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明日からは別章となります

■視点:国連総会


 某国が暴走と神々の処罰によって実質的に脱落した後、国連総会では宇宙軍に対して動きを見せていた国の二番手グループに注目が集まっていた。

 これまで大国でありながら、某国を盾として本音を隠していた国々。

 それらがどのような要求を宇宙軍に突きつけるか注目が集まっていたし、宇宙軍も注視していた。もちろん、某国自身はあの映像を偽りだ、工作だ、我が国の要求を聞け!と喚き、工作を続行していたが最早まともに相手をする国は……ああ、もちろん、表面上は真摯に聞いている様子を見せてはいただろうが、言質は与えず、その主張に同調する事もなかった。

 

 「かなり強硬な要求を出してくるのではないか」


 そう予想されていただけに、彼らが示した案には驚きと共に拍子抜けというべき空気が漂う事になった。

 彼らが出してきた案は次のようなものだった。


 「1、宇宙軍の求める人材の詳細」


 これは宇宙軍はどんな人材を求めているのか、それを公開して欲しい、というものだ。

 これまで某国も含めて彼らの送り出してきた「自慢の人材」は殆どが短期で命を落としてきた。

 何故なのか?

 おそらく宇宙軍には薄々推測がついているのではないか?あるのならば、それを出して欲しい。我々もそれに沿った人材を提供する用意がある。


 そんな内容だった。

 完全にはぶられていた某国などは唖然とした様子だったが、事前に知らされていた宇宙軍やアメリカ含めた各国は驚きの表情を見せる事なく、けれど事前に知らされていたという事を隠す為にわざわざ傍の同僚と会話を行う振りをしてみせている。

 こんな案はもちろん当初は影も形もなかった。

 それがここまで軟化したのも「まずは宇宙軍に人材を送り込む事を最優先」する事を彼らが決定したからだ。

 そして。


 「2、宇宙軍の為の教育機関の設立」


 これまで宇宙軍は既にある程度育った人材をスカウトする、或いは各国軍に要請する事で人材を拡大してきた。

 しかし、そろそろそれを止め、宇宙軍自体が次の世代の人材を育ててはどうだろうか?


 そんな意見だった。

 場所は月クレーターの一つを用いて、その周辺空域と共に訓練宙域とする。

 勿論、建設代は各国共同で出し、その出費額に応じて一定数の学生枠を確保出来るものとする、という案だ。

 あくまで一定数であり独占ではない。

 百人の生徒の内、一人二人でも確実に入れていこうという考えでもある。

 ただし、ここで宇宙軍にちゃんと逃げ道を残してもいる。

 それがこの要求にこっそり付帯された条項。あくまで付帯されているものであり、発表では読み上げられていない部分があった。もちろん、書類をきっちり確認すればそれがしっかりと書かれているのだが、逆に言えばそれを読んでいなければ後で気づいて喚いてもどうしようもないという事でもある。それこそが。


 「ただし、宇宙軍は卒業生全てを雇用する必要はない」

 「教育に関しては宇宙軍より派遣するものとする。尚この際、現場の人間である必要はないが、現場の人間の話、生徒が話を出来る機会は設ける事」


 早い話、宇宙軍が宇宙軍のやり方で教育してもいいよ。

 でも、どうしても「こいつ使い物にならねえ」という奴がいたらそれは宇宙軍への採用断ってもいいよ。

 そんな条項だ。

 もちろん、大国連中は1で公開される条件を元にきちんと採用されるような人材を送るつもりでいる。

 実を言えば、各国は今回の件でもう一つの現実に気がついていた。それは【オーガニック】も所詮、神々のものだという事。一度神々がその気になれば、【オーガニック】を通じてであろうが全ての秘密は白日の下に晒される事になる。逆に言えば、神々がその気になれば【オーガニック】は最悪人類の敵に、「悪魔」の同類になるであろうという事。

 幸い現在宇宙軍はある意味最も人類独自の技術が進んでいる所だ。

 人類独自の技術での宇宙船やコロニー、惑星基地の開発も実験段階だが進めている。

 これに梃入れする事で、最悪の場合、人類の箱舟となってもらう。その時、自分の国の民族がいないのは困る。

 もし、どうしても情報が欲しいのならば既に宇宙軍に所属している人間を懐柔するか、或いは何らかのソフトな手段で入手すればいい……。

 彼らは割り切ったのだ。

 最優先で確保すべきは何か。そこを突き詰めたのが今回の案だった。

 一見すれば宇宙軍の全面的勝利と看做す者もいるかもしれないが、それだけしか見えない奴らはそこだけ見ていてもらえばいい。

 そんな考えに基づいて出されたこの案は既に宇宙軍に権益を持つ国も、宇宙軍にとっても譲歩出来る範囲であり、彼らの引ける範囲内、というより予想以上の大国側の譲歩だった。

 一部の、本当にごく一部の反対はあったものの、この案は結果として正式に総会決議として発表されたのだった。




■視点:西坂

 

 「結局学校を離れて、別の学校かよ」

 「……仕方ない」


 嘆く西坂の隣で黒田がぼそりと呟き、笹木と南宮、他の同級生は笑っている。

 黒田もまた宇宙軍にスカウトされていた事から共に宇宙へと上がる事になった。その為に現在は迎えを待っている所だ。


 先日、国連総会において当初予定されていたものよりも随分と要求を下げた内容の決議が公表された。

 西坂らはその新設が決まった教育機関の前段階、現在月面にある宇宙軍基地の一角を借りての教育実験施設の一員となる。

 学生をある程度集めて、正式な教育機関の為の教科書や教導のやり方を確立しよう、という事であり、そうした召集される学生の第一陣となる。それだけに各国共殆どが一名であり、日本が二名を出す事はやや揉めたが、先日馬鹿をやった某国が狙ったのが「宇宙軍のスカウトを受けた日帝の学生」である以上、両方共に地球に置いておくのは危険だという意見に、万が一これも神々の逆鱗に触れる事になったら、と考えると引かざるをえなかったというのが正しい。勿論、結果として某国への苛立ちは余計強まった訳だが。

 

 「まあ、元気でね」

 「ああ、次に会った時戦死してました、なんて事になるなよ?」 

 「あははは、むしろ宇宙の方が危険だっていうから、それはこっちの台詞だと言っておくよ」


 そうして、西坂と黒田。二人は宇宙へと上がる。

結局、強硬派が引きました

神々の掌、って危険性を認識し直した結果といいますか……


次回は二年ちょい程進んで、学校の卒業間近な頃に移る予定です

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