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 後に判明する事だが、アメンボのステルス性能は非常に限定されたものだった。

 【オーガニック】のセンサーは極めて優秀で、人が音を聞くのと同レベルで搭乗者に外部の音を届けてくれる。だが、同時に轟音などの特殊な音に対しても特に防御やフィルターを通さないという欠点が存在している。

 実は、ここに原因があった。

 アメンボは【オーガニック】のセンサーを誤魔化すと同時に、人の目を可聴域を越えたある種の特殊な音波によって限定的な催眠状態に陥れていたと判明したのである。

 結果として、前にアメンボがいるのに人の意識には上らない。そこにいる、という意識を持てないから結果的に透明と同じ効果を持つ。

 難聴の人間でさえ【オーガニック】内部では補聴されて普通に音を聞ける、そのシステムが仇となっており、きちんとした防音効果を持つイヤープラグで簡単に防げると知った時、世界各国の関係者は一様に天を仰いだという。

 もちろん、そうやって耳を塞げば通常の【オーガニック】の無線は聞こえなくなる。

 なるが、ステルスの存在の方が遥かに問題だと、判明した後は無線の開発などが活発化していく事になる、が!

 とりあえず今は時間を元に戻す。


 学校では大騒ぎになっていた。

 現在無線に関しては試作というか試験というか……とにかく、何をどの程度持って行けばいいのか自体が試行錯誤中な為にとりあえず必要そうなものをまとめてみた、という感じになってしまっている。何せ、まともな資料が前世界大戦のそれなのだからどうしようもない。


 「……まあ、【オーガニック】が便利すぎたんだけどね」


 笹木が騒動を横目に呟いた。

 まあ、騒動と言っても教官達が騒いでいるだけ。それに従うしかない生徒達は落ち着いたものだ。

 さすがに実戦を経験して生き延びた事である程度耐性がついたらしい。


 「で、今回の俺達の役割って何なんだろうな?」


 首を傾げた西坂だった。

 どう考えても軍と一緒に最前線、なんて事にはなりえない。単なる足手まといが増えるだけだ。

 そうなると、一番考えられるのは……。


 「……うーん、学校とその周辺の警戒、って線が一番高いんだけど……教官達の慌てようを見てるとそれだけだとは思えないんだよね」


 視線を向けられた笹木が首を傾げながら答えた。

 確かに、もし警戒態勢に、というだけなら通信機も最初に試験配備された小型のものを持ち込めばいいだろう。所詮範囲が学校とその周辺なら、その程度のものでも十分使える。幾ら小型と言っても出力などに制限がある民間のそれではなく、軍用なのだから。

 だが、明らかに教官達の慌てようは何らかの命令が下ったと考えた方がいい。

 教官達だけが前線に戻る、という事もないではないが、可能性は低い。幾らベテランだろうが、余所の部隊からいきなり引っ張ってきて、「今からこの部隊を率いて、迎撃を行え!」と言った所で無理だし、他の部隊に組み込んでも連携が取れないのは分かりきっている。

 

 「では、貴方は何が一番可能性が高いと見ているのでしょう?」

 「……この中では一番経験豊富な貴方の意見が聞きたい」


 女性二人に問われて、笹木が考え込む様子を見せた。


 「……そうだ、ね……矢張り一番可能性が高いといえば……」


 装備の引っ張り出し、確認の混乱。

 明らかに出撃を考えていると思われる教官達の動き。

 多数の群が接近中という放送。

 それらと合わせて考えてみるに……。


 「……落穂ひろい、かな?」

 「落穂ひろい?」


 念の為に言っておく、大空のサムライ坂井三郎氏が言っていたものとは全く違う!

 ここで言う落穂ひろいとは、前線の迎撃を抜けて後方へ浸透してくる残余の「悪魔」の迎撃、撃破を言っている。

 今回の規模から考えると、完全に前線で防ぎきるのは無理。防御戦の薄い部分から間違いなくすり抜けてくる「悪魔」がいると笹木は予想した。その迎撃ならば如何に「悪魔」といえど大規模な群とは考えられない。さすがに大規模と言えるようなものならば前線が気づくし、迎撃は後方の予備部隊なりを動かす。

 逆に言えば、そうした事態が起きた時の為に小さな数匹規模の部隊が抜けてきても、下手に動けない。

 その任務なら今の自分達でも出来るのではないか、そう判断した訳だ。

 もちろん、この時点ではまさか前線に新種のステルス悪魔が現れたなどと笹木が知る由もなかった訳だが……。

 教官が教室に入ってきた、これでどうなるか分かるだろう……。

 

夜勤明けで書いてたら意識が飛んだ……


とりあえず今から寝ますw

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