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『時はきた』
『さあ、今こそ最後の試練を始めよう』
そう呟きが広がり、彼らの意思が世界へと広がる。
それだけで世界が塗り替えられ、彼らの願う結果が生じる。
『かつてここに来たものは揺らぎが小さかった』
『なればこそ祈ろう』
『然様、我らが願いが叶わん事を……』
神々を名乗りながら、自らが何かに祈る。
その馬鹿さ加減を哂うものはそこにはいない。
いや、彼ら自身がそれを重々承知しているだろう、そもそも神々とて自嘲を込めて名乗ったもの。
今更そのような事を気にするぐらいなら、最初から名乗りはしない。
『おお……』
かつてのそれと比べても明らかに違うそれ。
感じ取ったそれに僅かに空間が揺れる。
数多ある次元の一つ。
可能性の一つ。それでもその度に彼らは揺らぐ……。
『さあ、我らが可能性得る為に汝らに課した試練、見事乗り越えてみせるがよい……』
◆
当の試練を強制された側は大混乱に陥っていた。
当然だ。
いきなりあちらこちらで死傷者が大量発生だ。これで何もない方がおかしい。そして……。
「おい、こんな状態で出撃だと!?」
驚愕の声が上がったのは艦載【オーガニック】師団からだった。
知った顔は多い。
恋人だっている。
彼らが倒れ、苦しみ、息を引き取る。そんな中で出撃せよ!との命令。
いや、分からない訳ではない。仲間が倒れる中、それでも現状を何とかする為に繰り返し繰り返し出撃を行う……第二次大戦のドイツ軍のパイロット達が凄まじい数の撃墜数を達成したのもつまるところは連合軍側とは比べ物にならないハードな出撃状況をこなし続けていたからだ。
だが……。
隊長格も倒れている。
そんな部隊は誰に従って動けばいい?
指揮系統も何もかもめちゃくちゃだ、当然だが管制官も現在はガッタガタ。
愛する人を見つけた者はその人の傍に駆け寄って泣いている。
「こんな状況で出撃しろってのか!?」
「ふざっけんな!!」
「何がどうなってるか説明しろ!!」
歴戦の兵士達が怒鳴る。
彼らもこの何日もの精神をすり減らすような流れの中、ようやっと離脱出来たと思った矢先のこれにいい加減参っていたのだ。
だが、それらを無視する者もいる。
「やかましい!!!」
一瞬で広いルームが静まり返った。
「いいか、こんな真似しでかしやがった奴はこの船の外に必ずいるんだ。そいつらをぶちのめしに行くんだ。お前らは仲間を、恋人を、妻を、夫を殺されて泣き叫んでじっとしてる気か?違うだろうが!!今はその犯人がすぐ傍にいるんだ。最低でも一発以上叩き込まなくてどうする!!効くか効かないかじゃねえ!!俺達の意地を見せ付けてやらねえで、どうするんだ!!」
「…………」
「出撃だ!!こんな真似やらかした奴ら全員打ち殺せ!!」
「おおおおおおおおおおおおお!!!」
怒声が響き。
そうして、彼らは出撃してゆく……。そんな中。
「清美……行って来る。お前の分もまとめて叩き込んでくるよ」
一人の大隊長が黒髪の少女に優しくキスをして、そうして背を向けた。
その背後で医療班が急ぎ医療ルームへと運んでいく。僅かでも蘇生の可能性に賭けて……。
「まだ終わってないだろう…!俺もあいつも!!」
そうして最後の戦いの為の出撃が始まる。
色々と本音をぶっちゃけだす神様達
所詮神ではないと自覚してはいるんですけどね。自分達は神みたいな事が出来る○○に過ぎないのだと




