93
『……どうやら私も付き合いは当面ここまでだ』
『そうか』
誰もが静かに頷き、影が一つその場を離れる。
反応は至極あっさりしたもので、悲しむ様子も何もない。
淡々とした様子で影はやがてある場所へと辿りついた。
そこには幾千幾万或いはそれ以上の人影が浮いている。身なりはざっくばらんなもので、誰もが似たようなただ布を纏っただけのような姿をしており、或いは腕組みをし、或いは足を組み、それぞれに異なるもののいずれも生きているのであろうが、僅かな身じろぎすらない。
やって来た影もまた適当な隙間に無造作に漂い、くるりと周囲を見回す。
『さて、お前達は我らの決定に如何なる気持ちを抱くのだろうな?』
怒るのだろうか?
悲しむのだろうか?
或いは喜び?
それに対する自分は……。
『さて、辿りついた時に彼らはこれに憧れを抱くのだろうか?』
僅かにそんな思いが浮かぶ。
やがて影もまたその表情を僅かに変える事もなく、静かに動きを止めた……。
■視点:西坂
『艦載機部隊出撃用意!!』
ある星系。
そこで遂に『アライアンス』は悪魔艦隊と遭遇した。
まあ、艦隊とはいえ規模は大型艦2、中型艦5の規模だが。
厄介なのは上位悪魔が混じっているであろう船がどれかが分からない、という事だ。普通なら「でかい船のどちらかにいる」と言いたい所だが、実際にはどれにいるのかさっぱり分からない。さすがに魔王級となれば超大型艦に確実にいるらしいが……。
かくして、艦載機こと搭載【オーガニック】部隊の出番となる。
『アライアンス』も「悪魔艦隊」も頑丈なシールドを張っている為に遠距離攻撃では埒が明かない。ので……。
「シールドの内側に飛び込んで削れと……」
ある程度弱まれば『アライアンス』の砲撃で貫通出来るようになるらしいんだが……。
はっきり言って攻撃の破壊力がでかすぎる……。
一撃で小惑星クラスが崩壊しているし……。
「これ生きて帰れるのか?」
『地球から離れるごとにどんどん生還率が下がっていくような気がするよ』
『安心しろ、それは事実だ』
本当に神々という奴は何を考えているのやら。
その思惑とやらが判明したら、この状況も変わるのだろうか?……少なくとも現在の人類が導かれているのは間違いないらしいが。
というのも、人類の拠点は地球からほぼ一直線に伸びている。何故そうなるのか?
……目の前の状況がその答えだ。
そこから逸れよう、新たな航行ルートなり資源なりを探そうとするなり、こうして奴らは出現し、その逸れ具合が酷くなる程抵抗も激しくなってゆく……逆に危険すぎる宙域への侵入を妨害しているというのも事実らしいから、余計にややこしい。
逸れなければいいだろうと?
……生憎、宇宙は本当の意味で一直線に進める程穏やかでも何でもない。
一直線に進んでいると安定した航行が不能な宙域、危険極まる宙域が存在し、その手前から悪魔達の抵抗が出る。
無視して突っ込めば、危険な事になる。過去に実際に起きた事があるらしく、その時は危うく三番艦「イデア」が沈みかけたらしい。
なので、以後は素直に軌道を修正しているらしいのだが……手探りで進むからこうして時折悪魔艦隊と遭遇する事になる。少しずつ進路を開拓していく訳だからな……。今回も真っ直ぐ飛んだらこうしてお出迎えとなったらしい。
してみると、この先に危険宙域があるのか、或いは入り込んで欲しくない場所があるのか……それともルートが外れているのか?
『よーし、さっさと終わらせて飯だ』
ゴットフリート大佐……貴方の気軽さが羨ましいです。
そう思いつつ、編隊を組み、大佐に続く自分達だったとさ……矢張り生き延びる確率がより高くなる方を選択するのは当然だと思う。
神々のも少し登場




