幕間:文化?
「これは……どう判断すべきなのかな?」
会議室は困惑した空気に包まれていた。
そもそもの始まりはある街に「悪魔」が現れた事だった。
それだけならば何時も通りと言えただろうが、この際「悪魔」によってわざわざ助けられたとしか思えない行動を受けた人間がいた。
その人間が出版関係の人間、というか漫画家であった為に「悪魔が漫画を好むのか?」と顔を歪めた者が多数出た。或いは「出版関係の人間は襲わないという事では?」と口にした者もいたが、それはすぐに否定された。
――そう、出版社と放送局への「悪魔」の襲撃によって。
「……ではなんだ?やはり悪魔は、いや…」
上座につく責任者は何とも言えない妙な表情で少し口ごもった後。
「神々とやらは漫画が好きなのか……?」
そう半信半疑、いや一信九疑ぐらいの感じでそう口にした。
困惑した表情を浮かべていたのは部下達も同じだったが、その内の一人がやはり困惑した様子で告げた。
「可能性はあります。……実はアメリカに問い合わせたのですが、あちらでも同じように漫画家が救われた事があったと……」
殆どの人間が何とも言えない表情になった。
誰もが沈黙する中、一人の課長が手を挙げて発言を求めた。
「そう決断される前に見て頂きたいものがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「……この原因解明に少しでも役立つなら何でも構わん」
その言葉に頷いて、課長は部下に命じて、一つの資料を全員に配りだした。
「……今回、うちの部署は襲撃を受けた出版社、放送局を調べました。その結果、異様に死者数が少ない事が判明したのです」
「というと?」
明かされた話は確かに奇妙な話だった。
正にごくごく一部の人間を狙って襲撃したとしか思えない結果だったのだ。
中には目の前に逃げ遅れた人間がいたのにそちらを完璧に無視して、別の人間を追いかけてシェルを砕いて殺した、というケースもある。
「つまり……どういう事なんだ?」
「はい、例えば、ある出版社ではライターとそういう記事を提案した編集長が殺されていますが、反面、その記事担当の人間は殺されていません。そこで我々は今回殺された人材の関わった記事や番組を全て一から検証したのですが」
あるライターは「この非常の事態において漫画というものに何か意味があるのだろうか?そのようなくだらないものに時間を割くよりはそうした人間を軍へと送り込んだ方が良いのではないだろうか?」、そんな記事を書いた。
ある教授はある番組に出演し、その番組のプロデューサー共々殺されたが、その番組の内容は「漫画などこの時代には不要だ。廃刊にしてしまうべきである」という方向だった。
「なんだ、やはり漫画が保護されているのではないのか?」
「いえ、私達はこれに関して別の見方を致しております」
ん?と全員がその課長に視線を集中させた。
「これまでの悪魔の行動を見るに、一部明らかに攻撃を避けているものがあります。そうした方向性から私達は悪魔が攻撃を避ける要因は……創造性ではないかと考えています」
「……創造性?」
どういう事だ、と明らかに全員の顔に書かれていた。
「つまり、別に漫画に関係なく、絵画であろうと真面目な小説であろうと、或いは単なる娯楽でも構わないのです。何かを生み出す創造性を持ったものであれば悪魔は攻撃を避けるのではないか、私達はそう考えています。そう、例えそれが《笑い》であったとしても、です」
「……では?」
「はい、逆にそうした創造を否定、消すべきだという主張を行う単なる批評家に対しては……容赦がありません」
沈黙が会議室を覆った。
しばしの後、ゴホンと咳払いをして責任者は告げた。
「……そう考えるのが一番確かそうだな。上にはそう伝えると共に出版社や放送局にはこの旨を……ああ、こういうのを書いたりしそうな教授なんかにも通達を出しておいて欲しい」
世の中には色んな人間がいる。
その中には相手を貶めて喜ぶような人間だっているし、死体を掘り出して飾り付けて部屋に設置するなんて真似を仕出かした人間だって実在するのだ。
「……どう判断したらいいんでしょうね。これ」
「……まあ、逆。創造性を潰そうというのよりはいいんだろうさ」
どこか投槍に答えた責任者だった。
尚、これ以降、【オーガニック】は弾いてしまう為塗れないが、その分輸送機とか車に痛機、痛車が出現する事になり、上官も創造性に関する通達があったが故に下手に注意が出来ず……最終的に軍用機ですら一つの文化として認めてしまうという事件が発生するのだが、それはまた別の話。
という訳でこの世界の漫画などに関するお話でした
とはいえ、さすがにやり過ぎは問題なので痛機や痛車レベルまでやるのは自分の給料で買ったものまで、ただし、ある種の文化として現在のポケモンジェットとか列車みたいに塗装したりするのを当り前のようにやっちゃったりしてます
さすがに軍用機にはノーズアートレベルに抑えるように規則がわざわざ決められちゃったりしてますけどね……




