― 後記 ―
「転校生」を書いてる頃、まだ佳境にも入ってない頃だが、『次回作は読者が読んでる最中及び読了後、思いっきり憂鬱になるような、重苦しくドロドロしたハードな復讐劇にしよう』と思った。
・・・俺自身がいつまで生きられて、あと何作残せるか、と考えた時に、現状の俺が書ける最高(最低?)のヘビーな作品を書きたいと思ったからだ。
まず主人公の人物像と職業を考えた。・・・俺のかつての作品に登場した人物の職業というと、車の修理工・スタンド店員・建設会社の現場代理人・ガードマン・ライブハウス店員・学生(のちに商社マンとセキュリティ会社経営者)
今回はそういった一般人ではだめだと考える、はなっから因縁まみれの背景を持った人物がいいと思い、『刑務所帰りでカタギになろうとしている元ヤクザ』が最適だと思いついた。
そして書き出しのシーンは、カタギとして働いている姿がいいと思い、俺は本業であるクレーン操作をしながらあれこれ考える。だがいまいちピンとくるものが浮かばない。・・・当時の現場は鳶相手に鉄骨の建方をしている最中だった。・・・俺はふと、「あ、鳶でいいじゃん、目の前の連中も半分ヤクザみてえななりしたヤツらばかりだし・・・」と、ひらめいた。
そう安直に決めると、悩みもせずに冒頭のシーンが浮かんできた。・・・実はこの作品の中で俺が一番気に入ってるシーンだ。『風が吹いていた』で書き出そうと決めると、あとはすんなりと続いた。そこからはいつも通りプロットなしの、いきあたりばったりで走り続けた。
・・・ところが今回は、いつも通り順調に毎日更新、というわけにはいかなかった。
俺が作中で殺した登場人物の祟りなのか、途中から体調を崩す。・・・周期的に襲ってくる激しい胃痛に苛まれる日々が続き、精神的にもまいった。・・・ストーリーに向き合おうとすると吐き気をもよおして、更新できない日々がたびたびあった。
病院に行き痛み止めをもらって、胃痛は次第に治まってきたが、更新するのが精神的に苦痛なのはずっと続いた。・・・これも死んだ登場人物の怨念だろうか、書こうとすると吐き気がして、書かないでいると締め切りがあるわけでもないのに、強迫観念に駆られた。
そんな感じで後半は、とにかく早く完結させたい、完結させて早く楽になりたい、と思い続けた日々だった。・・・生涯忘れることはないだろう、・・・痴呆にでもなれば別だが。
内容的にはあらすじにも書いてあるように、『著者渾身の激烈ハードボイルド』にふさわしいものになったのではないかと自負している。・・・いろんな意味で矛盾点があるのは自分自身でもわかっているが、指摘や検証されるわけでもないので、あえて直すこともしない。
俺の作品の場合、重要視している部分は、登場人物の強靭な信念や躍動感や勢い、リアルな暴力や破壊の描写、それに尽きている。・・・稚拙で野蛮なものしか書けないということも自負しているのだ。そして極端なことを言えば、俺自身が書いて読んで痛快で爽快ならばそれでOKなのだ。
最後に、いつもご愛読してくれる皆様、応援してくれる皆様方には、いつも感謝しています。ありがとう。
村松康弘




