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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

雪の日に

作者: まほろば
掲載日:2017/11/13



こんなに長くなるなら

連載にすれば良かったかも


久々の恋愛ものです

ハッピーエンドじゃないけど


いつかは書きたかった話なので

書けて良かったです





あの日、雪が降っていなければ…。

あの日、駅で待ち合わせしなければ…。

もし…もしあの日、あの事故さえ起きなければ…。

思い出すのは何時もあの日の事。

あの日、会う約束さえしなければ…。



クリスマスに近いあの日。

私は久し振りに彼と待ち合わせしていた。

お互い冬休み前の課題に終われて、同じ大学なのに学部が違うからなかなか会えなくて、あの日は雪でも絶対デートしよう、って2人で決めてた。



「何処で待ち合わせる?」

「俺んちの駅でどう?落ち合ってクリスマスプレゼント買いたいしさ」

「駅前のモール?」

「そう。寒いから2人であったまりたいし」

意味深な隆の言葉に頬が赤くなるのが分かる。

「俺、バイト代入ったから行こうよ」

「うん」



私と(たかし)は高校の同級生で、2人とも弱小バスケ部の部員。

どちらから告るとかなくて、気付いたらバスケ部の公認カップルになってて。

その流れで友達からもカップル認定されてた。

そのまま大学2年の今日まで付き合ってる。



待ち合わせの駅に着いたのは約束の時間の10分前。

平日の昼間で雪もかなり降ってきてるのに、歩いてる人は多かった。

ボタ雪だから積もらないと楽観してたのに、駅に着く頃には視界が白くなっていく。

日にちをずらした方が良かったかな。

なんてチラッと思ったけど、会いたい気持ちが強かったからキャンセルの電話はしなかった。



雪で足下から地味に寒さがはい上ってくる。

「使い捨てカイロ持ってくれば良かった」

手袋してても冷たい手を息で温めながら、隆が降りるバスの降車場を見た。

隆は遅刻魔で、何時も遅刻してくる。

『今日は何分待つかな』

とか会う前から諦めモードの所もあるけど、電話の声を聞いてしまったら会いたい気持ちが強かった。



約束の時間からもう30分過ぎてる。

…どうしよう。

バスの中じゃ取れないだろうからLINEを送った。

【今どこ?】

でも何時までも既読にならない。

バスの中だと電話は取れないだろうし、隆に連絡する方法が無かった。

「もう50分だよ」

寒くて我慢出来なくて、駅の入口でうろうろしてた。



雪のせいか駅に着くバスものろのろ運転で、何時もより少ない気がする。

もしかしたらバスの中に閉じ込められてるのかも…。

それなら何時着くか分からなかった。

このままここにいても体が冷えるばかりだから、モールに居るとLINEして歩き出した。

【モールにいるね】



駅を出たら、駅のロータリー手前の信号に救急車が停まっていた。

その後ろにパトカーも着ていた。

「病人かな」

その信号を渡らないとモールに行けないので、救護の邪魔にならないよう隅を通った。



信号に近付くにつれて血の臭いがした。

見ると積もり始めた雪に車のタイヤの跡と血だまりが出来ていて、交通事故だ、と咄嗟に思った。

雪でハンドルを取られスリップたんだろう。

私は豪雪地帯と言われる田舎産まれなので、雪の怖さは小さい時から知ってる。

父親の転勤が決まって、家族で田舎を離れ関東に着いてきたのは中2の春だった。

「ダイジョブかな」

引かれた人が心配だった。



怪我人の処置が終わったのか、周りを囲んでいた人垣が左右にバラけた。

見ると消防隊員がタンカに乗せてるのは、制服にPコートを着た女子高生だった。

女子高生は青白い顔で意識がないみたい。

消防隊員は何処の病院に運ぶ、とか真剣な顔で見守っていた警官に話していた。



大変だなぁ…。

そんな事を思いながら横断歩道を途中まで渡って、無意識に横を向いた。

………

足が止まった。

「…嘘でしょ」

パトカーの後ろの車に見覚えがあった。

有り得ない現実を頭が否定する。

後ろから着たサラリーマンが腕を掴んで引っ張ってくれなかったら、私も車にひかれてたと思う。



渡りきった場所で私を離して、サラリーマンは足早に何処かへ行ってしまった。

お礼も言えなかったと後で気が付いても、動揺で顔も記憶に無くて言えないままになってしまってる。



私は呆けたようにパトカーと後ろの車を見ていた。

後ろの車に運転手は居なかった。

頭の中は、隆の車が女子高生をひいた事実だけがぐるぐるしてて、他は考えられなかった。



私を現実に引き戻したのは、パトカーの後ろ座席に隆の姿が見えたからだった。

何故今まで気付けなかったんだろう…パニックの頭で必要の無い事を考えてた。

それの答えは直ぐに分かった。

隆の左右に警官が座っていて、隆を隠してたからだ。

隆に向き直るために、警官が私に背中を向けたから立ってる場所から隆が見えた。



どうしよう…。

気が付けば、もう救急車は居なくなってた。

動揺しながら、何をするべきか必死に考えた。

私もパトカーの所へ行くべきだろうか?

それと知らない振りで帰ってしまおうか…。

あ…、隆の親に連絡するべきなのかも…。

考えて、スマホを手に取ったけど…掛けるのは…どうしても気が重かった。



隆は独りっ子で、隆のお母さんは…過保護だった。

私の交際してると知ってから、たまに家に招かれるけど何時も不機嫌で居心地は悪かった。

それを隆に然り気無く言っても、笑っておしまい。

「俺らがべったりだから、焼きもちやいてるんだろ」

なので自然に足が遠退いた。



隆の家はお金持ちだと思う。

大きな会社の部長とか隆が言ってた。

それに比べて家のお父さんは、田舎の地元が本社の会社の小さな支店の課長。

家柄とか言われたら全然釣り合わないしお金持ちでも無いけど、仲の良い家族だと思ってる。

「お住まいは?」

って隆のお母さんに聞かれて、家は会社が社宅として借りてくれてるマンションだと言ったら、嫌そうな顔をされてしまった。

そんなんで、隆のお母さんは少し苦手。

色々考えて迷っていたら、隆の乗ったパトカーが走り出してしまった。



パトカーを見送って、気落ちして家へ帰る。

ベッドに潜り込んで悶々と考えた。

隆のお母さんに知らせようか迷って、結局止めた。

私が知らせなくても警察が電話してる気がしたし、変に掛けたら私のせいとか言われかねない。

もう冬休みで大学の講義も無いから、代わりに誰かに掛けて貰って様子を聞く事も出来なかった。



日にちが経つにつれて、車の事が気持ちを重くする。

何故車だったの…。

田舎と違ってここはほとんど雪が降らない。

隆は車の免許取ったばかりだったから、うるさがられたけど何回も言っのに…。

雪だから、雪道に慣れてない隆には危険だから車は乗ってこないで、ってあれだけ言ったのに。

何で車だったの?



隆からの連絡をずっと待ってだけど無くて。

そして、お正月が終わり、気持ちだけが急く長い長い冬休みが終わった。

大学が始まって、私は隆の姿を探した。

隆の学部が良く使ってる教室まで行ってみたりしたけど、隆の姿は無かった。

あのまま捕まってしまったのだろうか。

学食で隆の友達を見掛けるけど聞く事も出来なくて、悶々としてる間に1月が終わっていた。



2月に入って、隆の友人から隆が警察から戻されて家に居ると聞いた。

丁度食堂でお昼を食べている所を見掛けたので、友達に着いてきて勇気を出して貰って声を掛けた。

その友人の話では、被害者の女子高生の家族と示談が成立して、家に戻れたらしい。

女子高生は大腿部と肩の骨折で、半年以上入院しなくてはいけないらしく、隆は大学を休んで毎日お見舞いに行っているそうだ。

「隆から連絡無いのか?」

「…うん」

「それが当然かもな」

「え?」

「お前、隆置いて逃げたんだろ」

「…え?」

驚きの話で頭の中が真っ白になって、言い返すことも出来なくて、ただ隆の友人を見てた。



「お前、ゲーセンに行きたいからって雪なのに車出させて、事故ったらさっさと逃げ出したんだろ」

「何言ってるのよっ!カラオケも来ない紗枝(さえ)がゲーセン何て行くはず無いでしょ」

呆然としてる私の代わりに、付いてきてくれた友達が言い返してくれた。

「隆が電話で俺にそう言ったんだぞ。隆が嘘ついてるとでも言うのかよ」

隆が…隆が…。

私が逃げたって…逃げたって言った?…。

信じられない気持ちと、裏切られた気持ちが私の中でぶつかり合ってて、もう泣きそうだった。

「何だよ、違うのかよ」

私の態度が変だったのか友人が聞いてきた。



私は涙を堪えきれなくて、泣きながらあの日の話を隆の友人にした。

「隆は免許取ったばかりだから、バスで来るって前の日は言ってたの。それを信じてたから…」

「ゲーセンは誘って無いんだな?」

「高校の時に部活が休みの時1度だけ隆と行った事あるけど、うるさいし私ゲームしないから次からは誘われても断ってた」

隆の友人から疑いの目で見られたけど、友達が私は行かないと言ってくれた。



気が付いたら周りに野次馬がたくさんいて、私たちの話を興味津々で聞いていた。

「本当にお前じゃないんだな?」

「あの日は駅で待ち合わせてて、隆は何時も遅刻してくるから待ってて、LINEしても返事がなくて、50分過ぎても来なくて、寒くて駄目だったからお店で待ってるってLINEして、向かう途中で救急車とパトカーが交差点にいるのが見えて…」

思い出したら身震いが出た。

友達が震える私を抱きしめてくれたから、その後の事を何とか話せた。

「歩道が血まみれで、女子高生が救急車で運ばれて行くところで、横断歩道渡ってたらパトカーの後ろに隆のと同じ車があって…嘘だ、って思ってたらパトカーの後ろに隆が両方から警官に挟まれてるのが見えて」

呆然としてるうちにパトカーが走り出してしまった、と震えを押さえて話した。



「それで逃げたのかよ。隆のお袋さん警察からの電話で倒れたんだぞ。何で連絡してやらなかったんだよ。

警察よりお前が話す方がショックは少なかっただろ」

「私…隆のお母さんに嫌われてたから…」

下を向いて、やっとそれだけ言った。

「あのおばさんなら有り得るかもな」

隆の友人が嫌そうに2回頷いた。



隆が人身事故を起こした話は、その日のうちに大学内に広まった。

翌日には隆の嘘も暴かれて、食堂で待ってた隆の友人からあれからの話を聞いた。

隆がゲーセンに行ったのは大学の友人とだった。

最初に隆が言ってたのと違って、友人とはゲーセンで別れ私との約束で駅に車を走らせたらしい。

車で動いてるのを知ったら私が怒るから、家に車を置いてバスで行く予定だったが雪で間に合わなそうなので、家に戻らず駅に向かったのだそうだ。



「一緒に行った奴にも昨日の夜に確かめた。奴が車で行こうと隆を誘ったんだ」

「そうなんだ…」

違って欲しいと一縷の望みを掛けていたのに…。

泣くまいと唇を噛んでも震えを止められなかった。

「嘘を付いたのは、車で来て事故を起こしたとお前にバレたら怒られるから言わないつもりだったそうだ」

「何その勝手な言い分」

友達が怒って隆の友人に言った。

「俺が最初の電話で奴を不注意だと責めたから、ついお前の名前を出したそうだ。学部が違うからバレないと思った、と奴が言っていた」



何も言えないでいたら、友人がもっと言ってきた。

「お前堅苦しいから」

友人の一言に胸をドンと突かれた気がした。

体がよろけて一歩後ろに下がってしまった。

「高校から付き合ってて、最近やっとやらせて貰えるようになった、って隆愚痴ってたぜ」

震える体を後ろから友人が支えてくれた。

「それホントに隆くんが言ったの?」

友達が確かめるように隆の友人に聞いた。

「ああ、大学2年になるまでお預けとか、男にとっちゃ生殺しだぞ。隆がゲーセンに行ったのも息抜きしたかったからじゃねぇのか?」



自分でも融通がきかないと思ってたから、友人の言葉がぐさりと胸に刺さる。

隆がそう思ってたなんて…気付かなかった…。

私と別れたいならもっと早く言って欲しかった。

そうしたら…ホテルなんて…。

体の力が抜けて、友達にすがり付いてた。

「紗枝。そんな男こっちから振っちゃいな」

「こっちがお断りだ」

友達と隆の友人の言い合いになって、周りが止めた。

「止めろよ。1番傷付いてるのは彼女だろ。当事者の前で言い合いするな」

その言葉にさらに傷付いた。



隆が大学に出てきたのは学年が変わって3年になってからで、辛うじて進級出来たらしい。

3年、4年で2年で落とした単位を取らなきゃいけないからかなり苦しいらしいが、取るしかない。

私は卒業したら就職するつもりだけど、隆は院まで行けと親に言われているって前に聞いていた。



顔を見て別れ話をされるのが嫌で、なるべく学食に近付かないようにした。

だけど、そんな事しなくても隆が避けていた。

「今日も居なかったよ」

複数の友達が毎日報告してくれる。

2ヶ月過ぎて、友達に引っ張られて学食に行った。

「ほら居ないでしょ」

「外で食べてるって」

「紗枝に会わせる顔が無いんだよ。だから、紗枝は堂々としてなよ」

「あっちが悪いって自分で言ってるようなもんだよ」



友達の中で、隆の評価は最低だった。

そんな時、隆が1学年下の子と付き合い始めた、って噂で知った。

私はまだ隆が好きで気持ちの整理が出来てなかったから、知った時は酷く動揺した。

友達が慰めてくれても、隆への気持ちは消せなくて、ぐずぐず泣いてばかりいた。



「あんな男、そんなに好きなの?」

友達に呆れられても隆を諦められなかった。

「紗枝は隆が初めてだったんだから仕方無いよ」

友達の1人が庇ってくれた。

「そうかぁ。紗枝固いからそうかもね」

「結婚する約束だったから許したんだって」

「それ分かる。高校から付き合ってるんでしょ。この人、って思うよね」

「隆最低じゃん」

「紗枝に謝りもしないで他の女と付き合うとか」

「有り得ないから」



やっと立ち直り掛けていた7月。

学食で隆に捕まった。

隆の後ろには隆の友人が数人いた。

「もう1度やり直そう」

最初言われてる意味が分からなかった。

一方的に連絡寄越さなくなって、他の子と付き合ったのは隆なのに、何言ってるの?

いっぱい傷付いて、やっと忘れようとしてるのに…。

切なくて、喉に声が詰まって言い返せなかった。



「隆も反省してる。許してやれよ」

隆の友人に囲まれて、威圧的に言われた。

その時まだ私の友達は学食に来てなくて、言い返せない私にガンガン言ってきた。

「隆も少しは悪かったけど、事故を起こした隆を支えられなかったお前だって悪かったんだぞ」

「お前がもっと隆を気遣っていればこんな事にはならなかったんだ」

頭の上から押し潰すように言われて、嫌だと首を振って抵抗した。

隆が友人たちにどう話したのか分からないけど、私が悪者になってる口振りだった。

隆は自分では何も言わないで、被害者の顔で私を見てるだけだった。



「ちょっと。紗枝囲んで何してるのよ」

友達2人が隆の友人を押し退けて助け出してくれた。

「今さら紗枝に何の用?まさかよりを戻せとか言ってるわけじゃないわよね」

友達がギロリと隆と隆と友人を睨む。

「あなた、下の子と付き合ってるんでしょ。今さら紗枝に何の用事があるの」

友達の声は冷たかった。

後ろの友達も隆たちを冷たく見ていた。



「付き合ってたんじゃない。勉強を教えてただけだ」

隆の言い訳に友達がポカンとした。

自分では聞けなかったけど友達がその子に聞いてくれて、その子は付き合ってるとハッキリ言ってた。

「嘘付きなさいよ。その子からハッキリ聞いたのよ」

「君と付き合ってるって」

「あなたから告ってきたって彼女言ってたわよ」

それを聞いて、隆の友人が隆の方へ向き直した。

「お前また嘘付いたのかよ」

「違う。あの子が勘違いしただけだ。俺は今でも結婚するなら紗枝しか居ないと思っている」

隆は必死に言い返していた。



そんな隆を見ていて。

私の気持ちは激しく揺れていた。

隆を知ってるから、隆が下の子と付き合っていたのは本当だと分かってた。

今までも何回か浮気未遂があったから、それに…隆の家にも招待されたって言ってたから…。

浮気する隆となんて別れなきゃいけない。

何度もそう思ったけど出来なかった。

【別れたい】

喉まで出た言葉は声にならなくて。

知る度に今回だけ、次は別れる、って何度も自分に言い聞かせてきた。

もう限界だった。



「お願いだ。もう1度だけ俺を信じてくれ」

隆は泣きながらそう言った。

信じたいよ…今でも好きだから信じたい…。

信じさせて…。

心の声は言葉に出来なかった。

「絶対紗枝を幸せにする。みんなの前で誓うよ」

「半年以上紗枝を放っておいて、何が謝るよ」

「そうよ、紗枝がどれだけ泣いたと思ってるの」

「別れた、って言ってるけど嘘でしょ」



私が内心で思ってた事を友達が言った。

「急に冷たくなったってあの子言ってんだから」

隆が怯んだ顔で下を向いた。

やっぱり別れてないんだ…。

下を向いてる隆を見ていたら、高校時代も私が知らなかっただけで他の人が居たんだと気付いてしまった。

きっと大学に入ってからも…。

分かっても、やはり傷付いてしまう。

苦しくて、息が出来なくて、涙だけがポロポロ出た。



「これからは改めるって言ってるんだ許してやれよ」

隆の友人は当然の顔で押してくる。

友達も私がまだ隆を好きだって知ってるから、どうするか迷って私を見た。

私は答えられず下を向いた。

裏切られても…隆を好きな気持ちは消せなくて。

でも許せなくて。

許さないとここで終わってしまう現実が私を押し潰して、『ノー』と言わせなかった。



「辛いんだよね」

「裏切った人を信じるのって簡単じゃないしね」

「紗枝、相手に1つだけ聞くなら何を聞きたい?」

友達の声が優しくて、気付いたら言葉が出ていた。

「何で警察から出られた時に連絡くれなかったの」

勇気を出して聞いてみた。

隆は言いにくそうに横を向いた。

「答えなよ」

「言ってよ」

「答えろよ」

友達や友人に言われて、隆が渋々口を開いた。

「ぐずぐず言われると思ったから。絶対『車で来るなと言った』とか『私が言っても聞いてくれない』とか分かってて反省してるのに言ってくるの聞きたく無かったから、出来なかった」

私が悪いような隆の言い方に息が出来なかった。



「それ、お前が悪いわ。堅苦しくて疲れるって言う隆の気持ち分かるわ」

「そうだよな。母親や先生と付き合って面白い奴なんて居ないよな」

苦しくて両手をぐって握りしめた。

隆はずっとそう思ってたんだ、って思ったら心の中で何かがパリンっていった。

【別れよう】

心の中にその気持ちが沸き上がってきた。

今でも好きだけど、嫌われて側に居るのは辛すぎる。

半年以上離れていたのもその気持ちを後押しした。



「俺は別れたくない」

隆が顔を上げて言った。

隆の顔は真剣だった。

「嫌な所もあるけど俺は紗枝が好きだ」

初めてだった。

隆の口から出た『好き』の言葉が、私に諦めていた希望を抱かせた。

もしかしたら…今度こそは…。

そんな淡い期待を持たせてしまった。



「紗枝が好きならそれを態度で示してよ」

「そうよ。謝って」

「みんなの前で土下座して」

「そうしたらここに居るみんなが証人になるわ」

友達の1人から思っても居なかった言葉が出て、周囲がどよめいた。

「ふざけるなっ!」

友人の1人が怒鳴った。

「するよ」

誰かが止める間も無かった。

隆は床に正座して、床に頭を擦り付けた。



「俺は紗枝と別れたくない」

誰も動けないし話せなかった。

信じられなくて…、私は馬鹿みたいにぼうっと隆の後頭部を見下ろしていた。

プライドの高い隆が…。

私たち、本当の恋人に慣れるの?

そんな気持ちがぐるぐると頭の中を回った。

みんなも呆然としてたら、隆が更に言った。

「頼む。もう1度だけ俺にチャンスをくれ」



「こんなに頼んでるんだ。許してやれよ」

「そうだぞ。隆は土下座までしたんだぞ」

「隆の本気を酌んでやれ」

我に返った友人が言い出した。

「紗枝。もう1度だけ許してあげなよ」

「次にやったら絶対みんなで締め上げるからさ」

「土下座までする男居ないよ」

「それだけ紗枝を好きなんだよ」



今度こそ…。

その気持ちが私に『うん』と言わせた。

断れない空気だったのも私の背中を押していた。

始めはぎくしゃくしたけど、半月もすると何もなかったみたいに隆と話せた。

嬉しかった。

昔とは比べられないくらい隆は優しくて、初めての時の様に体を重ねた時は幸せ過ぎて泣いてしまった。



そんな幸せも夏休みが始まると、不安も連れてきた。

大学が休みになって、隆は今までより頻繁に病院へお見舞いに行くようになった。

事故の被害者の女子高生はやっとギブスが外れて、リハビリを始めた所だった。

留年になったのが辛いとかなり鬱ぎ込んでいて、隆も私たちもお見舞いに行って励ましていた。



女子高生は『幸子(ゆきこ)』ちゃんと言った。

小さくて可愛い子だった。

隆の友人の1人がみんなの前で幸子ちゃんに告って、あえなく惨敗した。

その後に、幸子ちゃんが小さく言った。

「隆さんなら…」

きっとその言葉を聞いたのは、隣にいた私と反対側にいた私の友達だけだと思う。

友達が驚いた顔で私を見て幸子ちゃんを見ていた。



その日から、みんなが隆だけではお見舞いに行かせないよう気遣ってくれた。

1個下の子の事もあるから、警戒していたと後から友達に教えられた。

幸子ちゃんは私たちが見ても分かるくらい、お見舞いに行くと隆を目で追っていた。

リハビリの辛さを話すのも隆が居る時で、友達がお見舞いに来てくれなくなった、と話すのも隆にだった。

関係に線引きしない隆と一途な幸子ちゃんを見て、自然に隆の友人たちと私や私の友達たちの距離は縮まった。

夏の終わりにはリハビリのサポートも隆が良いと言うくらい、幸子ちゃんの気持ちが隆に傾いているのが見えていた。



そして、隆は…。

幸子ちゃんの気持ちに気付いていて満更でも無さそうな態度で幸子ちゃんに接していた。

「深入りするなよ。側で見てる紗枝ちゃんの気持ちも分かるだろ」

「分かってるって。高校生なんて相手にするかよ。俺独りっ子だからさ、妹が出来たみたいなんだよ」

隆はそう言ってたけど私は不安だった。

隆はハンサムじゃないけど人懐っこい雰囲気で、友達も多くて高校時代もムードメーカーだった。

今でも隆と私が付き合ってると知った時の幸子ちゃんの顔が忘れられない。

ごめんなさい。

心の中で幸子ちゃんに謝った。

隆だけは、幸子ちゃんでも譲る事は出来ないから。



隆と私の間に幸子ちゃんが少しずつ入り込んでると感じていても、隆が加害者だから強くは言えなかった。

隆も幸子ちゃんに引け目を感じていて、強くは拒否できないとみんなにも言っていた。

隆を信じていたし、大人しい幸子ちゃんが付き合ってると知ってるのに割り込んでくるとは思えなかったし思いたく無かった。

みんなからも釘を刺されて、隆も幸子ちゃんと距離を置くようになって表面上は穏やかな関係に戻った。



みんなで行動する時間が増えたり夏休みなのも手伝って、仲間の中に一組カップルが出来た。

後から考えたら、その事が幸子ちゃんの気持ちを加速させたのかもしれない。

羨ましそうに2人を見て、隆を見る。

そんな様子が見られるようになって、自然に2人はお見舞いの回数を減らす様になった。

2人が抜けると、2人ずつで行く事が難しくなってきて、誰か1人の時が増えていった。

当然の流れで隆1人の日もあって、私1人の時もあるようになっていった。



ある日、私1人でお見舞いに行った時に幸子ちゃんから聞かれた。

「隆さんと結婚するんですか?」

聞いてくる幸子ちゃんは今にも泣きそうだった。

正直に答えるべきだと思った。

幸子ちゃんは勇気を振り絞って聞いてきてる。

それに正直に答えるべきだと思ったから。

「うん、将来は結婚すると思う」

「何で隆さん何ですか…」

「高校の時、隆に告られて、この人しか居ない、って思ったから」

ハッキリ言う事が幸子ちゃんへの誠意だと思った。

【私の隆を取らないで】

気持ちの奥の声は言葉にしなかった。

でも…、私は幸子ちゃんを睨んでたと思う。



何か気まずくて私もお見舞いに1週間行かなかった。

「隆さんが私を可愛いって…」

宣戦布告とも取れる幸子ちゃんの言葉に驚いた。

そんな勘違いさせるような事をしたの?

後で隆に確かめようと思いながら、動揺を隠して幸子ちゃんに言った。

「私も幸子ちゃんは可愛いと思うよ」

隆の告った友人の名前を上げた。

「私もそう思うもの。隆も妹みたいに思ってるってみんなに言ってたよ」

意地悪な牽制だと分かってるのに、口をつく言葉を止められなかった。

「…妹?妹なんて…」

幸子ちゃんは泣きそうな顔を布団に隠した。

その日は布団を被ったままで、帰る時も顔を見せてくれなかった。

そうなると分かっていたのに…。

後味の悪い思いを抱えた帰り道は、自己嫌悪で自分が嫌いになるばかりだった。



大学の長めの夏休みも、残り半月になるとみんな後期の講義の準備に忙しくなる

それは私も隆も同じで、幸子ちゃんにも説明してた。

その日は2人の予定が合って、隆と私で幸子ちゃんのお見舞い行った。

「私も学校に行きたい。あんな事故に合わなかったら行けてたのに…」

幸子ちゃんに隆を責めてるつもりは無くても、聞く方は罪悪感を覚えずにいられない言葉だった。

「なるべく時間を作って来るから」

隆は申し訳無さそうに幸子ちゃんの頭を撫でた。

「ホントに来てね」

「うん」

「約束」

隆と幸子ちゃんが指切りしてるのを見てると、嫌でも気持ちの奥で不安が膨らむ。

それを気のせいにするには不安が勝っていた。

そんな綱渡りの関係が夏休み中ずっと続いた。



後期が始まるとあれこれ忙しくなって、自然にみんなの足が病院から遠ざかる。

私も気になっていたけど、隆の代わりに隆のお母さんがお見舞いに行ってると聞いて安心していた。

隆は院に進むけど私も友達も卒業したら就職組だ。

隆の友人たちも大半は就職組だった。

当然の事で、3年の夏休みが終わったら私もみんなも地獄の就活が始まった。

内定を貰うまでみんな面接を受けまくる。

学食でも大学の求人欄の話題が多くなった。

誰がどこを受けて受かったとか駄目だったとか、みんながピリピリしていた。

だから、誰も隆が置き去りにされたと思ってたのに気付かなかった。



隆と私の間にもその隙間はあって。

私は就活で一杯一杯だった。

私が必死になってるのに誘ってくる隆を、良い身分だって思ってたのは否定出来ない。

10月の半ば過ぎ、希望していた一社から内定を貰った時は飛び上がるほど嬉しかった。

私が狙っていた会社で1番入りたかった所だ。

ここなら、院に行く隆に近い位置に居られる。

心の中で、この会社なら隆のお母さんも2人の結婚を許してくれる。

私1人そう思っていた。



10月の終わりになって、幸子ちゃんが先週退院したと隆から聞いた。

「誰から聞いたの?」

「週末にはお見舞いに行ってたからさ」

「聞いてないよ」

「顔見て帰るだけだから、言わなくても良いだろ。お前忙しそうで誘っても振るし」

「え?私のせい?就活だって言ったじゃん」

「詰まらなかったんだよ。みんなも就活で学食行っても話は就活ばかりだったし」

隆は子供のようにむくれた。

「一生が決まるんだもの、みんな必死になるよ。隆も院を卒業する時就活で必死になるから」

「俺は親父の会社に入るから就活なんかするかよ」

呆れたように言う隆に越えられない溝を感じて、それ以上は言えなかった。



「来週文化祭だろ。幸子ちゃん親と来るから」

「え?」

「俺が誘ったんだ。車椅子だからみんなに持ち上げて貰うから頼んどいてよ」

「隆が頼みなよ」

「俺は送り迎えがあるし家の親も来るから無理」

「当日頼んだら迷惑だよ、みんな予定あるし。お昼に学食で頼みなよ」

「俺は行かない。あの俺だけ違う疎外感が嫌だ」

「自分が誘ったんでしょ」

「来たいってねだられたんだよ」

え?

気のせい?

隆の目が泳いだような気がした。

聞きたいのに、聞くのが怖くて…。

でも聞いたら今の幸せが壊れてしまいそうで…私は気持ちに蓋をして見ぬ振りをしてしまった。



その日の昼にみんなに頼んでみる。

隆が言っていた事も話した。

「お子様だからな」

隆の友人の1人が嫌そうに言った。

「それなりに金を持ってる家の一人息子だから、我儘なのは産まれた環境もあるんじゃないか?」

隆の友人たちは隆の性格を良く分かってる気がした。

「昔からああなんだろうな」

「困ったら周りが助けてくれる、ってあの顔は絶対思ってるだろうな」

「それを今まで俺たちも聞いてきたわけだ」

「あれを甘え上手だと言うんだろ」

「確かに」



「紗枝には悪いけど、最近隆と居ても昔ほど楽しくないんだよな」

何気無い振りで1人がそう言った。

「俺もそれ思う。何か隆に良いように利用されてる気がしてしょうがない」

「幸子ちゃんのお見舞いをみんなでするようになった時も、隆から『頼む』も『ありがとう』も無かったよな。誰か言われたか?」

その言葉に、隆の友人たちが顔を見合ってた。

「そう言う事か、言われるまで気付かなかったわ」

1人が苦い顔で言った。

「我儘だとは思うが、まだ可愛いもんだろ」

別の1人がそう言った。

「そうか?今日の話だって引き受けたのは隆だろ?なら隆が頼みに来るのがホントだろ。なのに俺らに会いたくないから紗枝に頼んだ。俺からが隆の頼みを聞くって自信があるからだ」

言い出した1人が強く言うが、他の仲間はまだ半信半疑の顔をしていた。

我儘だけど、仲間としての隆を信じたい、と隆の友人たちの顔には書いてあった。



みんなは笑ってたけど私は笑えなかった。

隆の甘えには狡さが混じってるって知ってるから。

掃除の時とか、掃くのが嫌だからゴミ箱持って消えちゃったり良くあった。

一応捨ててはくるけど、掃除で出たゴミは残ってるから他の誰かがまた捨てに行くようになる。

先生からプリントの配布を頼まれた時も忘れたり、クラス委員に押し付けたり、数えだしたらいっぱいある。

そんな些細な事の積み重ねがあって、高3くらいになるとみんな隆の行動に気付いてて、地味に仲間外れにされてた。

それをずっと見てきたから、付き合うようになってからは気が付くと直すよう言ってきたつもりだった。



週が明けて、文化祭が始まった。

みんなの予定もあって何時に来るのか聞いたら、出る時グループLINEすると言われた。

みんなの顔が曇る。

1人が予定があるから時間を決めてくれと送った。

既読になったけど返信は無かった。

「今までなら気にもならなかったんだが」

前に否定した1人が言った。

「俺たちは、隆を見誤ってたのかもしれないな」

隆の友人たちの顔がちょっと変わって見えた。



隆からLINEが来たのは昼に近かった。

みんなは1時間過ぎた頃から隆を待たないで文化祭を楽しみだしていた。

私も友達と回り始めてた。

隆のLINEでみんなが入口に集まってくる。

待ってるとまたLINEがきた。

隆たちは駐車場に居るらしく、段差があって車椅子が動かないらしい。

『迎えに来てくれよ』

『入口で待ってる』

1人が返した。

『何で駐車場に来てないの?車椅子だからってみんなに言ったじゃん』

『隆からは待ち合わせの場所も聞いてないぞ』

『車椅子なんだから駐車場に決まってるだろ。寒いし待たせるの悪いから早く来てよ』

みんなで顔を見合わせる。

隆だけなら無視するけど、幸子ちゃんが居るから渋々みんなで移動した。



行ってみると、幸子ちゃんだけじゃなく幸子ちゃんの母親と隆の母親も一緒にいるのが見えた。

「そう言えば、今まで忘れてたけど、最初に紗枝が親も来るって言ってたな」

みんなも思い出したような顔をした。

「大人3人も居れば車椅子動かせるよな」

1人がぼそりと言った。

隆が幸子ちゃんを上まで運んで、母親2人でたたんだ車椅子を持てば良いと骨折の経験がある彼が言った。

それか隆が2往復するかだ。

リハビリしてるくらいだ、支えられてれば少しくらい立ってる事は出来るだろう。

「兎に角今だけは手伝ってやろうぜ」

「そうだな。隆にはムカつくが、体が不自由な幸子ちゃんに罪はないからな」



「遅いよ」

隆は怒った声を出した。

「俺たちはどこで待ち合わせるかも聞いてないぞ」

「紗枝に言っただろ。何で言ってないんだよ」

「聞いてないよ。あれから会ってないじゃん」

つい売り言葉に買い言葉になってしまった。

嫌でも高校時代の記憶が頭を過った。

「車椅子なんだから駐車場って、考えたらすぐ分かるだろ、気が利かないな」

余りに酷い言い方に言い返せなかった。

隆の『気が利かない』は、みんなにじゃなくて私に向けた言葉だ。

それはみんなも分かると思う。

でも、みんなも顔色を変えていた。

「すいません」

空気が悪くなったのを感じたのか、幸子ちゃんがペコペコと謝ってきた。

「幸子ちゃんが謝る事無いよ。みんなに話して無かった紗枝が悪いんだからさ」

隆に言い返そうとしてくれた友人を手で止めた。

隆には頭に来るけど、幸子ちゃんを巻き込むのは違うと思ったからみんなに目で合図した。



隆は2人の母親と先に立って歩き出した。

それには流石にみんな呆れて動けなかった。

何か言いたそうな顔もあったけど、幸子ちゃんを見てみんな口を開かなかった。

最初男2人で持ち上げてはみたが、それで数段の階段を登るのは無理があった。

なので、みんなで力を合わせて車椅子を持ち上げて数段の階段を登った。

誰も口を開かない。

誰かが幸子ちゃんを抱き上げて車椅子をたたむ方が早いけど、誰も言い出さないししなかった。

隆はかなり向こうで母親たちと待っていた。



「すいません」

幸子ちゃんが気まずそうに謝ってくる。

「良いのよ、気にしないで」

友達の1人が優しく声を掛けた。

幸子ちゃんが悪い訳じゃない。

悪いのは身勝手に甘えてる隆だ。

「隆さんに文化祭に誘われて、車椅子だからって1回は断ったんです。でもみんなが助けるからって…」

「あら、隆が誘ったんだ」

みんなが顔を見合わせる。

車椅子で前を見ていた幸子ちゃんは、後ろの合図に気付いてなかった。



隆たちと合流して、車椅子を押すのは隆に任せた。

「この後も頼むね」

隆は気楽に言った。

友人の1人がさらりと言った。

「俺たちこの先用事があるんだ」

「見たい物もあるしな」

幸子ちゃんの出前、友人たちも隆にはっきり言うのは避けていた。

「えー、困るよ。俺1人じゃ持ち上げられないし。じゃあさ、困ったらLINEするから助けに来てよ」

友人たちの足が止まった。

何にも感じてない隆に呆れてるのが良く分かる。



1人が1回息を吐いて軽く言った。

「困ったらLINEして、気付いたら助けに来るよ」

「頼むね」

隆は満足気に別れる私たちに手を振った。

その後何回か隆からの『SOS』がLINEに届いた。

未読で読める1人が隆のLINEをみんなに教えた。

『SOS。講堂の段差が登れない。急いで』

誰もそれに返信しなかった。

「周りに人はたくさんいる。頼めば快く力を貸してくれるだろう」

最後は私個人にLINEが来たけど、既読にならないから諦めたみたいだった。



翌日、隆から電話がきた。

隆は怒ると連絡もして来なくなるし電話にも出ない。

だから怖くて私からは掛けられなかった。

ホッとして電話を取ったら隆のお母さんだった。

「今夜時間を開けておいて」

一方的に店の場所と時間を言って電話は切られた。

隆のお母さんが指定したのは和食のお店だった。

スマホで調べたら、座敷もあると書いてあった。

私に何の話が?

隆も来るんだろうか?

昨日の隆の怒った顔が思い出されて、体が震えた。



1人では怖くて友達も頼んで来て貰った。

隆のお母さんは友達も一緒なのに驚いてたけど、お母さんも幸子ちゃんのお母さんと一緒だった。

個室に通されて、話は隆と幸子ちゃんの事だった。

「2人は付き合ってるの。家同士の格も近いし、私たちも良縁だって喜んでいるのよ」

もしかしたら…って思って覚悟して来たはずなのに、受けたショックは思ったより大きかった。

友達も横で驚いていた。

「隆さんは知ってるんですか?」

震えを堪えて聞いた。

隆が自分からスマホを渡したとしたら…その可能性を考えたら、ここから逃げ出したくなった。

「知ってるわ。年末に結納を交わずつもりだから、あなたには隆と別れて貰います」

予測してても本当に言われるとやはり辛かった。



「隆さんと話させてください」

「隆はもうあなたと話す事は無いって言ってるわ」

隆のお母さんの態度は冷たかった。

横を見ると、友達はテーブルの下に置いたスマホの画面を見ていた。

友達は小さく頷いてから隆のお母さんを見た。

「一方的に言われても納得出来ないわ。隆はどう言ってるの?私たちの前で紗枝とやり直したいって頭を下げたのは隆なのよ」

「隆は始めから本気じゃなかったの。本当は来年家柄の釣り合う人とお見合いをさせるつもりだったのよ」

隆のお母さんは淡々と言い返した。



「そのお見合いの話は隆も知ってるの?それなら紗枝を騙した詐欺じゃないの」

「詐欺だなんて失礼なっ!」

隆のお母さんが怒って声を荒げた。

「詐欺じゃなかったら何なのよ。みんなの前で土下座して浮気したのも謝ったんだから。隆の事はみんな知ってる口振りだけど、それも知ってるんだよね」

母親2人が驚いた顔を見合わせた。

「私の息子に限って…そんな事は有り得ないわ」

動揺で裏返る隆のお母さんの震える声が、友達の話を否定した。



「証人をここへ呼びましょうか?浮気してた子は後輩だから連絡先知ってますよ。直ぐ呼べますよ。足りないなら土下座の時一緒にいた隆の友人にします?」

畳み込むように友達が言った。

母親2人は口をパクパクしてて、言葉が出ない。

その状況で、友達が私を見た。

「うるさいおばさんは黙らせたから、言いたい事言っちゃいなよ」

友達に勇気を貰ってもう1度言った。

「隆さんと話させてください」

大学に行けば話せるだろうけど、今、目の前の2人の前で話したかった。



「別れてくれるなら多少のお金は払うわ」

このままじゃ不利だと思ったのか、幸子ちゃんのお母さんが唐突に言った。

思っても無かった展開に声が出ない。

ショックで何も考えられなかった。

横を見たら友達も隣で唖然としてた。

幸子ちゃんのお母さんが封筒をテーブルに置いた。

お金じゃないのに…。

突き返したいのに体が動かなかった。

「これで隆さんをあなたから解放してあげて」

私から解放って何…隆が言ってるの?

悪寒で震えがきた。

「200万入ってるわ」

それを聞いた時、スーっと気持ちが冷えた。

その時を、どう言い表しても違う気がする。

スーっと、隆を思う気持ちが岩が砕けて粉になったみたいに消えてしまった。

自分の好きな気持ちをお金に変えられた怒りもあったけど、それより気持ちが消えたのが大きかった。



友達が何か言いそうになってたけど、それを止めて私から話をした。

「お金はいりません。隆さんと話して納得したらこちらから別れます」

「え?」

隆のお母さんの顔に、信じられないと書いてあった。

もう隆との未来を夢見る気持ちは無くなっていたけれど、気持ちにけじめを付けないとずっと引き摺りそうで嫌だった。

「隆さんの気持ちが幸子ちゃんに移っても恨みません。ただけじめとして隆さんと話したいだけです」

「隆にすがり付いても無駄よ」



「ふふ…」

自分の笑い声で自分が笑ってるのに気が付いて、笑いながら驚いた。

一瞬狂ったのかも、と他人事みたいに思ってた。

横にいた友達が、焦った顔で私の肘を掴んでいた。

「紗枝」

「大丈夫だよ。隆への未練は欠片も無いから」

友達は私が本気だと分かると頷いて手を離した。

「隆さんと話させてください」

隆のお母さんは気味悪そうに私を見て、バックの中から携帯を手にした。



隆は直ぐに電話に出た。

『もしもし』

携帯を通して隆の声が聞こえた。

間にテーブルを挟んでいるのに、まるでここに隆が居るみたいに聞こえた。

「私よ。彼女が最後にあなたと話したいって言うの」

『俺は話す事ないから切るよ』

隆が切りそうだったから、思わず大声を出した。

「話さないなら明日大学でみんなに話すわよ」

隆の息を飲み音が聞こえた。

隆はまだ友人たちが隆から離れたのを知らない。

ズルいけど、友人って単語を出せば隆は絶対電話を切らないって分かってた。

「あなた、なんて事言うのよっ」

隆とお母さんが責める口調で言う。

それに構わず隆に言った。



「話す?止める?」

プライドの高い隆なら、大学で言われたくないから電話で話す方を取ると思った。

友達に、唇に指を当てて見せる。

ここに友達が居ると知ったら、隆は絶対本当の気持ちを言わないから。

友達も頷いた。

『話せば良いんだろ』

少しして不貞腐れた隆の声が返ってきた。

それを聞いて隆のお母さんが嫌々携帯を渡してきた。

私は受け取ってスピーカーにしすると、テーブルの中央に置いた。



「何で自分で言いに来なかったの?私が嫌だってごねると思ってた?」

『ごねるだろ。お前俺が好きだしな』

「ふっ」

つい吹き出してしまった。

「あなたのお母さんにも言ったけど、私は喜んであなたと別れるわ」

『俺の親の前だからって強がるな』

「強がりじゃないよ。本当に別れるよ」

『どうせすぐ泣き付いてくるさ』

隆の方が強がってるように聞こえて、言い返さないで話を先に進めた。

「自分で言いに来なかったのは何故?けじめも付けられないの?」

わざと隆を挑発するように言った。



『何とでも言え。俺はお前と別れる』

「私もあなたと別れます」

『何を…』

隆の声が詰まった。

きっとこんな私を隆は予測してなかったんだ…。

私も信じられないもの…。

隆のお母さんも、幸子ちゃんのお母さんも、驚いてる顔で私を見てる。

笑えてるか心配だけど、2人に笑って見せた。

「今までありがとう。幸子ちゃんと幸せに。明日から大学で会っても話し掛けないでね。さようなら」

携帯に向かって言った。

今はまだ言った言葉の半分以上は強がりだけど、言わなきゃ立てない。

背筋を伸ばしてここから立ち去りたいから、自分に言い聞かせるための言葉だった。

呆然としてる母親2人に形だけ頭を下げて、友達を促して帰って来た。



「紗枝。頑張ったよ。うん、えらかったよ」

友達が何度も背中を叩いて泣きながら慰めてくれて、私も泣いた。

女2人で泣きながら歩くから、すれ違う人がギョッとしてたけど構わなかった。

「聞いてたよね」

友達が握っていた携帯に向かって聞いた。

「え?」

立ち止まって友達を見た。

「紗枝から着いて来て、って頼まれてから急いでみんなを集めたの。通話無料を付けてる奴から私のスマホに掛けて貰ったんだ」

「え?じゃあ…」

「向こうでみんなで聞いてたの」

「え…」

思わず両手で顔を隠した。

あんなにきつい私を知られたら引かれそうで怖い。

その時になって、隣の友達には直に聞かれてたんだと気付いて、顔を上げられなかった。



昨日新しく作った隆を抜かしたグループLINEに、みんなの返事がきた。

「明日、隆が俺たちにどう話すか、だな」

「そうだな」

私と友達が違う場所にいるから、みんなLINEで話す形を取ってくれる。

こんな気遣いが隆にもあれば、私との関係も少しは変わってたのかもしれない。

「後から明日の結果知りたい」

「紗枝と別れたら、私たちとは話さなくなるでしょ」

「情報流してね」

みんなに申し訳なくて、私も書き込んだ。

「お騒がせしました。みんな、振り回してごめんね」



「聞いてて思ったんだが、隆は紗枝の事を親にどう話してたんだろうな」

答えられなかった。

「それもあるけど、俺は幸子ちゃんが親がお金で解決しようとした事を知らないと思ってる」

「知ってたら普通止めるだろ」

「知りたい気持ちもあるが、もう幸子ちゃんに会う機会は無いだろうし、真実は闇の中だな」

そこからは自然に就活の話に流れていって、みんなの気遣いに感謝した。



今深く聞かれたら、苦しくて死にたくなる。

隆を好きだった気持ちは、残骸になっても心の奥で馬鹿だった自分を責めていた。

何で許しちゃったんだろう…。

心の奥に不安があったのに、隆に押し切られた…。

身勝手な隆への恨み辛みが1つ1つ思い出されて、隆を憎むより自分を誤魔化してきた自分の浅はかさに悔しさが沸き上がった。

「苦しいんでしょ?いくらでも聞くよ」

言いたいのに感情が昂っていて言葉にならない。

震える私の背中を友達の手が擦ってくれた。



「話せるようになったら聞くからね」

友達はそう言って家まで送ってくれた。

その夜から知恵熱みたいに高熱が出て、私は3日も大学を休んだ。

欠席したのを心配して友達たちが来てくれた。

「疲れたんだよ」

「今はゆっくり休もう」

「そうだよ」

本当に感謝しかない。

みんなが側に居てくれたら隆の事を忘れられる。

「ありがとう」

心から言った。



夕方、隆の友人たちからLINEが来た。

友達はまだ家に居て、みんなで読んだ。

隆からは私が幸子ちゃんに嫉妬するから別れた、と聞かされたらしい。

みんな隆の話を否定しなかった。

隆の必死さが可哀想になったからって言っていた。

確かに悪い所もあるけど良い所もある。

それを分かってこれからも付き合っていく、と隆の友人たちは言っていた。



「何これ」

友達の1人が怒って返信しようとしてるのを止めた。

「何で止めるの?隆に甘過ぎ」

「彼らは3年間友達として過ごしてきたんだよ」

「良い所も悪い所もある、って書いてるじゃん」

「うちらが口を出す事じゃないよ」

最初に言った友達は納得してなかったけど、みんなに説得されて口を閉じた。

「良い機会だからみんなに聞くけど、彼らとこれからどうする?付き合ってる2人が居るから、気まずくはなりたくないよね」

「深く付き合えば嫌でも隆と絡む事になるじゃん」

「だから聞いてるの」



「良いんじゃない?今まで通りで」

1人がおっとりと言った。

「ええー、何で?」

「こっちが排除に出なくても隆の方が嫌がって絡んで来ないでしょ。紗枝から親の話は私たちには伝わってると思ってるはずだし」

「あ、確かに」

「恥ずかしいから近付いて来ないかもね」

みんなうんうんと頷いていた。

「そう言ってくれると助かる」

隆の友人の1人と付き合ってる友達が言った。

「こんな事で壊れるのおかしいし、それに、みんなも彼ら繋がりで誰か好い人見付かるかもしれないしね」

「それが本心でしょ」

にぎやかなままみんなが帰っていった。



不思議だけど、友達と話していたら胸の中でもやもやしてた何かが無くなっていた。

意識してるつもりは無かったけど、私のせいで彼らの仲が壊れたら…。

そう思ってた自分に気付く。

私と隆が駄目になっても迷惑を掛ける人は居ないんだって気付かされて、気持ちが軽くなった。

昨日から友達の優しさに感謝しかない。

いつかは返したいと思いながら、寝てしまっていた。



熱が下がって大学に行くと、笑っちゃうくらい何も変わってなかった。

自分の存在の小ささに今さら気付いて、ホッとしたのと残念なのが半分だった。

隆は幸子ちゃんとの結納の話は友人にもしなかったらしくて、誰も聞かされて無かった。

時間差で隆から幸子ちゃんとの結納の話が出たのは、4年に上がったゴールデンウィークだった。

隆はゴールデンウィークに結納したと話してたのに、つい喋り過ぎて隆本人が年末だと言ってしまった。



隆の友人たちは呆れていたが、隆に対する態度は変わらなかった。

隆の事はみんなから自然に耳に入ってくる。

それでもニアミスは笑えるくらい無かった。

友達の予測の通りで、私や私の友達が絡むイベントには隆の方が来ないから、トラブルも無かった。

「生暖かい目で卒業まで見ていくさ」

「本当に親の会社に入るなら、コネになる」

「それが学生時代と社会人の違いだ」

気付いたら頷いていた。

持ちつ持たれず。

みんな利口だと思った。



卒論も終わって、後は卒業を待つばかりの年末に、小さな出来事があった。

もう大学に4年の姿は無いのに、不思議と噂だけは居なくても聞こえてくる。

笑って聞き流してたら、幸子ちゃんから電話が来た。

「会いたいんです」

「私に?」

会う理由に思い当たらなくて、それより、私のスマホの番号を知ってるのが怖かった。

隆の顔が浮かんだけど、隆なら私の番号を残してるとは思えなかった。

「来週で良い?」

「…その間に隆さんと口裏を会わせるんですか?」

「え?」

驚きで変な声が出た。

同時に幸子ちゃんの電話の目的も分かってしまった。



「私今ね京都に居るの。先月の初めから研修で、帰るのは来週の金曜の最終の予定なの」

「…え」

電話から幸子ちゃんの困惑してる声が聞こえた。

「そんな…じゃあ…隆さんとは…」

幸子ちゃんの声が尻窄みに小さくなっていく。

「隆さんとはあの文化祭の後会ってないわ」

「そんな…」

隆の浮気の相手が誰なのか、聞こえてきてるけど幸子ちゃんに教えるつもりは無かった。



「会えますか?」

「来週の土曜の夜なら」

幸子ちゃんは先に来ていた。

緊張して青ざめてる顔が痛々しかった。

私を迎えるために立ち上がった幸子ちゃんは、杖で体を支えていた。

「お呼び立てしまして」

「1年ぶりだね。歩けるみたいで良かった」

「ゆっくりですけど」

幸子ちゃんは、ホッとした顔で席を進めてきた。

きっと私が好戦的な態度を取らないから、幸子ちゃんも緊張と警戒を緩めたんだと思った。



「早速だけど話って?」

「…あの…」

言いにくそうな幸子ちゃんの顔を見て、黙ってるつもりだったのに自分から言ってしまった。

「隆さんの浮気?」

「何でそれを」

幸子ちゃんの顔に怒りが浮かんだ。

「電話で『口裏』とか言ってたから、友達に何か噂があるか聞いてみたの」

「それで」

幸子ちゃんが凄い顔をした。

怒りとやっぱりって悔しさと、信じてたのにって悲しさが入り交じった顔。

私もあの時こんな顔してたんだと気付かされた。

「大学の2年生。前の時は3年だったから、一般で一緒になるけど、2年は無いからどこで知り合ったのかは誰も知らないって」

「…前?前っ…て何…」

幸子ちゃんはパニックおこし掛けてて、慌てて背中を擦って落ち着かせた。

言わなければ良かったと後悔しても遅くて。

やっぱり知らないで通すべきだったんだと思った。

「…知らなかったのね…ごめん」

泣きじゃくる幸子ちゃんは、それでも気丈に全部知りたいと言った。



「事故の後、私とまた付き合う前に1個下と付き合ってたらしい。あの時は別れるつもりだったから相手の事は友達に聞かなかったの」

「気に…ならなかったんですか?」

「事故の事で裏切られてたし、そっちの方が大きかったから。それに、その時は隆とまた付き合うつもり無かったから」

「え?…え?…」

幸子ちゃんの反応に私もビックリしてた。

「…そうか…隆は何も話してないんだ」

その時、私の心に悪魔の囁きが聞こえた。

言っちゃ駄目なのに、言ったら後から絶対後悔すると分かってるのに、私は悪魔の囁きに勝てなかった。



「お母さんから聞かなかった?文化祭の次の日、隆のお母さんと幸子ちゃんのお母さんから呼び出されて、その時浮気の話はしたんだよ」

心臓がだくだくしてる。

幸子ちゃんが聞いてこなかったらお金の話はしない、と決めていた。

それが自分への免罪符の言い訳だって知りながら、逃げ道を作っていた。

「母と義母は何故会いに来たんですか?」

「…隆と別れるようお金を渡そうとしてきたの」

「…え?」

幸子ちゃんがポカンとした。

「お金って…義母が?」

「あなたのお母さん」

「え?母が?そんなの有り得ません。母に限ってお金で解決するなんて…」

幸子ちゃんの声に迷いが混ざった。



「200万入ってるわ」

「え?」

「あなたのお母さんがそう言って封筒をテーブルに置いたの。私、1人は怖かったから友達に一緒に来貰ってて彼女も見てるわ」

「友達って…誰?」

ドキドキしながら彼女の名前を出した。

「お金はお返しした。今思えば、結果としてそれがぐじぐじ悩んでた私の背中を押してくれたから」

「そんな…」

迷う幸子ちゃんから離れて椅子に戻る。

自己嫌悪で叫びそうなのを懸命に堪えて、テーブルの伝票を手にした。



苦い思いに飲み込まれてた夜に、幸子ちゃんからまた電話が来た。

「お母さんから聞きました。聞いても…私には隆さんしか居ないんです」

決心した幸子ちゃんの声に一瞬飲まれた。

正面から平手打ちされたみたいに衝撃だった。

「…幸子ちゃんは強いね。私は弱かった…隆の一言に振り回されてそんな気持ちは生まれなかった…」

沈黙の後…幸子ちゃんが言った。

「私…お腹に赤ちゃんいるんです…」

「…おめでとう。元気な赤ちゃん産んで…」

「はい」

もっと言いたそうだったけど、電話は切れた。






あれから5年。

今日取引先で隆を見た。

隆のお父さんが勤める会社の子会社に隆がいた。

お父さんの会社に入ったはずなのに…。

そこまで考えて、考えるのを止めた。

ここに居る理由は分かる気がした。

隆は私に気付かなかった。

外見も変わったし、内面も少しは強くなった。

もし隆とニアミスしたら…。

ずっと怖かった。

この会社に来るのも緊張して、来る前に胃薬飲んだくらいガチガチだった。

…ふ。

隆を見て…やっと私の初恋が終わったんだ、って思う事が出来た。

長かったな…高2から今日まで。

ガラスのずっと奥の隆に小さく手を振った。

「ありがとう。さようなら」

もう燃えるような恋をするだけ情熱は無いけど、出来るならゆるい恋をしたい。

今なら…今なら出来る気がした。









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