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幕間:歴史の授業

※これはあくまで仮想のお話です

『神々』が介入した結果、【オーガニック】という兵器が人類全員に与えられて、尚且つそれまでの兵器では敵わないような代物が現れた結果どうなったか……という架空の歴史です

ご了承下さい

内容的にはあくまで歴史なのでややこしいと思ったらスルーして下さい

 さて、少しばかり歴史の授業を始めよう。

 まずはこの世界の状況に関してだ。


 以前に少し話した事があるが、この世界では日本周辺各国はすっかり内乱で分裂してしまっている。何故そのような事になったのかを少し話してみようと思う……。


 そもそも『神々』が「悪魔」を世界に放ったのは1960年の事だった。

 この後の人類は苦難の道を歩んだ、という者もいるが、大体の科学者は「以後の20年程で最低50年、おそらくは100年は技術の時計の針は早められた」と言っている。これは【オーガニック】の機能の中には機体が生産工場のような役割を果たすものもあり、結果として現物があった事が大きいとも言われている。

 

 さて……。

 まず台湾からいこうか。

 当時は既に蒋介石は台湾に逃れていたが、当時台湾は日本統治時代から住んでいた従来の住民と国民党と共に逃げ込んできた大陸住人の間の亀裂は未だ修復出来ていなかった。まあ、当然だね。1947年の二・二八事件の時の被害者側がまだまだ生きていたし、当時の子供がちょうど大人になった頃だ。弾圧した側もまだ生きていたからね。

 ……ただ失敗したのはここで彼らが台湾人を「悪魔」に対する壁として戦わせた事だ。

 これで台湾人の不満に再び燃料が注がれた。加えて、全員が【オーガニック】を得た事で、それまでのように武器という面では一気に差がなくなった事も大きい。

 現在では良く知られているポイントによる機能向上も当時はまだろくに知られていなかった事も大きい。

 もちろん、真っ当な軍人は国民党側にもいたし、中にはポイントの事を知り、危機を訴えた者もいたが……結果としてそれらは黙殺された、らしい。

 結果から言えば、1964年頭、遂に蜂起した台湾人は激しい戦いの末、遂に国民党軍を蒋介石共々叩き出す事に成功した。これが1964年7月の事だ。

 当然、蒋介石は再び大陸に逃走しなければならなくなった訳だが……ここで一つの幸運が彼に味方した。


 この幸運に関しては中国が関係してくる事になる。

 ……1958年から60年にかけて大躍進政策が行われたが、結果は大失敗!当時トップだった毛沢東が失脚した。

 が、直後の60年から「悪魔」が各地に出現。

 これによって新たに権限を掌握した面々は大躍進政策の失敗による国内建て直しと「悪魔」による襲撃からの防衛の双方に悩まされる事になった。

 ……これを機に毛沢東側も密かに権限の奪還を目指して動き出したらしい。

 そうして、1964年半ば、遂に一気に動き出した。

 が、この時一つだけ誤算があったとしたら、当時のトップ達の一部が拘束をギリギリで逃れて南部への脱出に成功した、という事だろう。これは毛沢東側が抑えたのが数は多いものの割合新兵が多かったのに対し、逃走に成功したのは前線でも指揮を行っていたりしていた人物など……つまり、【オーガニック】が強化されていた人物だったという事だ。もちろん、分裂した両者を何とか再び和解させようと奮闘し、奔走した人物もいたんだが……結局は無駄に終わった。彼らに出来る事はせめてこの混乱の中で「悪魔」の攻撃への防衛線だけは維持する事だったというよ。

 この大混乱こそが蒋介石に幸運をもたらした。

 彼は湾岸地域では台湾に近すぎ、更に防衛にも適していないとして四川省まで混乱の中をたどり着き、一定の勢力確保に成功したんだ。

 折しも混乱の中で、彼に期待する人間もまたいたんだろう。

 ……この結果として、中国は結果的に正に三国志の時代に逆戻りする事になった。

 この大混乱の只中、1953年に休戦条約が結ばれてた朝鮮戦争が再開された。

 一つにはアメリカが本土に攻撃を受けるようになった事で、完全ではないにせよ国民の不安を抑える為にある程度はモンロー主義に立ち戻らざるをえなかった、という事情もあるし、北朝鮮がこのままでは中国からの支援が受けられなくなると焦ったのもあった、とも言われている。真相は不明だけどね。

 結局両者の戦いは限りなく共倒れの形で「悪魔」の大襲撃を受け、何とか再度の休戦及び悪魔への同盟が成立、現在は懸命に共同戦線を持って戦っているものの、国境線に互いの軍隊が張り付いているのとあくまで休戦という事から一触即発の状態が続いている状況になっている。 


 台湾は台湾で後ろ盾を欲した。

 自分達が上手く国民党を追い出したものの、大陸側からまたいずれかの勢力がやって来るのでは、という疑念が捨てきれなかったんだな。

 結果的に彼らが求めたのは何と「日本への再度の併合」だった。ただし、正式に日本国民としての権利は要求してるけどね。

 これには彼らには他に選択肢がなかったからだ、とする説が強い。

 何しろ、最初は拍手喝采で迎えたものの「犬が去って豚が来た」と言われるぐらい、国民党の為に台湾人は中国本土の人間に幻滅していた。

 中国の権力争いの様子を伝え聞く限り、共産党の側についてもろくな事になりそうにない、事ぐらいは分かっていたし、何より二つの勢力に分裂していて下手に負けた側につこうものならどんな事になるかろくな未来が想像出来なかったという事も大きい。まあ、位置的に南側の勢力に近い為に勢力の大きい北部勢力に味方するのは難しかったという事もあるかもしれないね。

 しかし、この当時アメリカはアメリカでベトナム戦争にただでさえ介入しすぎていた上、「悪魔」の出現で軍をある程度本土に戻さざるをえなくなっていた。

 つまり、新たに台湾にかかわりあっている余裕なんて全くなかったんだ。

 かといって、東南アジア諸国はまだまだ、という段階だ。

 中国本土の三勢力が駄目、アメリカも駄目、東南アジアの各国も駄目。それならどんな統治をするか既に分かっていて、言語を理解する者も台湾人に多数いる日本に再統合を求める、という結果となったのは仕方のない事だろう。

 日本も日本で混乱した。

 当然だな。いきなりそんな事を言われても、というのが正直な所だっただろう。

 ただ、中国側の内共産党系の北部と南部がそれぞれの思惑……南部は下手に台湾という横腹に敵を作りたくない(北部の分裂共産党と西部の国民党、それに東部の台湾の三方向に敵を抱えるのは悪夢だっただろう)。北部は今現在、台湾に戦力を送る余裕はない。どうせ勢力に組み込めないなら敢えて反発を買って台湾を南部に押しやりたくない、という事だったのが後に判明しているが割とすぐに承認。

 で、蒋介石は勿論不満を持ったが、ここで面倒な事になるぐらいなら日本に押し付けてしまえ、という事に決めたアメリカの説得もあって渋々承認し、最終的に日本も日本でアメリカから同意が得られた事から後に正式に台湾を国土に加えると共に、日本人と同等の権利を与える事を明記している。

 

 ……最後に北方だ。

 ソビエトはスターリンによってシベリアに送られた人達は当り前だけど不満を持っていた。

 政治家や軍人だって大勢送られていたんだ。

 彼らが1953年のスターリンの死亡による政権の交代とその後の安定させるまでの間に【オーガニック】という戦力を得たのは正に好機だったんだろうね……彼らは1961年には早くもシベリア共和国を宣言し、独立を図った。

 まあ、当り前の話だが勝手にかつてシベリアに送り込んだ流刑囚に反旗を翻されたソ連は当然納得いかなかっただろうが、当時恐怖で押さえつけられていた各地、中央アジアはおろかウクライナでもこの当時、反乱が勃発していたからね……。それだけスターリン時代の恐怖と反発は大きかったんだろう。結果として、ソビエトは歯噛みしつつもその全てに【オーガニック】を編成した新しい軍を送り込む、なんて出来るはずもなく幾つかは切り捨てる形で独立を認め、ウクライナやシベリアには国境線に軍を貼り付ける形になった。

 で、シベリアとしては出来れば前面のソ連に集中したい。だから、千島列島(さすがに樺太は彼らも譲らなかったが)の返還やシベリア抑留されていた日本兵の帰還を認めるのと引き換えに経済協力という名の物資の支援体制を築き上げたのは評価すべきだろう。何せ、当時のシベリアは物資が全然足らなかったらしいし……。

 ……ちなみに台湾に関してはどうせ自分達には関係ない事、それでで恩を売れるならと睨んで、さっさと認めているよ。


 ……結果として、日本は周囲の思惑やら棚ボタで一度は失った台湾や千島列島を再び手に入れる結果となり、反面、中国は三つに分裂。朝鮮は内戦一歩手前状態、ロシアも分裂という状況になっている。朝鮮戦争で経済などが復興していた事もあって「何で日本だけ」なんて恨む声だってあるんだよ……。別に何かした訳じゃないんだが、日本陰謀説なんて話は消えた事はない、と言われるね。

 正直、「悪魔」の襲来がなかったらどんな世界になっていたのやら……そう思うよ。

 或いは薔薇色の未来、なんてものがあったのかもしれないね。 

と、まあ、架空の歴史設定です

これは本当に「もしも」の世界なので笑い飛ばしてもらえると幸いです

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