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さて、西坂が青田刈りの対象となっていた頃、別の場所では複数の不機嫌な面々が一室に集っていた。
この部屋は普段からしっかりと「掃除」されており、直前にも改めて「掃除」が為されている。最低でも、他の場所での密談よりは安全な場所だった。
「……くそ、また我が国の優秀な士官が宇宙で亡くなった、だと?」
「仕方あるまい。此度は激戦だったという、亡くなっても不思議では……」
「5%に満たないのだぞ!戦死率だけで言うならば!!」
「そうだ!!それなのに我が国の士官が物の見事にその中に入っているだと!?奴ら、わざと見殺しにしたのではあるまいな!」
「……残念だが、それはない。それをやれば神々の天罰という名の私刑がやってくるそうだからな」
口で何かを言った所で、神々は介入などしてこないのが分かっているから言える。
まあ、他者に向かってやりすぎるなら宇宙では危険、らしいがどの程度危険かは彼らは知らないし、そもそも地上では神々の統制は然程厳しくはない。確かに【オーガニック】を破壊する程までやれば、どちらが悪と看做されているかはっきりするが、そこまでやらなくても追い詰める手段は幾らでもある。
結果として、地上ではまだまだ謀略が行われているというのが現実だ。……まあ、どこも派手にはやっていないが。
宇宙でのような罰が地上でも起きないとは限らない訳だし。
……と、宇宙での神々の罰を知っている国はそうしている訳だが……。
「しかも、だ!我が国には軍の育成学校に宇宙軍は来ておらんという」
「隣国含め、幾つもの国にはきているというのに!!」
「これは差別だ!!」
もちろん、そんな訳がない。
実際は宇宙軍だってただ単にこれまでの積み重ねがあるというだけの話だ。
これまで求めに応じて渋々でも必要な人員の出向などを認め、宇宙で共同生活を送る事が出来るだけのきちんとした立場を築いてきた面々の出身の国と、色々と理屈をこねて必要な人員をなかなか送ろうとせず、いざ恩着せがましい言葉と共に送ってきたと思えば、ろくでもない言動を繰り返し、即効で神の懲罰の対象となって消えていく国の出身者達……。
どっちに青田刈りをかけるか少し考えれば当然の話だ。
それでも、自分中心に考える者達にとっては関係のない話だ。
もっと別の方向に向ければ良いであろう情熱をひたすらにつぎ込むように陰謀の話をし続ける高官達……。
そんな彼らの話を【オーガニック】は静かに聴き続けていた。
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「………」
どーすりゃいいんだよ。
それが西坂当人の正直な所だ。
スカウト自身はあの後すぐ帰った。というか、あくまで考慮に入れて欲しい、入ってくれるならこっちは便宜図るよ?そんな話だ。
分かりやすく言い換えると、『この学校は日本運営の学校だから日本軍に入らないなら返さないといけないお金についてはこっちが何とかするよ?』とかそういった部分の話だ。
まあ、それはいい。そこら辺は父親からも言われた事だ。
西坂当人にとっての問題は空を目指すのか、宇宙を目指すのか、という事だ。
ここで問題となるのは宇宙軍は地上の各国軍とは色々な意味で違う、という事だ。一応立場的には「国連直下」という理由の下に独立形式になっているが、内容的には完璧に各国から独立している。何せ、財政からして独自に各国と行っている上に自力開発部門も有し、製造関連も自分達の工廠を持っている。
そこで暮らす人員は神々の神罰によって下手に国や肌の問題を持ち込めない。それに我慢出来ない奴は自然とこの世から消えていく。
必然的にそこで暮らす人間は国や肌の色などを気にしない人間となっていく。
おまけに資源面で現在地球の各国を支えているのは格安で宇宙から荷を運んでくる彼らだし、軍事力という面では地球の一国では最早相手に出来るようなレベルではない。何しろ、宇宙軍の最大戦力が動けば大陸ひとつぐらい簡単に吹き飛ばせるのだし。
尚、資源が安いというのは別に酷使されてる訳じゃなく、超大型の恒星間航行船で露天掘りというのも馬鹿らしい規模で場合によっては金属の塊のような小惑星ごと持ってきたりするので必然的に安くなるというだけの話だ。【オーガニック】を使えば、作業にも大して危険もないし、過酷というのも単なる想像の世界だ。
もちろん、そこまで詳しく知っている訳ではないが、これらの話からも分かるように、宇宙と地上の意識の差は大きい。
『神々は新たな国家という枠組みに捕らわれない新たな人類を生み出そうとしているのだ』
というのは哲学者などからよく出る言葉でもある。
「……こないだの戦闘でポイント溜まったし、なあ……」
西坂の眼前にはまた溜まったポイントがある。
先だっての戦闘、空を飛べるからこそあちこち飛び回り忙しかった、という事は当たり前だがポイントを稼げたという事でもある。
それを用いれば、宇宙に対応可能なようにする事は問題ない。
しかし、良い顔はされないだろう、主に教官などに。
この点に関しては笹木はあてにならないだろう。彼の事だ、「自分のしたいようにするのが一番なんじゃないか?」という辺りの答えが返って来るだろう。
まだ、悩む時間はある、あるが……頭が痛くなりそうな話に西坂は溜息をついた。
……本人は未だ気がついていない。悩む、というのは宇宙を選びたいという思いがあればこそ。思いがなければそもそも悩みなどしないという事に……。
陰謀企む人はどこにでもいます
と、同時に夢を追う人もまた
宇宙というのはこの時代には大分身近な存在になりましたが、まだまだ行けるのは限られてる時代です
そして、圧倒的な力を持つ悪魔達に対抗する為に強力な装備を持たないといけない結果、地球側には手出し出来ない存在になってもいます




