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夏生詩集

二級天使

作者: 夏生

もうすぐクリスマス

ああ、今年こそは

翼を貰えるかなあ


去年はいつも通りの

クリスマスにするだけで

精一杯だった


それでも泣いている人がいて

途方に暮れている人がいて

神も仏もないと恨む人がいて

傷だらけで晒された人がいた


世界中の人間を幸せにするなんて

無理なんだと思い知らされた


翼をつけた奴らは

助けたい人を選んで助ける

行いがよかったとか

倹しく健気に生きているとか

上から見て評価して

助けだす


翼のない二級天使の私は

人と同じ位置でみるから

行いが悪い人間の眼がよくみえる

あの深淵を私はおそれてしまう

ああ、ここまで闇にさらわれて

しまって


生きているとはどれほど苦しいだろう

気づけば心を寄せてしまって

それが一人二人でなく

果てない人数で私は誰一人救えず

心にそっと絆創膏を貼ってやれたら

御の字で


行いがよくても過酷な道をゆく人

私は日の光や柔らかな風になって

そっと触れる


ほんの僅かな慰めしか与えることは

できない

もし、今年のクリスマスに

翼を授かることができたら

私はできる限りの人を助けたい


選ぶのではなく、呼ばれたらすぐに

翼を広げて飛んでいくのだ

でも

翼を持ってしまったら

人間と同じ目線でみることができなくなる


毎年、悩んでしまうのだ

もう何百年目だろう



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