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「オラクルⅡは左、オラクルⅢは右、Ⅳは俺についてこい!」
隊長が指示を下す。
さあて開幕だ……。
「オラクルⅢ了解」
こっちも返事を返す。
ま、妥当な所か。
機体形状はⅠ~Ⅲまでのマッシブな、悪い言い方をすれば太っちょみたいな外見に対してⅣは細身。
色は統一しても形状ばかりは選択した武装や細かな機能の違いでどうしても差が出る。
軍も武装なんかの強化は推奨してるから、色さえ統一してれば機体形状に関しては統一を放棄している。
じゃあ細身は何を意味してるかというと……新人、ルーキーって事だ。
武装を強化すればどうしてもそれらを納める為、或いはそうしたパーツをくっつける為にがっしりした形状へと変わる。細身なのはまだポイントが溜まってないせいで、武装が十分に装備出来ていないから……確かあいつは十五歳、卒業して配属されたばっかりだったよな。
武装も経験も不十分だから隊長が直接ついとくって事だろう。さて、こっちもきっちり仕事しねーと。
まずは右腕のレーザーガンを構える。
こいつも相当ポイントを注ぎ込んでカスタムしたからな……地球製のものとは比べ物にならない射程と威力を誇る。同じレーザーという分類で括るのが申し訳ない程だ。
……普段は出力抑えてるけどね。最大威力で撃ったら対象消し飛ばして後方まで被害が及ぶから。結果として射程は十五キロ程度だが、この距離なら十分!
俺の意志に応じて素早く照準を定め、レーザーを四連射。
対象の混乱状態に陥った三機の民間防衛隊所属機に迫っていた小型の浮遊魔族……ま、ヘリコプターの部類だと思ってもらえばいいが、そいつらを撃墜する。
『……わあああああああああ!来るな来るな……あ、あれ?』
「さっさと下がれ!!」
混乱したような声が洩れるがそれに構っている暇はない。故に下がるよう怒鳴りつける。
『え?で、でも』
『なに?下がっていいの?』
『え、いいのかな?でも私達』
……この声からすると全員女の子か、しかも現在十八の俺より若い。オラクルⅣと同じぐらいか……?
そんな事を頭の片隅で考えつつもさっさと後退してくれないとこっちが困る!
「いいから下がれ!!巻き添え食らっても知らんぞ!!」
『『『わ、わかりましたー!』』』
素直でよろしい。
下手な相手だと変にプライド持ってたりしたり、最悪だと自分の実力勘違いして余計な手出しを、とか何でもっと早く助けに来ないんだ!とか喚くのもいるからなあ……。
そんな訳でピンク色(!)という実に派手極まりない色に白のラインという目立つ、けれども統一した塗装を持つ三機が後退していくのと引き換えのように低空侵入する。
全身四箇所に設けられたガトリング砲を展開。
本物のガトリング砲はデカイ。かつてあったA10サンダーボルトⅡに搭載されていたガトリング砲なんて下手な車よりも巨大で、ガトリング砲の上に機体が乗っかっていると言われたのは伊達じゃないが、オーガニックのはどこに弾が入ってるの?どころか銃身どこ!?って言いたくなるぐらい短い。というか、これ砲口とその周辺部しかないんじゃないか、ってぐらいだ。
空間を畳んで収納されているとか、異次元空間に大部分は格納されているとか色々言われてるらしいがそんなもんはどうでもいい。
「ファイア!!」
短い連射を加え、迫ってきていた地上移動型の悪魔を消し飛ばしていく。
……今回侵攻してきた連中の形状は機械型か……生命型はグロテスクなんだよなあ、吹き飛ばすと。
そう思いつつも周囲の警戒は怠らない。
悪魔だって馬鹿じゃない。地上型だけで侵攻してくるとも思えない。きっと……。
「……うあー……航空型は生体型かよ」
案の定迫ってくる姿を見つけた航空型悪魔。
形状は鱗の代わりにぶよぶよの、けれど見た目以上に耐弾性能と耐光学性能を併せ持つ優秀な外装である黒い竜のような悪魔達の頭を抑えるべく急速上昇をかける俺だった。
「十時の方角より敵機接近中!」
あ、もちろん報告は入れたよ?
初の戦闘シーン……けど簡単です
まあ、今回は戦車を地上攻撃機で掃射するようなものだから……蹂躙にしかならないという