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 少し時間を遡る。

 最初にそれに気がついたのは当り前だが当番の門兵二人だった。

 無論、彼らも最近の状況に関して伝えられている普段の警備員とは異なるれっきとした軍人だった。


 「うん?」

 「なんだ、あれは」


 二人して思わずあっけに取られた。

 何しろこちらに向かって真っ直ぐに直進してくるトラックは所謂デコトラの類でギンギラに輝いていたからだ。

 少しこれを調達した連中の為に弁解しておくのならば、彼らは夜に紛れて移動を行い、その際に長距離移動のデコトラを一度ならず見かけた為にこの国のトラックとは悪趣味な事にああいうものなのか、と誤解してしまった事にある。無論、後で間違いに気づいたが工作費とて無制限ではない。新しくトラックを買うだけの予算が降りなかったという何とも世知辛い事情があったりする。

 どちらにせよ、使い潰すものではあったのだが、結果から言えば見た目の為に一瞬反応を遅らせる事が出来た。そういう意味では普通のトラックより良かったのかもしれない、工作員にとっては。

 逆に言えば兵士達には運が悪かった。

 それでも、咄嗟に【オーガニック】を起動させたのはさすがだろう。

 だが、起動させた【オーガニック】を止めようと若干動かした時点で至近距離に迫っていたトラックは乗せた爆発物に点火、大爆発を起こした。

 急いで起動させた為に姿勢が崩れており、しかも止めようと自ら近づいていた事もあって爆発をまともに喰らった二人はその衝撃で転倒、さすがにそこは【オーガニック】というべきか命を落とすような事どころか大怪我を負う事もなかったが、むしろ衝撃で揺さぶられた事と更に転倒した事による影響でフラフラになっていた。

 そこへトラックに続いて突入してきた連中がいた。

 車から飛び出すようにして【オーガニック】四機が起動し、襲い掛かる。

 さすがに転倒している状況で、至近距離からの攻撃には対応しきれず更なる爆発が起きた……。


 だが、そこまでだった。

 さすがにそこは軍学校+厳戒警備中の真っ只中。

 即効で待機中の小隊が出撃。

 この四機の四肢を撃破するが、直後に四機が大爆発を起こす……。

 結局不明になってしまったが、こちらに至っては非道としか言いようがなく、生き残りの反日活動家を煽って突撃させていた。しかも、危機に陥ったら使え!と自爆用の爆弾まで持たせて……前に記述した通り、【オーガニック】は搭乗者が死ねば、爆発する。それすら武器に用いた仕掛けだった。


 『……上手く騒動になっているな』

 『気を抜くな。今回を逃したら後は帰国するしか手がないぞ』

 『分かっている』


 この隙に別ルートから壁を超えて侵入者があった。

 さすがに人類の作ったセンサーではステルス機能を選択した【オーガニック】は感知出来ない。

 というより、そんな希少機能を搭載した機体をたかだか学生の暗殺の為に使うなど普通は考えないし、やらない。やるにしても、もっと政府の上層部に対して用いるだろう。……まあ、それを言えばそういう人間の警備には【オーガニック】の機能をフルに用いた警戒態勢が、という事になる訳だが。

 さて、ただこの時点で彼らには想定外の事態もまた発生していた。

 それによる影響を彼らはこの直後からまともにかぶる事になる……。


~~~


 爆発発生時、西坂らは校庭での訓練中だった。

 訓練といっても純粋な体育の分野だ。最後は搭乗者の素の体力が重要なのは何時の時代も変わらない。


 「なんだ!?」


 爆発が起きた時、一瞬騒々しくなったものの、すぐに静かになったというか咄嗟に全員が地面に伏せたのは短い間だが訓練の成果だろう。

 教官は直後から通信を行っていた訳だが、すぐに命じた。


 「笹木班!全員【オーガニック】を起動しろ!!」

 「「「「了解!!」」」」


 即効で全員が起き上がり、笹木班四名と他の同級生は反対方向に走りだす。

 一緒にいたら【オーガニック】を起動出来ないからであり、「何故」の疑問を発する前に命令が下った時点でまず行動する。

 さすがに内容に問題があるようなものならば確認の為の問い合わせもするだろうが、今回の命令は特に問題はない、と判断しての行動だ。

 「何故」とか「どうして」といった疑問は起動させてから聞けばいい話だし、必要ならば教官が話すだろう。そう判断し、彼らはすぐに【オーガニック】を起動させた。


 「「「「起動完了」」」」

 『よし、全員聞こえるか?』

 「「「「聞こえます」」」」

 

 年齢が年齢だから軽いものではあるが、当然ながら軍人としての装備を持った状態での訓練だった為に小型の通信機も有していた。

 この結果、無事に通信出来たのだ。


 「?……教官、正門以外よりこちらに接近しつつある【オーガニック】あり、数3。教官より四時方向」

 『なに?…………確認したが、そちらの方向に友軍の【オーガニック】は存在しない、繰り返す、友軍の【オーガニック】は存在しない』

 

 瞬間、息を呑む音と至極軽い声が同時に通信機に響いた。


 「つまり、やっちゃっていいんですよね?教官」


 笹木の声だった。


どこも思惑通り行く所はない訳で……

想定外の事態に、想定外が重なって結果は……明日

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