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笹木にとって、戦場とは遊び場だった。
傭兵の赴く戦場は常に危険に満ちていた。確かに世界全ての人間に与えられた【オーガニック】はそれまでの軍事常識と兵器体系の一部を塗り替えた。
だが、それとてきちんとした訓練がなければ活かせる訳がない。
アメリカとかロシアとか日本とかまあ、これまでの軍事でちゃんとした教育体制を構築出来ていた国はまだ良かった。試行錯誤も多々ありながらもある程度公開しても大丈夫な情報に関しては共有しつつ、きちんとした指導体系を確立出来たからだ。
問題は確立出来なかった方だ。
例えばお隣の国のように国民全員が【オーガニック】という兵器を手に入れ、それまでの兵器が武器としては無意味と化した為に民衆の不満が爆発した国とか、同じく抑えつけられてきた不満が爆発して政権が倒れた挙句に同じ民族という理由で隣国に合併を要請し、結果として両国とも経済が崩壊した国とか。或いは元々貧しくて兵士にきちんとした教育体系を築けていなかった国とかまあ色々と。
そうした国では【オーガニック】の成長に関する細かな部分など確立されているはずもない。
一応軍事機密に属するという事で各国もそうやすやすと詳細な情報を明かしてくれる訳でもないし。
そんな中では傭兵とて立派な戦力だった。
しかし、同時に傭兵は国軍の盾となりやすい部隊でもあり、時には使い捨てにされる部隊でもあった。
もちろん、傭兵とてそれは理解しており、適当な所で撤退したり、場合によっては情報を事前収集して裏を把握したりと鼻が効いてこそ傭兵として生き残れた。そして、間違いなく笹木の父は恐ろしく鼻の効く傭兵隊長として部隊を生き残らせてきた人物だった。
が、それも裏があってこその話だ。
その国の軍も全力で頑張っている最中に、傭兵がさっさと逃げ出すでは信頼を失い、以後仕事なぞ入らなくなる。そう、真っ向勝負故に彼らは壊滅したのだ。
「名付き」の悪魔、大地を掘り進むベヒモス。普段マグマの中を遊泳していると推測されているこの魔獣はアフリカ大陸のどこかに突如出現する。ユーラシア大陸を根拠地とする同じく「名付き」の悪魔クジャタがヒマラヤ山脈を拠点とし、膨大な数の悪魔達によって守られている不動の要塞であるのとは逆の大地の魔獣だ。ちなみに後者に関しては不動故にこちらから攻め込まねば周辺の悪魔すら動かない為に後回しにされている……内にますます手におえなくなりつつある訳だが。
とにかく、ベヒモスは他の「名付き」が比較的要塞としての性質が高いのに対して、自らが襲ってくるという極めて危険性の高い悪魔だ。
硬い、高火力、おまけに地中移動を自在にこなす為に射程外に離脱される事も発生し、広範囲への攻撃も普通にこなす。
アフリカ大陸に駐留する各国から派遣されている部隊は航空部隊による出撃で対応する相手である。というより、対空戦闘がまだ弱いからこそ何とか抑え込めているというとんでもない相手だ。だが、それも警戒網が設置されていての話。内陸部の貧しく、同時に広範囲の領域には未だ警戒網の設置は十分に為されておらず、結果として奇襲を受けた。
……こうした「名付き」の行動が活発化しており、これらに関していろいろと憶測が飛び交っているが、そんな化け物に奇襲を受けた結果として当然のように国軍は早々に崩壊、そんな中懸命に周囲の部隊と連携しながら撤退を行っていた傭兵部隊だったが、最後の最後で遂に直撃を受け指揮系統が崩壊、ベヒモスの蹂躙を受けた。
そうして、全滅といっていい被害を受けた部隊は解散。
笹木も母国である日本へと生き残った傭兵達と共に何とか帰還した。
幸い父は自身への報酬をきちんと貯蓄していた。傭兵は長く続けられる仕事ではないときちんと理解しており、息子の教育の為にその内母国へと戻すつもりだったようだ。
とはいえ、笹木自身は普通の学校へ行くつもりはない。
今更、普通の学校に行って戦場から離れる気になどなれなかったのだ。
さて、そんな彼の【オーガニック】は軍では滅多に取られないある機能がある。
「変形、モードタンク」
その言葉に応じて彼の【オーガニック】が変形する。
両肩から二本の角のように対空・対地兼用のレールカノンが背中から起き上がるように展開。
腕部に大型ガトリング砲が出現し、脚部は前方に展開してホバーが展開する。
更に、肩には小型のレーザー砲が浮遊砲台として現れる。
これが彼の、笹木の【オーガニック】のタンクモードだ。
『変形』という機能は軍では滅多に見かけないシステムだ。原因は単純、「変形」という機能は複数のモードを取って初めて役に立つという事だ。「変形」機能を取ると他の機能を取る際にポイントが軽減される。例えば「飛行」は50から30となり、「地中潜行」、「海上」「海中」なども同じ。また変形して初めて取得可能な機能もまた存在している。例えば「ホバー」がそうだ。二脚歩行だけの場合は「ローラー」は取れても「ホバー」は取れないのだ、【オーガニック】では。
……まあ、バランスが悪すぎる、というのが最大の理由だろうが。
軍においては役割分担が行われる為、結果としてそんなに複数の変形形態を取る事がない。取る事があるのは精々特殊部隊かそこらだ。
だが、傭兵は違う。傭兵の場合、どんな環境での戦闘になるか分からない。仕事があってもその状況に対応出来ませんでした、というのも困る。故に安く色んな状況に対応可能になれる「変形」という機能が案外重宝されるという訳だ。
既に空中にも地上にも染み出すように出現した悪魔達で溢れつつあった。
的にはことかかない。
「ま、こっちは砲台に徹するだけだけどね」
だからこそ、タンクモードを選んだのだから。
照準を合わせ、砲撃を行う。
複数同時に、といっても現在稼動しているのは二種四門に過ぎない。肩の浮遊砲台は万が一の近接時の時用だ。
「撃つべし撃つべし……地上戦はそろそろ支援は限界か」
混戦になりつつある。
そんな中に下手に撃てば同士討ちだ。
ならば、と上空を見上げる。
空は絶対数が少ない。が、攻撃が来ない。それだけ少ないながら航空部隊が奮闘しているのだろう、そう思って……。
「うわあ……何、あの変態機動」
思わずそう呟いてしまう機体が一機。
ネイビーブルーの正規軍の色が空に溶け込み、その中で異様な機動を取って次から次へと悪魔を叩き落している。
何しろ、真っ直ぐ飛んでったと思いきや、いきなり機体の方向をそのままに垂直上昇し、上空から降下攻撃をかけてきた悪魔を三機まとめて切り裂いた所だ。かと思えば、その姿勢のまま後ろへと進み、そこから鋭角に方向を変更して突き進んでいく。
他の航空部隊や悪魔がなまじ通常の航空機と同じレベルの飛行を行っているだけに、そのUFOの如き異様な飛行は非常に目立った。
「どこの誰?あれ……うわ、同期じゃん!」
現状地上戦に砲撃が行えない為にこちらには余裕がある。通信機能に併設されたIMF(敵味方識別装置)から対象を選択。そこには笹木の同期たる西坂の名が記されていた。
こんな機動やらかすのが重力・慣性制御飛行なのでこれまでの空戦の知識が使えないのです
一番最初の一人は変形機能つきオーガニック乗りです
……なんだけど、今回砲撃支援してたから戦闘場面が……
ドリル戦車形態とか、ドリル腕につけての白兵戦闘とかもやったりするんですけどね
ちなみにカラーリングはオレンジの素体に上腕部大腿部が白、肘や膝の部分に黒を配し、頭部の飾り部分が銀色となっています(合計9ポイント、他外見弄り)
『現スキル』
【パッシブ】
・外部記憶機能
【アクティブ】
・飛行機能:重力制御/慣性制御
・探知機能:Lv2
・空間断層
レンジ:Lv2/数:Lv2
・マシンガン
パワー:Lv2/数:Lv2
機体性能変更点:装甲強化
その他便利機能(エアコン他)
【残/総ポイント数:65/370】
12機撃墜追加により60ポイント加算(初コネクト時の特別計算換算で、通常は小型機一機で5ポイントです)




