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 【はっはっはっは!!よくぞ避けた!ほめてやろう!!】

 

 そんな声に一番に反応したのは矢張り教官達だった。

 無言のままに一気に生徒達との距離を詰める。

 だが、その前に事態は動いた。


 「んなッ!?」

 【ふん!!】


 西坂の眼前に突然、本当に突然【オーガニック】が出現した。

 いや、実際には【オーガニック】ではなく「悪魔」の一体だ。だがその見た目はそれまで見慣れた生物的なものではなく、【オーガニック】に近い人型だった。 

 悪魔というものは色合いは結構様々で【オーガニック】と似たような色合いになる事もある。

 しかし、外見が人型とは外れた虫型、奇怪な獣型、或いは古代の悪魔のような外見となっている。ここで言う奇怪な獣型とはキメラなどの伝説の魔獣をモチーフとしているような、と思ってもらえれば分かりやすいだろう。機械型は虫型が多く、生体型に獣や悪魔形状のものが圧倒的に多い。

 まあ、見た目だけではさすがに一瞬では区別が着かないからだろう、敵味方識別装置はどの【オーガニック】にも最初から搭載されている。

 だが、このような、一般的な【オーガニック】を思わせるような外見のおそらくは「悪魔」には出くわした事はない。実際、敵味方識別装置が「悪魔」だと識別していなければ断言出来なかったかもしれない。それでもその想定外の外見と、何より突然に眼前に出現した事によって動けなかった西坂の機体が思い切り蹴り飛ばされる。

 圧倒的なパワーを誇るその一撃に抵抗も出来ず吹き飛ばされる。が、ここで幸いだったのは攻撃を食らったのが西坂であったという事だろう。


 「うあッ、くッ!!」

 【ほう!避けたか!!】

 

 慣性制御のお陰で吹き飛ばされたといっても傍から見れば僅かな距離。

 殆ど自分から飛んだと思えたのではないだろうか、1m程度の姿勢を崩しての後退の直後に機体が上へと跳ね上がる。

 結果として、追い討ちのように放たれた弾丸は西坂を捕らえる事なく空を切って。


 「うぐあッ!!!???」

 【ならばこれはどうだ?】


 直後に天頂方向へと離脱しようとした西坂の機体の背後へと再び姿を現した「悪魔」からの攻撃が再び西坂を弾き飛ばした。

 実は悪魔にも格とでも呼ぶべきものがある。

 これまで彼らが相対してきた「悪魔」とはいずれも下位に属するもので、こうした知性ある悪魔達を上級悪魔と宇宙軍では分類している。地上では名付き、それも単体で巨大化した生体型と呼ばれる悪魔となってようやく宇宙では上級悪魔に分類される、と言えばどれだけこの上級悪魔が危険な存在か分かるだろう。無論悪魔である以上、更に危険な存在も確認されており、こうした現在最上位に分類される悪魔達を魔王と呼称している。もちろん、魔王として名称を与えられうようなのはそれだけ数が少ないという事でもある。

 最低でも、恒星間航行船でも「旗艦級戦艦」クラスに分類される特に大型の艦、もしくは惑星級の超大型要塞のコアとして存在しているとされている。

 これらのクラスの艦艇はいずれも周囲に護衛艦隊を持つ為に実質的に指揮下に置く悪魔の数は膨大な数となる上、その戦艦などが悪魔が合体して形作られているという事を考えれば空母的な機能も有していると言えるだろう。

  

 当然、こうした上級悪魔は強い。

 しかも、この悪魔に関しては知識として教えられていたものの知っているのと見るのとでは矢張り印象というかインパクトが違う。

 その為に反応が遅れ、それでも咄嗟の反応故にか目立った損傷のない事に少し興味を持たれた、という所だろうか?

 それでも危うくトドメを刺されかけたが、助かったのは矢張り飛び込んできた教官達のお陰だ。

 

 【む……介入してきたか】

 『生憎、まだ慣れてない学生に相手をさせる訳にはいかんのでな』


 ゴットフリート大佐にそのコンビを勤める教官。

 両者以外の教官は弾き飛ばされて衝撃でふらつく西坂を確保すると共に、他の学生達にも声をかけて後退する。

 戦闘が開始された所へ下手に横槍を突っ込むと却って味方を妨害する事になりかねない。

 ましてや両者ともが短距離の瞬間転移を繰り返しており、そこへ慣性制御による機動が加わると分からない人間には本当に訳が分からない。

 何しろ、一瞬だけ姿を現し、その一瞬で刃を交わし、或いは銃撃を交わし、また消える。

 そんな戦闘の光景を学生達は何とも言えない顔で見ていた。


 これまで戦闘では射撃系の攻撃が重要だった。

 だが、眼前のような戦いを見ていれば、一定以上の接近戦が必須という事が見えてくる。

 無論、或いは消えている間に距離を取る、消えていても攻撃出来るなどなんらかの対応策があるのかもしれない。けれども、一気に間合いを詰められるのでは接近戦が全く出来ないのでは最悪あっという間に殺されかねない。


 「……教官達が接近戦にも力入れて教育する訳だ」


 誰かがポツリと呟いた。

 その言葉に頷く者は多くとも、反論する者はいなかった。

 ……戦いはそれでもゴッドフリートが圧し出した事で上級悪魔が早々に引いた。

 単純に戦うだけならばそう遠くない内に撃墜していただろうが、残る悪魔達が一斉に直接戦闘は不可能な輸送船型の空母艦隊や月面基地へと一斉襲撃をかける動きを見せた為にそちらへの対処の為に引かざるをえなかったからだ。彼ら最優秀の軍人達を最前線から引き抜く代償は安くはなく、月面基地の戦力はその数においては二割近い減少数になっていた事もやむをえず撃墜を諦める事の原因となった。

 こうして、学生達の色々と初となる戦いは終わったのだった……。

明日はゴットフリート大佐視点での戦闘場面予定です


それと0時に、ワールドの方の投稿予定

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