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「2016.12月の感傷人格が書いたもの」

「君」

作者: ちなつ。

 君は言った。


「優しくないよ。傷つけないだけ。」


 傷つくのが怖いから、傷つけないだけ。


 君は言った。


「聞き上手なんかじゃないよ。話せないだけ。」


 特に趣味もなくて、面白い話もできないから、

 だから、必死に相槌うって話を聞くくらいしかできない。


 君はそう言った。

 そして、こう言った。


「ごめんね。こんなつまらない奴で。」


 寂しそうな顔をしていた。

 けれど、笑顔であった。


「笑っているくらいしかできないんだよ。」


 君は恥ずかしそうに鼻を掻く。


「自分なんかが誰かに受け入れてもらえるとは思えないんだ。」


 私は思った。

 私と同じだって。


 自分なんかが誰かに受け入れてもらえるとは思えない。


 キスしたって胸が寂しい。

 口づけはマヤカシ。

 彼が好きなんじゃなくて。

 彼が私を求めていることが好きなの。


 それは私に《生きてる》と《此処にいる》ってことを教えてくれるから。


「それ、誰でもいいんじゃないの?」


 君は微笑みながらそう言った。


 うん。

 多分、君の言う通り。


「でも、手首を切るよりはマシだね。」


 嗚呼。


 君は聞き上手だよ。

 話せなくなんかない。


 ただ、もう少し君自身のことを話してほしいな。


「はは」


 君は笑っている。


 けれど、やっぱり自分のことは話そうとしない。


 

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