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 世の中、辛い事があれば楽しい事もある。

 葬儀の後しばらくして、『アライアンス』はある星系へと到達した。

 ここは人類が抑えている場所の一つ、基地が存在している。


 「よーし、お前ら久方ぶりに大地に足をつけれるぞ」


 基地のある殆どの星は実は無人だ。

 いちいち惑星改造を行っている余裕がないので、資源の豊富な星系を発見した場合、無人基地に無人採掘施設を設置して無人で資源採掘を行い、恒星間航行船が到達した際に溜め込んでいた資源を回収し、機械のメンテナンスを行って立ち去る。

 当然、そんな時、乗組員はわざわざ惑星に降りたりはしない。

 大体、彼らが寄るのは大抵惑星の傍に浮かぶ衛星群だ。惑星ともなれば重力の井戸の底。

 いや、【オーガニック】恒星間宇宙船ならば別にそれはいいのだが、長期間安定して採掘施設を動かすのが難しい。

 何せ人類が基地を直接造るのを放棄した事から分かるように、その殆どは人類の生存には到底適していない。

 大気が薄いぐらいなら許容範囲。

 恒星からの灼熱のプロミネンスが惑星軌道上にまでしばしば伸び、惑星を舐める星系。 

 メタン、エタンの分厚い海が大地を覆いつくし、その遥か底。数万mの静かな海原の奥に進まねば大地にすら辿り付けぬ星。

 恒星からの重力場の影響で常に大地震がどこかで発生し、その地震も星を揺るがす規模を誇る何時かは、遅ければ数千年、早ければ数年の内に崩壊する惑星。

 星の相当な量がダイヤモンドで構築されている星。

 かと思えば光を吸収する何らかの物質で覆われ、

 もちろん、ガス状の惑星や、元々はガス状惑星だったと思われる一つの星系の中、恒星の傍を小さな別の恒星が回っている星系。

 宇宙には様々な星があるが、大部分は住むに適さない星だ。

 けれども、そんな星、ではなく衛星や小惑星の中には結構な資源が眠っている場所は多い。

 その中でも比較的採掘が容易な所へ無人基地を設置している訳だ。

 しかし、そんな場所では大気もろくにないし、見るべきものは何もない。悪魔だって登場する危険があるから、艦載【オーガニック】部隊の仕事は周辺宙域を飛び、万が一に備えて監視を行う事だ。大抵の場合は大隊規模が一定時間ごとに交代で。


 が、中には、本当に希少なレベルで無改造で人が住める惑星も存在している。

 そんな星には研究者が住んでいる、訳だが……。

 もちろん、実際には「たまたまその時、その星が住める状態にあった」だけで、実は軌道の関係で一定期間を過ぎると何百年も凍り付いてしまう星だったり、危険極まる原住生物が発見されたり、恐ろしい病原体に犯されて全滅なんて話が冗談でなく存在している。

 今回の星はそんな中でも安全と判断された星で、その惑星の大部分は水で覆われている。

 水深は平均5万m。

 僅かな大地以外は恐ろしく深い水に覆われた大地であり、原住生物も深く潜れば潜る程危険な動物が存在している。

 しかし、上に上がってくればより簡単に自分より弱く、群れている生物を狩れるはずなのに、何故彼らは同じ程度の水深で同じ程度に危険な生物と激しい生存争いをしているのか、別にその水深でしか生きていられないという訳ではないのは確認されているのに、一時的に上がってくる事は上がってもまたその水深へと戻っていってしまう……。

 そんな事を研究しているグループがあるらしい。

 しかし、そんなややこしい事は研究者達に任せておけばいい。

 重要なのはここの水が至極美味く、調節も何もなしに飲める事。

 水産資源が豊富で、魚と海草を食べる限り生活に困らない事。

 その魚と海草は極めて美味く、また味が色々で飽きが来ない事。

 そうした点だ。

 まあ、だからこそ、地球の人類もコストをかけてでもこの星の重力井戸の底に基地を設置しており、管理する設備を設置している。

 研究者達がここにいるのも、管理人としての役割を期待しての事だ、というか正式な仕事はそれだ。


 「もっとも、連中がやってるのは本気で住んでるだけなんだが」


 料理が趣味な研究者が料理を披露してくれたり、何が美味いかなどを教えてくれたりはする。

 しかし、元々こんな地球から遠く離れた地に「それでもいいから!」とやって来る人間などそうそういるはずがない。

 そんな所へ偶に数千数万の人間が来ても対応不可能だ。

 かくして、研究者の島も、休息地代わりに恒星間航行船の住人が滞在する島も別の島であり、数百キロは離れている。研究者は一月に一度程度施設の状況を確認しに来るだけだったりする。

 でも、そのお陰で設備はきちんと保たれ、何より……。


 「ビーチ綺麗」


 ある程度進めば急速に落ち込んでいる海ではあるが、それでも汚されていない海はエメラルドグリーンの綺麗な海であり、ミネラル分たっぷりで必要以上に塩分を含んでいない淡水は普通に飲める。

 どうやら久しぶりにのんびり出来るようだ。

 降りてきた彼らは久しぶりの海にのんびりと過ごし、美味い飯に舌鼓を打った。


 

 ◆◆◆



 ……そんな彼らを遥かな水底から見つめる視線があった。

 意思を持たず、ただ星の管理を上位者より命じられたそれは己の役割。

 心を休められる場を維持する事。

 人が生きるには適さない宇宙を旅してきた人々が疲れ果てる前に再び先へ進む力を与える場を保つ事……。

 それを果たせている事を確認すると静かに意識を惑星に戻したのだった。  

という訳できちんと考えてる神様達でした

どこかで休息出来る場所があるのと、ないのとでは違うと思うのです


……特に「何時次の休みがあるか分からない」仕事が結構きつい

警備のアルバイトをした時にそう思ったものです。逆に「あとどんぐらいしたら次の休憩」って分かってれば意外と大丈夫でしたね……

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