131
誰の手も止まっていた。
だが、誰も撤退しようとはしない。
動かず、進まず、そんな不可思議な空間がその場に出来上がっていた。
『終わりか?』
神々の淡々とした声にも反応する者はいない。
現在の一同の感情を言えばこうなるだろう。
【やるのもむなしいが、やらずに帰るのは悔しい】
いっそ、神々が怒るなり悲しむなり恐怖するなり感情を見せてくれたならば。それならば例え粉砕されようとも一矢報いたという気持ちを持つ事が出来ただろう。
しかし、神々は何も返さない、削ろうがただ淡々とした現実が還ってくるのみ……。
その結果が、進むに進めず、さがるにさがれぬ今の状況だ。
『汝ら何故終わり、尚もこの地に残る?』
『左様、この地に残りても汝らに新たな道はない』
『戻れ、さすれば新たな道も見つかろう』
諭すように言ってくるのが余計に腹が立つ。
これが本心から言っているなら感情が芽生えたのか?と勘違いもしそうだが、実際は単なる表層のみの行動、膨大な情報として蓄積された思考ルーチンの中から、その場その場で相応しいものを抜き出しているに過ぎない。
大体、これは感情の問題なのだ。理性でどうこういう問題ではない。
黙っていれば、神々は何を勘違いしたのか……。
『よかろうならば何とかしてやろう』
そんな事を言い出した。
これに焦ったのは人類側だ。
親切心からだなんてとても思えない!そもそも、彼らは大本は人であったとしても既に彼らの感情は磨り減って磨耗しきり、殆どの存在は自然という混沌に溶けている。僅かに残った残滓にすがり付いているのが現在神々と名乗っている存在だ。
そんな相手が考える手段……。
まあ、これまでがこれまでというか、自分達という存在を維持する為に強制的に階梯を引き上げる、その為だけに数十年に及ぶ戦いを人類に強いた連中だ。
ろくな事が思いつかない。
「ま、待て……」
『ではゆくぞ』
止めようとはしたのだ。
けれども、それで止まるような相手ならば誰も苦労はしなかった訳で……。
神々の力が、人類が止める間もなく、そして止める方法もないままに振るわれる。
一瞬の間の後、そこには全く変わらぬ光景があった。
『ではさらばだ』
その言葉と共に、人類は、艦隊は再び動き出す。
それと入れ違いとなるように、神々もまた動き出す。
『この次元、空間における作業は終了した』
『然り』
『なれば、次の次元にて来訪者が訪れるまでまたまどろみの中で過ごすのみ……』
『然り』
再び彼らは次元の狭間へと戻ってゆく。
それを他の混沌と一元化したかつての神々の同列存在達は妨害はしない……。
あくまで彼らは己の眠りを妨害したものを排除したのみ。
扉を開ける術があるならば、静かにまどろむだけならば彼らはそれを排除したりはしない……。
そして、その地は再び人が訪れる前の静けさを取り戻したのだった。
随分長くあいてしまった……
これでいいのかな、とか色々終わり方に悩みましたが矢張り当初の予定通りに行く事にしました
何をしたのかも含めて次回のラストにて……




