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■視点:【オーガニック】航空中隊の一機


 空を翔る中隊の【オーガニック】十二機。

 名付きの悪魔「キャットフィッシュ」の出現により迎撃に向かう。

 幸いというかあの悪魔の場合大抵そうなのだが、都市がそこにあるかどうかは全く気にしていない、としか思えないような出現の仕方をする。そこら辺りがせめてもの慰めだろうか?

 既に戦闘は各所で始まっている。

 警戒態勢が事前に敷かれていた事から、どこの基地も即座に反応した。

 地上部隊でも最も近隣の基地は既に交戦を開始したという。

 

 『各機警戒しろ、そろそろ見えてくるはずだぞ!』


 おっと……考えてる余裕はないか。

 そう思いながら、ちら、と前方へと視線を向ける。

 宇宙軍から派遣された坊主。

 まあ、きちんとした学校を卒業後、士官になるってのはよくある事だ。最近はそれが若くなってるだけで……。

 やだねえ、自分の子供ぐらいの奴を戦場に出すってのは。

 いや、腕に問題はねえのはよく分かってる。来てすぐにやった模擬戦、一旦地上の空に慣れてしまった瞬間からうちの誰も敵わなくなった。お陰で現在じゃあいつが模擬戦の際はあっちが教官役だ。ま、戦場じゃ仕方ねえんだけどな。

 しかし、妙に気になる事がある。

 どうにも前を往く坊主の機体が安定性を欠いてるように見えるって事だ。

 どうしたんだ?

 

 『西坂、どうした何か調子でも悪いのか?』

 

 と、隊長もやっぱ気づいてたか。

 誰だってそりゃあ気にするわな。一緒に戦闘に出撃するのははじめての相手だ。


 『いえ、ちょっと……』

 『ちょっと?どうした』


 何か歯切れが悪いな?

 そう感じたのは隊長も同じだったらしい。


 『どうした!はっきり言え!!』

 

 流石に視線が厳しくなっている。

 そりゃあこれから戦場に向かうって時に何かあったら拙いわな。

 その剣幕に誤魔化しきれないと思ったのか何とも言えない顔で坊主は白状した。


 『その……部隊の飛行速度が随分と遅いなーと……』


 思わず速度計を見た。

 ……十分早い速度だと思うんだが、と思ったら……坊主がしばらく前にいた宇宙軍の速度が速すぎただけだった。

 っていうかそんな速度で飛んだら宇宙に飛び出しちまうよ!!

 ……そんな速度で戦闘やってん、じゃねえ、巡航速度かよ。場所が広いせいで速度も桁違いだな、おい。

 しっかし、そんな速度で飛び回ってるのを何年もやってりゃそりゃあこの程度の速度じゃ遅くも感じるか。……成る程な、あの戦闘時の強さはそっからか。速度が速いって事は逆に言えば交差もそれだけ一瞬の事になってくる。人間が走って近づくなら世界最高記録レベルの奴でも1秒で10m程度、通常は10m未満。駆け寄ってすれ違って、そっから制動かけてまた突っ込むにせよすぐ傍に相手がいる。

 けど、秒速でkm単位なんて速度でかっ飛んでみろ。一瞬で相手は遥か彼方だ。

 そりゃあ地球の空だって狭いだろうさ。

 けど、それすら上回る正に一瞬のすれ違いに相手を撃破するだけの一撃を叩き込む。それがどんだけ大変だと……。

 どこか部隊の呆れたような空気は戦場が拭い去ってくれた。


 「!後方より敵機!!数8!!」 


 何時の間に?

 ……いや、確か半島から飛来した奴らがいたな。警戒網を掻い潜って先行した奴か?それとも前線から漏れた奴か?

 しっかし面倒な時に……。「キャットフィッシュ」から放出された群れの一部が都市に迫りつつあるんだぜ?警戒態勢が出来てたってどこに出てくるかは分からなかったんだ。出現してから、即出撃したとしても十分な数の部隊が集まるにはどうしたって時間がかかる。


 『この急ぐ時に……仕方ない、まずはあいつ『いえ、すぐ終わります』なに?』


 隊長の言葉が終わる前に割り込んだ坊主の声。

 直後、俺の目の前を飛んでいた坊主の機体が振り返った!

 馬鹿、そんな事したらぶつか……らなかった。

 通常、空でその場で回転なんてしたらバランス崩して落っこちる。それが坊主の機体には起きなかった。いや、それどころか瞬時にそのまま一回転。後方を向いた瞬間に腕から幾つかの光が煌いて……。その結果は後方の8つの反応が消滅するという形で示された。

 

 『迎撃完了』


 ……おい。何だよ今の機動は?

 いや、今の一瞬で後方からバラバラに迫ってた奴ら全部叩き落した、ってのか?

 これが……宇宙軍の奴らだってのか?

 隊長でさえ声が出せない中、俺達はただ飛んでいた……。

宇宙空間での戦闘って速度が物凄いんですよね

銀英伝なんかではミサイルとかレールキャノンなんて装備が出てくる訳ですが実体弾兵器は実際は厳しいでしょうね

例えば双方が3光秒の距離をあけて対峙して攻撃を開始した場合、3光秒というと一見短いようだけど実際は90万km弱

地球から月までの距離の2.3倍強

ミサイルが音速の20倍で飛んでったとして、90万km弱の距離を飛ぶには36時間以上……

逆に割り出してみましょう、3光秒向こうの敵にミサイルが10分程度で到達しようとすればどのぐらいの速度でミサイルが飛べばいいのか……ざっとマッハ4400と出ました。無理ですね

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