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 さて、日本は防衛線の部隊に多大な被害を出しつつも、増援師団ないし海軍が順次到着。

 戦線を押し返す事に成功した。

 日本は海岸線が長い。それは確かに防衛に不利な点ではあるが、同時に海軍の支援を受けやすいという利点でもある。

 海軍もいまだ武器に関しては「悪魔」に有効な人類独自の兵器を開発出来ていないが、その運搬能力と索敵能力は地上を移動するそれとは雲泥の差がある。そして、移動能力にポイントを使う事を捨てた代わりに砲撃能力に特化させた【オーガニック】、宇宙へと上がれば宇宙戦艦の砲塔になったりする訳だが、それらを海軍も具えている。

 これが陸軍の場合、自力移動がまったく不可能なレベルの大口径砲となると運用が大変なのは何時の世も変わらない。

 まあ、分からないでもないだろう。

 何せ、大口径砲というのはとにかく砲弾がでかく重い。

 幸い、【オーガニック】の場合砲弾は自動で補充されるが大口径砲をマシンガン並の速度で発射するのはさすがの【オーガニック】でも出来ないらしい。まあ、出来たら出来たで怖いが。【オーガニック】は物理法則を無視出来ても、地球の環境を発射された砲弾までが無視出来る訳じゃない。

 戦艦の砲撃レベルの衝撃波が連射で放たれたらとんでもない事になるのは必至だ。……尚、通常戦艦の主砲の発射時に甲板にいたら死亡するレベルらしい。

 

 ……まあ、話を戻そう。

 とにかく、日本の場合は陸海の共同作戦他で何とか戦況を押し返す事に成功した。

 とはいえ、広範囲であった上に備蓄を切り崩して作戦を行った為に他からの救援には応じられなかった。

 如何に【オーガニック】が無補給で動き、攻撃可能だとは言っても乗っている人間は食事をするし、通常時に移動に使う艦船や航空機は燃料を消費する。ちなみに、【オーガニック】が供給する飯は総じて不味い。レベルを上げても対応人数が増えるだけで、栄養はばっちりになるし満腹感も得られるが、やはり不味い。

 ……なので、日本人はまず余程の事態でない限り食わない代物ではある。

 まあ、飯は一時的に我慢してもらうとしても、移動する艦船の燃料が不足するのは大問題である。まさか、【オーガニック】で泳いでいけ、という訳にもいかない。全ての【オーガニック】が海上移動能力や海中移動能力、或いは飛行能力を備えている訳じゃないのだ。

 というか、ないのに海に飛び込んだら普通沈む。

 沈んだまま動かなくなる。動けなくなる、ではなく、動かなくなる、のがミソだ。どうやら、「対応する能力を取ってない場所」ではそうなるようになっているらしい。ちなみに西坂の重力傾斜移動は海に飛び込もうが使えるので脱出は出来る。ただし、そのまま海を潜って戦闘なんてやってるとある瞬間に突然動かなくなって沈むという仕様だったりする。

 なので、救援要請を求める連絡は来ていたが、事情を説明して断りの連絡を入れている。

 ちなみに普段は敵対同然の行動を取ってる相手からも救援要請は来ていたが、こちらは丁重に無視されていたりする。


 ではここで各国の様相はどうなっているのか、主だった所だけ説明していこう。

 まず最も大規模な戦闘となったのが矢張り宇宙だった。

 こちらは太陽系駐留艦隊……といっても艦隊と呼べる規模の部隊があるのは太陽系だけなのだが、これが総出撃を設立以来はじめて行った。

 普段は太陽系外に派遣中の輸送部隊救援や急遽部隊派遣が求められた場合に備えたり、或いは予備部隊としてある程度の規模の部隊を残すのだが、今回はそんな余裕なく全力出撃だった。

 結果は損耗率実に35%。

 一般の演習レベルなら確実に戦闘不能と判定されるレベルの損害だ。

 幸いだったのは艦艇の損害のみの話であり、船が破壊された場合でも【オーガニック】を起動させた事で何とか助かった事例は多い、あくまで動がなくなるだけであって破壊される訳ではない為に心理的にも大分違うからだ。ま、宇宙服一枚で宇宙を彷徨い続けるなんて考えたくもないが。

 もちろん、対応する機能がなければずっと続けばその内酸素が切れて終わりとなってしまう。

 しかし、無事悪魔艦隊の迎撃に成功した為に、戦闘終了後はそのまま救助活動への移行が可能となり、人員の損耗率は何とか5%程に収まった。

 それでもなかなか人員が補充出来ない宇宙部隊では深刻極まる損害であり、実際、この後宇宙部隊は補充の為に各国に協力を要請、軍学校などにもスカウトの手を積極的に伸ばしていく事になる。

 

 数は少なくとも激しさでは負けていなかったのは矢張り外宇宙航行中の輸送艦隊だろう。

 艦隊と名はついているものの僅か三隻。

 しかし、仮にも恒星間航行船。とにかくデカイ。

 当然、その船を守る為の戦闘能力も桁違いであり、知る者はいないだろうが、この戦闘の結果、舞台となった恒星系の原始惑星のひとつが崩壊の憂き目にあっている。

 無論、それ以外の被害も甚大だ。

 だが、こちらは艦隊全て特筆するレベルの損害はなく、無事切り抜ける事に成功している。

 この連絡が入った時は関係者は誰もが安堵の溜息をもらしたと言われている。地球人類にとって、この艦隊は貴重極まりない存在であり、失おうものなら取り戻す為にどれだけの時間がかかるか分かったものではないからだ。

 

 地上の方はどうだっただろうか?

 こちらは甚大な被害が出た所とそれなりの損害をこうむった所と大きな被害が出なかった所の三つに綺麗に分かれた。

 最後はアメリカ、日本、シベリア共和国など。

 二番目は欧州、ソ連、アフリカ、中東、東南アジア、それにオーストラリアなど。

 甚大な被害をこうむったのはそれ以外だ。

 最も、この内、それなり、と大きな被害が出なかった、の両者に関しては運、不運の問題だったりする。

 例えば日本の場合悪魔の侵攻は昼前からだった。

 世界同時侵攻であった為に欧州の場合、マイナス8時間……つまり日本時間午前11時の場合、午前3時、完璧に夜だ。

 当然寝入っている人間は非常に多く、というか普通寝ており、その分対応が遅れた。ちょうど起床時間帯にかかったソ連なども同じだ。

 逆にアメリカの場合、大体+7時間から……ちょうど夕方だった。

 昼から夕方にかけて侵攻を受けた側と、逆に寝てる時間帯に侵攻を受けた側、そりゃあ前者の方が対応が早かったのは当然の話だ。他は単にすぐに動かせる部隊の数が足りなかったり、或いは部隊が移動する足がなかったりといったケースが多い。整備された列車や落下傘降下、艦船をフルに活用出来た所と、【オーガニック】で走るしかなかった所では矢張り対応速度に違いは出る。

  

 では甚大な損害を受けた所は……。

 例えば、朝鮮の場合……。

 完全に奇襲になってしまった。

 まずこの国の被害が大きくなった原因のひとつ目は自国の艦船がステルス悪魔の攻撃によって沈められた事から始まった。

 ま……この時点でステルス悪魔の存在の感知に失敗したのはやむをえないが、その後が拙かった。

 仲が悪いとはいえ、日本の船を攻撃、これを撃沈。

 思い切り緊迫した状態になった所へ、それでも日本が「悪魔」の事だからと渋々ながらステルス悪魔の情報と現場に残っていた艦船からの情報で大規模侵攻の情報を伝えるも、これを否定。日帝からもたらされた情報なぞ信用出来るか!と各地にまったくといっていいほどに連絡を行わなかった……。

 しかも、この世界では米軍は朝鮮半島からは完全に撤退後だ。

 この為に日本から米軍が発信した情報も、日本からという時点で無視。

 結果として、まったく警戒も何もなくまともに大規模な悪魔の攻撃を食らった海岸線の部隊は一瞬で壊滅。警告すら発する余裕がなかった。

 大規模に食い込まれた所でようやっと迎撃に成功した部隊から総司令部に救援を求める連絡が入るも、てんでんばらばらに連絡が入ってきた為に手持ちの部隊を適時派遣するという場当たり対応に。適時投入といえば聞こえはいいが、この場合単なる戦力の逐次投入に過ぎない。

 しかも、敵、悪魔側は想定以上の大規模侵攻……これで迎撃が上手くいったらそれこそ奇跡のバーゲンセール以外の何者でもない。

 当たり前だが、奇跡のバーゲンセールなど都合よく発生するはずもなく、各地で戦線を突破され損害大。

 あわてて、周辺各国に救援を求めるも各国にも大規模な悪魔の侵攻は発生しており、各地とも手一杯。とうとう日本にまで頭を下げてきたが、日本は日本で前述の通りの事情で救援は不可能。

 おかげで、朝鮮半島は目を背けたくなりそうな甚大な被害をこうむる事になったのである……。


 それでも五日が過ぎた辺りでようやく悪魔の侵攻に一段落はついたのだが……。

 生き残った者にはまた別の話が待っていた……。

 

うわー幕間欧州が完成しねえ……


まあ、1960年ならベルリンの壁やプラハの春も起きる前なので、結構東側もまだそこまで評判悪くない時代?不満はあれこれあったけど

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