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■視点:西坂


 「な、何で……」


 思わず、といった感じで声が通信機に響く。

 自身の声だけでなく、複数の人間からだ。


 『言いたい事は分かる。何で学生の自分達に、って事だろう?』


 ゴットフリート大佐の声はあくまで軽い。

 が、そう言いながら三機の小型悪魔をまとめて撃破している。

 

 『いいか、お前らは将来的に上に上がる事を期待されてんだ、それは分かるな?』


 まあ、それは分かっている。

 自分達が習っている事の密度は高い。単なる兵士としての訓練だけでなく、本来ならば士官学校でやるような事まで仕込まれている。はっきり言ってしまうなら少人数でしかも教官が多いせいでマンツーマンとまではいかないにせよ生徒二人に一人の教官がつけられるぐらいの密度だからこそ出来る事であり、正式に学校として開始されたら出来るような事ではない。

 あれこれ試しているという事でもあるが、それだけに彼らは生き延びて指揮官たる事を求められている事ぐらいは分かっていた。


 『だから今の内にやっておくんだ。お前らの中には西坂より指揮官役が上手い奴もいるし、余り相性がよろしくない奴だっているのは知ってる。けど、な?それがどうした?』


 声の質が変わった。

 軽い口調ではなく、真剣な重い口調だ。


 『そんなもんはこれから幾らでもある。気に入らん奴が上司になる事だってあるし、自分の方が上手く指揮出来るって思う時もあるだろうよ。……けどな。ここは軍隊なんだ。友達同士で遊びでやってんじゃねえ。理不尽な命令だってならまだ分からんでもないがな、その程度で喚くんじゃねえよ。そしてお前らだって生き延びてりゃ何時かは指揮官やるんだ。その時になってやった事ありませんから出来ませんとでも言うつもりか?誰だって最初は初めてなんだよ』


 一期生達からは声が出ない。

 ゴットフリート大佐の言葉が真実だからだ。

 気に入らない相手でも、それが上官であれば従わねばならない。それが軍だ。

 

 『分かったか?分かったらさっさとやれ、返事はどうした、西坂!』

 「はい!」


 思わず反射的に声が出た。

 更にゴットフリート大佐に次々と名前を呼ばれて皆思わず、といった感じで反射的に返事をする。

 何でもとりあえずは呼んだ順番で、指揮権の継承をやれって話だ。まあ、なければない方がいい。だって、指揮権の継承がされる時って俺が重傷で指揮取れないか、死んだ時だもんよ……。

 

 『……まあ、しょうがないよ。西坂君も皆もいきなりって事で不安な点はあるだろうけど頑張ろう』


 そうアルバートが口にした。

 その言葉に皆は口々に『そうだな』とか『やれというのが命令だ。命令である以上それに従う』とか色々だ。カルロも『分かった』と案外素直に答えてくれた。


 「……仕方ないか。じゃあとりあえず潰すのは……本当なら目、って言いたいんだけどな」

 『だろうね』


 まずレーダーなどに相当する部分を潰していく。 

 本来ならそれがいい。そうすれば、狙いもいい加減になるだろうし、あとはゆっくりと中枢を潰していけばいい。しかし……現在の場所が問題だ。

 現在の場所は月近く。

 宇宙空間で言えば地球のすぐ傍と言っても過言ではない。こんな距離で主砲を撃たれたらどうなるか……。大気圏を突破して、地表に直撃し、最低でも大都市ひとつぐらい軽く吹き飛ばすだろう。下手に目を潰して、乱射でも始めたら、そうなった時一発や二発地球に向けて飛んでいく可能性は十分あるだろう。

 しかし、主砲以外は大気圏を突破可能な程の大威力は持っていなかったはず……。

     

 「だから、まず主砲を潰す」

 『『『『『『『『『『『『『了解』』』』』』』』』』』』』


 全員異存なし。

 まあ、異存がある方がおかしいだろう。


 「俺が第一砲塔を潰す。第二はセシリア。第三はゲンリフ、第四はアルフォンスだ」

 『了解』


 挙げられたのは全員が装甲を切り裂けたり、或いは大火力の武器を持つ者だ。

 当然の選択と言えるだろう。

 後は……。

 

 「セシリア達は何時もの三人で頼む。下手に他のメンバーが入ると連携が崩れるだろうし」

 『確かにその通りですわね。了解です』


 セシリア組はセシリア、黒田、ナターシャの女性三名。

 普段からこのメンバーで組んでいる為にコンビネーションも良い。


 「ゲンリフの所はアルバート、アルフレート、それにマリークだ」

 『承知した』


 ゲンリフの武器ではやや時間がかかる可能性がある。

 なので、四人の次に貫通力の高い火力を持つアルフレートを入れ、更にもし西坂が倒れた時に指揮権を継承するアルバートを入れる事で最悪の場合に備える。


 「アルフォンスの所はラルフ、ギュスターブ、ヴィルゲルムだ」

 『分かったよ。あ、小隊長はヴィルゲルム、頼んでいいかい?』

 『……分かった』


 アルフォンスは割と重い責任を持つよりも身軽な道を選ぶ傾向がある。

 自分でも認識はしているらしいが、今回はその方がいいだろう。何せ、アルフォンスの場合は狙いに集中する必要がある。


 「残るカルロとラービフは自分の所な」

 『……了解だ』

 『うむ、了解した』 

 

 最後は自分。

 カルロは一番のライバルだが、それだけに互いにタイミングなどを一番理解している相手でもある。

 それに少なくともこういう時にサボタージュをやらかすような奴じゃない。ラービフは俺とカルロのどちらとも仲がいいから、もしも俺とカルロが衝突した時にも間に入れる。

 それじゃ……。


 「作戦開始する。先は長いんだ、手早くやっちまおう」

次回から順番に破壊光景です

戦闘シーン頑張らないと……


機関部の方がいいんじゃ?とか思うかもしれませんが、こいつらは通常のロケットみたいに推進部から炎を噴出してるとかじゃない為、装甲が厚いのです

そっちの破壊に時間食ってる間に主砲撃たれたら、地球に飛ばずとも月に撃たれてもえらい事になるので、こういう惑星近傍での戦闘の場合、まず主砲を潰すって話に……

そうでない場合は、まず比較的脆い探知機器を潰し、それから対空火器を潰しながら機関部を狙います

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