表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/144

31

 「なんだと!?」


 驚愕の声が防衛省の一角に設けられた統合本部長の口から飛び出した。

 統合本部は【オーガニック】が出現後、前の大戦の轍を踏まぬようにと、最高指揮命令系統を一本化する為に作られた。陸、海、空、現在では宇宙までの四軍それぞれの総司令部を形式上ではあるが指揮下に置く形となる。まあ、実際の指揮は各司令部から行われる訳だが、海軍総司令部からの緊急報は歴戦の彼をして思わず叫んでしまうような内容だった。


 「……韓国空軍所属の【オーガニック】の対艦ミサイルでこちらの駆逐艦二隻が沈没、反撃で韓国軍側の【オーガニック】二機撃墜。残る二機は逃走……か。何故こうなった?」

 「端的に言えば、韓国側の勘違いです」


 そして、現在進行形で「同盟?なにそれ美味しいの?」と言わんばかりの韓国側の反応が余計に事態をややこしくしていた。

 実を言えば、韓国軍も上は案外冷静だった。

 自分達が先走って攻撃をかけた事はきちんと理解しており、それが連絡の遅れによるものだという事も理解していた。

 だが、それを認める訳にはいかなかったのだ。

 何しろ、それを認める、という事は自分達が警告をきちんとまともに受け取らず、挙句の果てに勘違いから一応は同盟を結んでいる相手の艦を攻撃して沈めた、という事を認めるという事でもある。当然、賠償や処罰が日本側から求められる事になるのは必至であり、そうなったら最後自分達の首が繋がっていると考えられる程、彼らは楽天的になれなかった。

 結果として、彼らは事情を誤魔化そうとした。

 対外的には通知が来ていなかった為による「不幸な事故」でありこちらに責任はないと主張し、国内向けには日本側が怪しい行動を取っていた為に攻撃を行った結果起きた事故であり責任は日本側にあると発表したのだ。

 当然のように、それに海外も国内も納得しなかった。

 ただし真逆の方向で。

 

 国外に関してはその言い訳に呆れ返った。

 新種の「悪魔」に関する情報は現在の人類にとって最重要事項であり、アメリカ軍がわざわざ政府を通さずに通信を傍受しているであろう事を確信した上で暗号なしで詳細な情報を流したのもそこに原因がある。もちろん、今回情報を得た日本側とて隠したりはしていない。識別名称アメンボに関する情報は判明した全ての情報を開示している。

 その理由は色々あり、もちろんそういう条約を結んでいるというのもあるが、それ以上に隠した所で意味がない、という所が一番大きい。

 隠した所で、「悪魔」を捕らえておくという事が出来る訳がない。 

 実を言えばかつてはそういう組織や国があったのも事実だ。そして、捕らえる事に成功した「悪魔」がいたのも事実だ。

 だが……今はどこもそんな馬鹿げた事をしたりはしない。

 「悪魔」を解体した瞬間、或いは一定の時間が過ぎた瞬間、地獄が始まるからだ。

 そう、その「悪魔」が門となる事によって……解体する為に切り開けば、通常と異なり、そこから無数とも言える「悪魔」が次から次へと飛び出してくる。一定の時間が過ぎれば「悪魔」はブラックホールに飲み込まれるように中心部に突然ぽつんと開いた穴へと飲まれるように吸い込まれ、その後は矢張り無数の悪魔がその奥から飛び出してくる。

 戦闘時に切断してもただ消えていくだけなのに、何故解体時はそうなるのか?

 原因は分かっていない。余りにもサンプルが少なすぎ、解体した組織は悉く文字通りの意味で消滅しているからだ。

 もちろん、繰り返せば何時かはその原因を突き止められるのかもしれないが、その為に払う事になるであろうコストを考えれば論外としか言いようがない。

 とにかく、そうした諸々で新種の「悪魔」が発見された場合は可及的速やかに情報を各国に流す事になっている。勿論、日本軍とて正式なルートで連絡を送ったのだが、アメリカ軍の方がそれを余計に時間がかかるとしてあのような方法を取った訳だ。まあ、アメリカ軍の極東司令部の通信なんて普通当り前に傍受して何とか解読しようとしているだろう、という読みと確信あっての事な訳だが。


 さて、そうして発せられた情報を各国軍は当然ながら迅速に自軍に知らせる。

 何せ、遅れれば遅れる程、余計な損害を被る可能性が高くなるからだ。

 それを韓国側は連絡が遅れたばかりか、仮にも同盟を結んでいる相手を撃沈し、更に素直に謝罪すればいいものを「自分は悪くない!」と開き直れば、それは呆れられもする。

 国内からすれば、怪しい行動を取っていた日本側が悪かったのだから、撃沈は当然。むしろ、撃墜された同胞の為にも損害賠償をすべきだ!と絶賛ヒートアップ中だ。もちろん、そんな事をすれば日本側は正式に同盟破棄の理由が出来る。周囲全てから見捨てられるのが分かりきっているから、政府は国内には賠償を要求と発表し、国外へは黙っているが……そんな事が洩れない訳がない。

 それでも呆れられつつも各国は真面目に動いていた。

 新種の「悪魔」が出現し、攻撃をかけてきた以上、何かしらの動きがあると判断すべきだから、だ。

 結果から言えば、まず襲撃を受けたのは韓国だった。

 まあ、韓国側の防衛線から食い破られた訳だからまともに進めばそちらに出るのは当然だが。

 そして、この後に及んで国内の各地の基地に新種の情報が周知されていなかった結果、まともに奇襲を受けた。

 まず新種が奇襲で各地のレーダーサイトを潰し、通信も妨害。

 警戒網にあいた超ド級の大穴から「悪魔」の大群が上陸した。これによる被害は甚大なものとなり、悲鳴を上げて各国に救援を求めるが、周辺からは完全に無視された。無論、別に嫌味でやった訳ではなく……。


 「新たな「悪魔」の群を感知!!」

 「北上する群が新たに確認されました!シベリア共和国に向かっている模様!」

 「ただちに緊急連絡を!」

 「更に東方及び南下する群が!このままだと両方の中国に上陸するぞ!!」 

 「くそ!一体どこから湧いてきやがった!!レヴィアタン一匹が吐き出す群の規模じゃねえだろう、こいつは!!」

 

 この時、原因は判明していなかった。

 「悪魔」の大量出現前の前兆がこの時ばかりは全くなかったからだ……。

 各国とも自分の方へと群が向かってきている以上、そちらへの対応が最優先だ。今、蹂躙されている地域など自分の庭の危険を放置して出かけられる訳がない。

 そして……。


 「対馬要塞より入電!!日本へと向かう群が確認されました!!上陸地点は九州北部から若狭方面にかけて!!確認された群だけで四つ!」


 日本へも新たな群が迫りつつあった。 


さて、次の幕間は日本の状況にするか、欧州編にするか……


とりあえず休みが欲しい

次回は戦闘です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ