130
八つ当たり。
本当に、艦隊の攻撃は正にそうとしか言いようがなかった。
現れた相手は巨人だった。それもキロ単位の……。
元からそういう種族であったのか、それとも進化の過程でそうなったのかそれは分からない。
ただ一つ確かなのは攻撃が面白いように当たり、面白いように削れていった、という事だ。
……そして、次第に攻撃側の手が止まっていった。
はっきり言ってしまえば、全く抵抗がないものだから、仮にも神々を名乗る相手を攻撃している!という実感が全くないのだ。おまけにサクサク削れるせいで、全く殴っているという実感がない。これならまだ艦内のトレーニングルームでサンドバッグを殴っていた方がマシだ。
これで神が焦って攻撃してきたなら、その攻撃で何人もが吹き飛ぼうとも皆は燃えただろう。
尚も傲慢に振舞うならば、怒りをもって攻撃しただろう。
しかし……相手が全く反撃すらしてこないとしたらどうだろうか?
怒りに任せて、貴方が山にスコップを仲間と一緒に「この山削りきったる!」とかやっていたとして、本当に削りきるまで全員がやる気に満ち溢れているだろうか?
……答えは難しいの一言だ。
最初は勢いに任せても、次第に一人、また一人と徒労以上に意味を見失い、その姿を見る事でまた……やがては全員がやめてしまうだろう。例外はそこを掘る意味がある時だけ、そこにお宝でも眠っているのならばまた話は違ってくるだろうが……採掘会社でもなければ、そんな事をしない、する意味がない。
『……もう良いのかね?』
複数の入り混じった意志が響く。
「……良くねえけど、何か気が抜けちまったよ」
「っていうか、あんたら何で反撃しねえんだよ」
どこか自棄が混じった声があちらこちらから響く。
まあ、一同が比較的早期に冷静さを取り戻した理由は幾つかあるが、一つは全員がベテランの軍人であった事、確かに全体のおおよそ三分の一に損害を受け、残りの内半分は恋人を殺された事に激怒したが、裏を返せば残る半分、全体の三分の一は周囲に引きずられていたか、神々の言葉に怒っていただけ。
そこから冷静になり、やがて全体に波及した、といった所か。
特に軍隊というのが大きい。人である以上、怒るな、というのは無理だが、一流であればある程感情のコントロールが上手い。というか、それが出来ないと戦場では死ぬ。
『反撃、とはなんだ』
「はっ?」
困った事に意志がダイレクトに繋がっているからだろう。
本気で言ってる事が分かる、分かってしまう。
どうしてだ、と思えば、それまた伝わってくる、どうやら……。
「……不老不死になって長いせいで、反撃の必要性感じなくなった、ってか……?」
攻撃を受けた場合、どう感じるだろうか?
普通人が殴られたら痛い、と思うだろうし逃げるなり反撃するなり……何かしらの対応を取るだろう。
では……。
逆に攻撃した側は全力でも攻撃を受ける側は全く脅威を感じていなかったらどうだろうか?例えば、殴ってくる側が生まれたての赤ん坊だったら……。或いは子猫だったら?
精々ほほえましく、対応するだろう。
神々の場合はそれとは少々異なるが、死ななくなった事で攻撃を脅威と感じなくなった、らしい。
『どうした?』
「………」
誰もが沈黙していた。
もし、この時の彼らの心の声を形とするなら……「やってられっか」といった所か。
彼らは神々の思惑の為に様々なものを奪われた体験を持つ者達だ。
それは家だったり、思い出だったり、恋人や友人だったり……それらを幾ら相手にたたきつけた所で相手は理解などしてくれない。
自分達の感情を受け取った、といっても神々からすれば、それこそ漣を立たせた程度……それでも神々にとっては十分だ。だが、それだけでは……人の持つ感情のそれには遠い、遠すぎる。
「畜生……」
小さくそんな声が洩れた。
ワンピースの自然系の能力者なんかが分かりやすいですかね……
彼らも避けません、当たってもすり抜けるから




