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憲兵って怖いと思いますが…

この世界の憲兵は……

 「世の中、馬鹿はなくならん」


 そう嘯いたのはある憲兵大尉であった。

 正にこれぞ憲兵!という雰囲気を漂わせる男であり、陸軍中野学校の後継とも言われる調査学校の出身である。

 

 「どのみち分派の一つであろうが、早急に殲滅する」

 「学生は如何しましょう?」

 「無論、救出する」


 それが与えられた任務だからな、と部下に答えると大尉は地図を確認する。

 最初に学生から連絡のあった地点を元に、しばし思考を巡らす。


 「……この辺りは道も獣道程度。車で移動というのは考えづらいな」

 「かといって【オーガニック】でというのも難しいですね。目立ちすぎます」


 同意の声が洩れた。

 捕まった西坂の事を迂闊だと非難する声はない。学校に入ったばかりの子供が救援を求められて見捨てる方が問題だと考えているからだ。

 

 「……道路のない近辺にいたのは偶然だと思うか?」

 「……違うでしょうね。おそらくはこの近辺に奴らの拠点があるのではないかと」


 連合赤軍は犯罪者として手配されている。

 それが今回、警察ではなく軍が動いているのは、彼らが最初期型とはいえ【オーガニック】を起動するのに成功しているのがはっきりしているのと、浚われたのが軍学校の生徒だからという事、更に今も尚戦闘中で警察は民間人と共に退避中の地域だという点からだ。

 

 「……つい先日、この近隣で摘発があったな?」

 「はっ、その際逃亡したとされる残党の可能性が高いかと」


 情報によると先だって殺人事件で手配されていた人物が軍からの情報を受け警察によって摘発された。

 問題はその際の不手際で、その部屋に出入りしていた一部の関係者と見られる人物らの摘発に失敗した事だ。残党に関しては近くの山なりに逃げ込んだと思われていたが……どうやら薄々摘発の気配に感づいていたのかもしれない。

 だとすれば……。


 「子供を連れて徒歩で移動したとすると……」

 「然程距離はない、と考えるべきですね……」

 「よし……各機、光学迷彩起動。ANC(Activ Noise Caceler)も作動。捜索開始せよ」


 その声に応じ、三機の【オーガニック】が身を起こす。

 全身が暗緑色系統で統一されたその機体はそのまま音も立てずに身を起こすと、溶け込むように姿を消した。

 僅かに地面が沈み込んだ跡だけが残されたが、最早そこには何かがいたという痕跡すらなかった……。


 さて、少しこの世界この時代の憲兵隊に関して話をしよう。

 憲兵隊もまた軍人である。

 そして、憲兵隊が本来相手をするのは、捕らえるべき対象とは犯罪を起こした軍人であり、軍人である以上当然「悪魔」との戦闘経験を持ち、強化された【オーガニック】を使用する事が出来る。

 そんな相手を鎮圧するべき相手が新米や弱ければどうだろうか?

 当然と言えば当然の結果で予想がつくだろうが、返り討ちにあい、結果として更なる被害の拡大がもたらされかねないだろう。

 その為に現在の憲兵隊に求められるのはまず調査能力、確実に相手を仕留められる強さ、そして相手に反撃を許さない隠密行動能力……もうお分かりいただけた人もいるかもしれないが、現代の忍者部隊。それがこの世界の憲兵隊なのだ……。

 この為、トップクラスの腕を持つエリートクラスが所属し、素での制圧能力も高い。

 と、同時にこの世界【オーガニック】が存在しており、それを召喚する技術開発は未だ出来ていない為に一度相手に動きを許せば【オーガニック】召喚を止める術はない。かといって、現在西坂がやられているように常時一対一で監視をつける、という事も難しい。必然的に憲兵隊が動くという事は……まず間違いなく、真っ赤な華が咲く、という事になってしまう。

 この世界の軍部の犯罪率は低く、犯罪を犯しても自首する者が多い理由はそこにある。

 ……何せ、下手にばれたらあの世逝きだからして……。


 もちろん、連合赤軍はそんな事は知らない。

 前回、軍が最初に情報を得ながら警察が動いたのも最後の慈悲であった事を。

という訳で、この世界の憲兵隊でした

基本、忍者部隊であり抹殺部隊なので生きて捕まえるという前提ではなく、消すというのが前提だったりします


尚、ANC=アクティブ・ノイズ・キャンセラーというのを書いてますが、現実にはCがコントロールのものがあります

騒音の逆位相の音を発生させる事で低周波音を打ち消す、というものです。今回のキャンセラーはその発展系だと思って頂ければ

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