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本日は幕間というか暇話みたいなお話

■視点:某国


 「宇宙軍への二期生の応募の方はどうなのだ?」

 「……何とか枠は確保出来たが、二名のみ、だ」

 「何だと!」


 一斉に不満の声が上がる。

 優秀な民族である自分達が!という声も聞こえるが、そもそも三年程前に自分達がどんな事態を仕出かしたか都合よく忘れ去っているらしい。

 そもそも、今回の二期生募集とて各国が送り込もうとした枠内に二名を送れただけでも上等だ。彼らは都合よく忘れ去ったり、自分達に都合良く歴史というか過去の出来事の内容を捏造しても他の国は忘れたりしていないのだから。

 事実、今回は彼らを除外すべきではないか、という意見は存在していた。

 が、その事でくだらない策謀をまた仕出かすのではないか、という意見もあったし、一国のみ仲間外れとするのは今後「ミスをした際に世界中で一国だけ利益を受けられない」という前例となりうるのではないか、という懸念もあった。彼らが深刻極まる失態を仕出かしたのは事実だが、今後それよりもずっと軽い失態でも前例を元に利用する者が出るかもしれない、それを警戒する者は想像以上に多かったという事だ。

 しかし、某国の首脳陣たる彼らはそんな事に思い至らない。

 彼らの脳裏にあるのは自分達が何故このような処遇を受けねばならないのか、という不満のみだ。

 無論、あの時世界中に失態を公表された面々は既にこの世にいない。表立っては殺したという話はない。ただあの後官憲の捜査が周囲に迫っているという話が流れて間もなく、自殺したからだ。家人はこぞってあの時以来、酷く疲弊していた、と述べて某国内部では自殺として終わった。海外は疑念の視線を向ける者もいたが、某国内部の事にまで、それも既に終わった人間の事に時間と金を割くような者はいなかった。自国の策謀であれば動いたかもしれない。それは自分自身の武器として利用出来るかもしれないからだ。

 だが、某国のそれを握ったとして何か意味があるのか?と問われたら、必要とされるであろう金と時間と人に見合うものが手に入るとは思えなかった。

 故に海外でもそれは自殺として扱われたのだ。

 

 「……だが、実力行使は出来ん」


 苦い苦いものが混じったその言葉に反論は、ない。

 誰もが理解している。おそらくそれをした時に待っているのは自分達の破滅だと。

 それを理解する程度の頭は持っているからこそ、手を出さない、出せない。

 

 「しかし……だからといってこのままでは!」


 全ての国が一名、ないし二名程度ならいい。

 それなら我慢も出来る。

 だが、この国に割り当てられた二名、というのは各国の最低ライン。

 無論、二名というそこには男と女。最低限の国の血を次世代に繋ぐという意味合いが色濃く込められている。無論、二名程度では純血を残すには足りないだろうがそこら辺は気持ちの持ちようだ。ただ、それを全然理解出来ていない国は多かったが……。

 いずれにせよ、有力な国家、或いは元々宇宙軍に大きな影響を持っている国には多数の枠が割り当てられている。

 例えば、日本の場合割り当て人数は100。

 勿論、いい事ばかりではなく、それだけの本来自軍に属する事になるはずの人間を引き抜かれるという事でもあるが、某国の人間達にとって圧倒的に負けているのは何とも腹立たしい。

 あくまで二期生であり、まだまだ教官の数が揃っていない為にこれでも控え目になっている反面、幾ら大国、幾ら影響力があるといってもそこからばかり引き抜いていては今度はそれらの国から「うちの戦力を引き抜くな!」という文句が出る事になるのは確実であり、ある程度からは他の国からの人間も増えるはずだ。

 だが!某国の彼らにとってはあくまで今が大事なのだ。


 「他の国との連携は?」

 「無理だ。あの時以来、主だった国はどこもうちと距離を置いている」


 問いかけにははき捨てるような口調の返事が返ってきた。

 これまた事実だ。

 誰だって、彼らの暴走に巻き込まれて大怪我を負いたくないに決まっている。せめて利用価値があるのならば先頭で目立つように踊ってもらうという役割ぐらいは与えられようが、肝心の利用価値も三年前の一件で木っ端微塵に吹っ飛んだ。あんな全世界生放送を見せられて、尚彼らに擦り寄る国がいたら、それは彼らの同類でしかない。少なくとも、一定以上の国力を持つ国のトップ達は誰もがそう考え、火薬庫の傍で松明を持って踊り狂う馬鹿から距離を取った。

 お陰で、未だに彼らのロビー活動は低調なままだ。

 金で動いていた連中までが一斉に距離を取ったぐらいだ。


 「ふーむ……ならばこういうのはどうだろう?」

 「何?……ふむ、それなら何とかなるかもしれん」

 「うむ、多少金はかかるだろうが、それならば……」


 後に数ヶ国で某国の人間が養子に迎えられ、その養子達が宇宙軍への派遣人材と決定。

 大問題へと発展する事になるのだが……この時はまだ誰も知る由もなかった。

 とはいえ、今回に関してはまだ「あの国にしてはまだマシ」という意見が出た辺り、理解していた国は多かったという事か……。

 

 後にこの処罰の為に某国の今年度枠+援助と引き換えに枠を譲った国の割り当てが消滅に至り、火病る事になったり、援助すると言っていたのに約束された援助が為されず騙された!と各国が怒り、更に某国が距離を置かれる事になる訳だが……。

 今回に関しては実に平和(?)な一コマであったと言っておこう。

という訳で、さすがに某国も今回は直接的な手出しは諦めました

問題はこの後色々起こしたりしますけど

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