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 あの後地上支援を行ったが、然程時間はかからなかった。

 軍の地上部隊が到着したからだ。

 幸い面倒そうな奴らは既に撃破済みだったし、後は地上部隊に任せて帰還した。

  

 航空部隊の基地、といえば普通は何を想像するだろう?

 多分、整備を行う大きな格納庫や各種物資を納めた倉庫の場所を確保した広大な基地とそこに設けられた複数の滑走路が連想されるんじゃないだろうか? 

 生憎、オーガニックを得てからそんな基地は激減した。 

 オーガニックの飛行能力は音速近い速度からヘリのような垂直離着陸まで可能とする。音速を超えた高速飛行?それはポイントを消費して取らないといけない別の機能だ。

 そして、オーガニックの収容とは……。

 

 地上へと降り立った俺達のオーガニック。

 それと共に機体が霞み後に残ったのは生身の俺達だけ。

 凄いだろう?と言うか馬鹿げてるだろ?オーガニックは通常は異次元かどっかに本体が収められてて、そこで乗り手が死亡していない限り自己修復し、多分体内生成するかどうかして補給までこなしてしまう。通常の整備はオーガニックには必要ないのだ。

 なので、滑走路も不要。

 巨体のオーガニックを整備する為の広大な格納庫も不要。

 もちろんどこの世界にもいる馬鹿が勝手に入り込まない為、そして未だなくならない人類同士のスパイを防ぐ為フェンスやセンサーは設置されているし、人が生きていく為に必要な物資の搬入は前にも言った通りオーガニックを得る前と同様の車両なんかで行う。

 なんで、基地自体はそれなりの広さがある訳だが、その広大な敷地の一角にある食堂で俺達はメシを食っていた。

                                                                                    「……そういえば西坂もそろそろ部隊から離れる事になるのか?」                                                                                                                                        そんな事を藤木隊長から言われたのはとりあえずメシをかっ込んで腹を満たし、食後のお茶で一服してる所だった。                                                                                                                  「は?何ですそりゃ」                                                                                                                                                            俺からすれば初耳だ。                                                                         現在の俺が所属するオラクル隊は大藤中尉に奥野少尉。それに俺こと西坂名誉中尉に梨野軍曹という編成だ。

 前なら一尉とか二曹とかついてたのかもしれないけれど、国防軍への改定に合わせて階級も旧来のそれに戻された。こっちのが分かりやすいというのもあるが、将官クラスの区別が非常につけずらい、というのが最大の理由だったようだ。他国との共同戦線がかつてより遥かに多くなったからなあ……。指揮権の問題がまだアメリカなら良かったんだが、周辺国との共同作戦時におおいに揉めまくった結果だった。                                                               あと、梨野が軍曹なのは航空兵の現在の最低階級が軍曹からだからにすぎない。

 如何に全人類がオーガニックを所有していても三次元機動を要求され、一定以上の功績を挙げて飛行機能を取得する為のポイントを得ないといけない航空兵は未だ希少なのだ。

 あと俺の名誉中尉ってのは尉官というか将校教育が終わってない、けど功績を挙げたから昇進した奴の事を示している。あ……。

                                                                                    「……そっか、そろそろ卒業なんだ……」                                                                「そういう事さ」                                                                                                                                                              勉強に関してもオーガニックの存在は根本的な部分を変えた。                                                       「外部記憶用量機能」、この外付けの記憶装置のお陰で単なる暗記ものの教育は不要になった。

 お陰で勉強もこれまでとは大きく異なるものになってしまった。何せ軍人は丸暗記科目では頭の中にコンピュータを持っているようなものだから勝負以前の問題。自然と上に立つ際に求められるものはこれまでの勉強の成績とは異なるものになったのに加えて、勉強の期間が大幅に短縮された。

 これまでは日本では小学校入学から大学卒業まで通常十六年を要した。

 だが、暗記科目がごっそり時間を削れるようになった事で軍人は十五歳で教育を一応終える。お陰で企業などがこうした機能を得た者の引き抜きをかけたり、これまで戦闘に関わらなかったが故にオーガニックの成長を得ていない人との格差が密かな問題になりつつある。……今の所、密かに、というのはやはり現状軍がいなければ悲惨な事態を招く事になると分かっているからだろう。

 ただし、義務教育を終えての卒業後、士官教育は受けなければならない。

 だが、戦場に出ているのに報われないというのも酷い話だ。なので、一旦名誉~としてそれまでは「隊長職は就任不可」「階級は本来の階級より一段下のものとして扱う(名誉中尉ならば少尉相当)」「給与などは本来の階級相当」「士官教育終了後、名誉の文字を外す」といった規定が為されている。

 そして、西坂はもう十八。……士官教育の終了が迫っているのだった。


 「……はあ」

 

 部屋に戻って溜息をつく。                                                                                                                                                          「俺が隊長になるかもしれない……?ってか自信ねえよ……」                                                                                                                                          世の中にはある種のゲームで「変態的」としか言いようがない腕を持つような連中がいる。

 他の人が「無理!」というようなモンスターをあっさり狩ってみせたり、画面を埋め尽くすような弾幕をするするとすり抜けていったり、先を読んでいるとしか思えないような動きで対戦相手を完封してみせたり、だ。そして、どうやら俺はこのデスゲームにおいて才能があったらしい。

 結果として、俺は士官教育が終わるまでに名誉中尉にまで昇進してしまった。ここ最近追加された撃墜スコアと、宇宙戦闘にも度々増援として出張してきたお陰で名誉大尉への昇進も近いのでは、なんて言われてたが……そうなるといきなり大尉に?中隊クラスを任されても、戦闘で数字を挙げる事と指揮を執って部隊を生き残らせるのは分野が違う……!!大藤隊長からは「なに、こんなもの慣れさ」と言われたけど……。                                                          

 「あー……そりゃあこの三年ってのは実地で他の隊長の指揮なんかを見て学べってのもあるのは知ってるけど……」                                                                                                                  というか普通は名誉大尉間近まで進んだりしない。                                                            通常ならば梨野軍曹でさえ超エリートといっていいレベルなのだ。普通は学生時代に飛行機能を得るまでポイントが稼げるはずもなく、最初は地上部隊へと仮配属。そこで戦闘経験とポイントを貯め、半年から一年の後に最低限必要なポイントが貯まったら各部隊へ正式配属、というのが通常の流れだ。そして航空部隊であればどこかの部隊へ配置され、改めて空戦経験を積みながら武装を整え、更に半年ぐらいをかけてようやっと本格的に、という感じだ。                                           事実、梨野軍曹の同期は現在一等兵から二等兵相当の見習い(班長は一等兵扱い)として地上部隊で必死に実戦経験を積んでいるはずだし、その梨野軍曹とて今回の出撃で稼げた撃破数は地上型一機のみ。それも大藤隊長がわざわざ削ってくれた相手にトドメを刺しただけだ。

 まあ、航空部隊に憧れていたのはいいとして、その為にひたすら飛行機能の為にポイントを貯めていたせいで武装が殆ど初期状態というからこれは仕方ないだろう。何せ武装が初期状態となれば基本装備の剣状ブレード一本と小口径のマシンガン一門のみ。この状態のマシンガンなど今回出てきたような割と新しい機種の機械型悪魔相手では牽制レベルにしか役立たない。                                                                                                                                                                     「……そう考えれば俺、よく最初生き残れたよな……」                                                                                                                                             今の現状を招く事になった原点、自身がオーガニックを用いたデスゲームに才能を示した戦い。                                        その時の事を寝転がりながら、西坂は思い返していた……。       

次回から過去編

殆ど戦いと駆け引きばっかになります

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