120
全ての艦が出撃し、はや数日。
魔王級が確認されている宙域を避け進む四隻の艦長と、それを統べる司令官としての役割を与えられた宇宙軍大将の四名+参謀らは映像を通じて顰めた顔を突き合わせていた。
「おかしい」
司令官の言葉を否定する者はいない。誰もがそれは抱いている気持ちだったからだ。
「何故、ここまで一度も悪魔と対峙しないのだ?」
それが理由だった。
無論、危険宙域との警告の為の場所にならいるのかもしれない。
しかし、通常ならばそれ以外の場所でも悪魔艦隊とは普通に遭遇する。それがない。
出航してから順調に航行し続け、既に行程の半分を消費した。
それなのに、未だ一度も悪魔との遭遇が起きていない。
「これは一体どういう事なのだ?」
司令官が眉をしかめながら誰か分かる者、推測出来る者はいるか、とばかりに他の者に視線を向けるが誰もが首を傾げている。
まあ、仕方ないといえば仕方のない話で、そもそも悪魔の行動基準というものが分かっていないのだから、分かるはずがない。
とはいえ、そこは各国から選ばれた参謀達。例え【オーガニック】の戦闘は出来ずとも考える事は出来る。というか、戦闘が出来なくて考える事も出来なかったら立つ瀬がない。無論、世の中勉強は出来て、いい大学を卒業しても馬鹿としか言いようのない者もいるのは確かだが、そんな奴らは出世出来ない。
もちろん、中にはそんな奴でも出世した国がない訳じゃないが、大抵そんな奴らはどこかで馬脚を現す。
ましてやこの世界、ただ参謀本部で篭っていた結果、現場を考えない馬鹿な作戦を立てた連中がいたお陰で、参謀になるには現場研修が必須だ。早い話、一度軍人となったら現場という戦場を経験した後でなければ如何にお偉いさんの息子でも絶対に後方へ下がれない。というかそんな事認めてたら、間違いなく悪魔の大軍に参謀本部を襲撃される。事実、その結果として参謀本部を含めた頭脳にあたる部署が壊滅寸前ないし文字通りの意味で壊滅に陥った国まで複数実在している。
という訳で、ここにいる参謀連中も現場で実際に戦った上で、その中で参謀としての才覚を示し参謀に取り立てられた面々だ。
「ここまで来ると矢張り神々の誘導、そう考えるのが一番妥当ではないでしょうか」
「同感です。ただ、問題はその思惑ですが……可能性としては矢張り、今回の向かっている先が我々の予測通りの場所である、という事ではないでしょうか」
すなわち、神々が用意したゴール地点である、と……。
「ふむ……」
「おそらく、ですが到着した先にて可能性は幾つかに分けられます」
一つ目としては可能性は低いが純粋な歓迎。
よく到着した、とゴールを称える訳だ。
最もここまでアレコレと十年以上もの間続く試練を付け足してくれた神々がそんな甘い訳がないと誰もが思っている。
二つ目としてはゴールに最後の試練が待っているというもの。
おそらくこれが一番可能性が高いだろう。
「……最後の試練がそこに待っている、そう考えるべきだろうな」
司令官の言葉に誰もが頷いた。
無論、三つ目の可能性としてようやくスタート地点に立ったとかそういう可能性もないではない。
だが、神々は『試練を与える』といった。
試練は乗り越えるべきものだ。乗り越えられない試練は試練ではない。それは単なる妨害に過ぎない。試練である、というのならば、何時かそれを乗り越える事が出来るはず、だ。まあ、もちろん乗り越えられると思って挑戦したら力が足りなくてはね返された、という可能性は常にある訳だが……。
そこは考えても仕方がない。
「まあ、だからといってまだ悪魔艦隊と遭遇しないと決まった訳ではない……」
「そうですな、魔王級との遭遇とてまだないとも言えない訳ですし……」
しかし、結局彼らは何もなく発見された場所へと通じる『道』へと到達する事になるのである。
ラスト戦闘と〆まではきっちりやります
次回ぐらいから到着して、戦闘突入予定




