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 さて、砲撃支援という地味な役割を演じる人間がいればド派手に動いている者もいる。


 「さて、愚かな悪魔の方々に舞踏に付き合って頂くといたしましょう」


 南宮は自分がどこか壊れていると理解していた。

 日本人形のような繊細且つ綺麗と一般的な感覚でなら言われるであろう彼女の初めての戦いは守られていたはずの戦線から逃亡者が出た事による戦線の崩壊。

 後に判明した事だが、この時の逃亡者は地元の有力者の息子という立場のみで、民間防衛隊の隊長となった人間。幼い頃から甘やかされて育った為に尊大で嫌味な男だった。そしてそいつはいざ戦闘となった時、一番に逃げ出し、取り巻き連中も一緒に泡を食って逃げ出した。

 結果として、軍の到着まで持ちこたえるべく頑張っていた防衛隊の戦線は崩壊……町の皆はシェルの中で次々と殺されていった。

 私も死ぬはずだった。

 けど、追いついた防衛隊の生き残り、兄が命がけで助けてくれたから私は母のシェルが壊された時、助かった。

 そして私は【オーガニック】に乗った。

 何故あの時乗れたのか、私には分からない。けれど、私の【オーガニック】が教えてくれた、私にはそう感じられた。そして、その後、兄が命と引き換えに大きな損傷を与えていた悪魔三機を私は真っ白な頭の中で叩き潰し、間もなく到着した軍の緊急展開部隊の到着で私は助かった。

 

 「空間展開……」


 けれど、死と生、その狭間に魅せられた。

 あれ程胸が騒ぐ、熱くなる瞬間があるだろうか!

 兄が目の前で死にながら、私は戦いに惹かれていた。だからこそ、かもしれない。次第に戦いそのものを忌避する母と食い違っていったのは。母の気持ちは分かる、目の前で息子が死んだのだから私に安全な場所にいて欲しいというのは。それでも私は……。


 「さあ……いきましょう!」


 戦場から離れられない。

 乗る度にそれを理解しつつ、空間から巨大なメイスを引き抜く。

 え?剣とか刀ではないのか?ですって?無理を言わないで下さい。刀というのはあれで相当扱いが難しいものなんですよ?この年齢の子供がきちんと刀を扱った経験なんてある訳がないでしょう。銃も同じです、私は銃など撃った事がありません。

 それよりはこっち、振り回して殴ればいいメイス、槌の方が楽ではないですか!!


 「潰れて、鳴きなさい!」


 私の【オーガニック】を始めて見た人は「筋肉質ですね」という。

 近接戦闘が私の好みなのですから、仕方ありません。大きなメイスを扱う以上、当然ですけれど【オーガニック】は出力と装甲を強化しています。固定武装もマシンガンのみ胴に移し、腕の高速振動剣は削除してポイントに還元してしまいました。

 あ、普通は出来ませんよ?これは最初から持っている高速振動剣とマシンガンのみに適応可能な裏技ですから。私の場合は「武器召喚」機能なんてものを最初に得る事が出来たので外しただけ。普通は残して装備部位を変更するぐらいですもの、ね!!

 

 「さあ、聞かせて下さい、今日の貴方がたの悲鳴を」


 ああ、うろちょろして目障りです事!!

 横殴りに振った一撃が陸戦型悪魔を二体まとめて吹き飛ばす事に成功しました。そこへ武器召喚で槍を射出し、串刺しに。動きが止まった所を叩き潰し!です。

 ふう、あら、妙に他の人の機体が引いてますわね。

 どうにも私の戦いを見ると、怯える人が増えるのです。失礼ですね。ちょっと連続して悪魔をガンガン叩いてミンチにしているだけではありませんか。

 一応武器召喚時についてきたビームライフルもあるのですけれど、あれはどうも趣味ではないので成長させてないのですよね。なので、白兵戦用武器ばかり成長させています。もっとも3Lvまで成長させた今では複数の武具が召喚出来ますし、召喚解除すればまた取り出せるようになります。それ以外にもある程度までなら離れていても攻撃出来る奥の手はありますけれど……今の所問題はなさそうですね。

 一人だけでなく真っ当に戦ってくれる人が他にもいるというのは助かります。

 

 当人は気づいていないようだが、実際彼女の機体はごつい。

 色は紅色を基準に黒を幾箇所に用いているというもの。

 そんな機体がどこからともなく取り出したごっついメイスを振り回しているのだ。しかも、それだけのメイスの慣性に耐えられるよう出力も増強し、近接戦闘が増えるが故に装甲も大幅増強、その装甲強度を支える為に更に出力を増加……武装はシンプルにマシンガン二門が肩口に。

 後は最初期に「武器召喚」機能で取得したビームライフル一門のみ。

 こころなしか、悪魔の群も彼女の周囲からは引いているように見える。

 ただの鉄塊たるメイスならば彼らを叩き潰せなかっただろうが、微細な超振動を、高熱を、電撃を纏うメイスは悪魔をも重力で加速し、叩き潰すに十分な破壊力を生む。

 結果として、ふっとあいた僅かな時間、南宮は周囲を確認する。

 

 「特に危険な箇所はなし、と……あら?」


 空に描かれる軌道がふと目に入った。

 

 「あら、なかなか目立った事をされる殿方もいらっしゃいますね」


 では私ももう少し派手に参りましょう。

 声を出す事なくそう呟き、彼女は再び動き出した。 


二人の女性の片割れです



南宮千代機体機能

【パッシブ】

 ・外部記憶機能

【アクティブ】

 ・探知機能:Lv2

 ・通信機能:Lv1

 ・武器召喚

  近接:3Lv

  射撃:1Lv

出力強化:Lv7

装甲強化:Lv7

色彩+お得セットなど10P

【残/総計ポイント:25/305】

5機撃墜

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