え?」

「いや、何でもないよ!あははは」 


(のんきに笑っているけどよ……今ので確信したぞ)

 

「ちなみに僕が得た、力?は整心調律(せいしんちょうりつ)【カウンセル・チューン】といって。

 この合器(がっき)……【ハーモニスター】を使うんだ」


 せーちょう……カ、かうんせ? はーもにか?


「えーと、さっきみたいに心を整えてあげるんだよ」

 心を整える……?


「まあ、僕も理解するのに時間かかったし。

 難しいと思うから……。

 カウンセリングのようなものだと思ってくれればいいよ!」

 あー、なるほどカウンセリングかぁ……え、じゃあ。


「あの、いきもの……は今どういう状態なんですか?」

「あのいきもの……なら今は心が落ち着いてぐっすりかな」


 マジでか。寝てるだけだったのか。


「でも、もう襲ってくることはないよ。

 もし、攻撃してしまったらまた暴れだしちゃうかもしれないけど……」

「あのいきものは……敵なんでしょうか?」


「さすがにそれは分からないけど……。

 『整心調律(せいしんちょうりつ)』ができたってことは戦わなくていい相手だよ」

「そうなんですね……」


 よく分からないけど『せいしんちょうりつ』というのは戦うためのものではないんだな。俺のは──


「そういえば、君はその身長と服から見た感じ。

 中学生か高校生なのかな?」 

「はい、高校生です」

「そうか……」


 なんか、『高校生か……』って小声で聞こえたけど……。

 あれか?中学生とかの方が良かっ──

「こっちの世界では幸せに暮らしてくれ」


「……え?」

 思いもしない言葉に少し、動揺する。


──それって……?


「……ああ、別に他意はないよ。ただそう思っただけ」

 また、顔をうつむかせている。

 絶対何か隠していることはわかる。


 ……でも。絶対に聞けない。

 聞いてはいけないことだと感じた。


「そういえば、自己紹介がまだだったね。僕は『ゲン』」

「ゲンさん……ですか?」

「そう。といっても転生後の名前だけどね。

 ……異世界ではそう呼ばれてた」 


 転生ってのは名前まで変わるのか……。


「仕事は……一応、カウンセラーかな」

「え? バイオリニストじゃなくて?」


「うん。バイオリ……ンは異世界に行ってからなんだ。だからこっちの世界では違う職業」


 そういえば、カウンセリングのようなものといっていたけど。


「良ければ君のことも教えてもらえるかな……?

 嫌なら無理にとはいわないよ」


「いえ、大丈夫ですよ。俺は『イトウ セイタロウ』です」

「そうか……ん? 俺……?

 イトウ、セイ……? セイタロウゥゥ!?」



 ……うん。まあ、そういう反応になるよな。

 いつものことだから慣れてるし……。

 今さらとやかく言いたくもないけど。


 そりゃもちろん、この名前……。


──『女性』につける名前ではないだろ。 

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