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二時間目

「はぁーはぁーはぁー」

 共同区域にある『主門』と呼ばれている、いわば巨大な校門を通り過ぎた所でようやくミヨが足を止めてくれたので、ようやく僕も止まることができた。

「なによ、だらしないわねー。あんたそれでも男?」

 と言う反語を使ったすばらしい文学的な罵倒を浴びせられたところでそんな言葉耳に入るはずがない。なぜなら

『早く座り込みたい』

 という、まぁ簡単に言えば早く休みたいという感情と、

『座れば制服が汚れてしまう』

 という、制御システムが現在進行形で卑劣な戦争を繰り広げていりからだ。人の話しなど耳に入ってこない。

 そこにミヨが、

「ちょっと、私を無視するとはいい度胸してるわね」

 と、まるで某マンガのガキ大将でも言いそうなセリフを言ってからようやく僕の状態に気がついた。

 だがもう遅い。

 僕の脳みそだけにある『ミヨに見捨てられたら終わりだよ器官』がもう完璧に反応してしまっている。

 つまり、いついかなる、どんな状況であっても返事をしてしまうのだ。

「す、すいま、はぁー、すいませんでした、はぁー、次からは、はぁー、気よつけます、はぁー」

「ちょっ、ちょっと、そんなに無理してまで答えなくてもいいから、ね、落ち着いて、倒れたらタイヘンよ」

 と優しくミヨがなだめてくれ、その場は治まった。

 基本毎日こうなるのでミヨの対処もなれたものだ。

 結局倒れることはなったが、最後まはぁーはぁー言いながらの返事となったのでいちよう治まってから、

「ゴメン、なさい」

 とだけ言っておいた。


 無駄にかっこつけて、右利きなのに右に巻いている親父譲りの腕時計を見ると、現在の時刻は06:50を指していた。

 そういえば僕はこの後の約1時間25分間という長い時間の予定を聞いていなかった事を思い出し、

「す、すいませんが、これからどうするの?」

 と、癇に障らないように聞いてみた、すると

「そんなの無いわよ」

 この時僕が一番聞きたくなかった言葉がミヨの喉の震えと共に出てきた。

 ついでに言うなら、それを聞いて僕の体も震え始めた。

 もちろん怒りじゃない、聞いた瞬間の脱力感で立つのが精一杯になったのである。

(なんのための早起き?)

 この小さな文章だけが頭の中で何度も反響し、脳みそを混乱させた。

 そしてその後、役3秒間の沈黙の後にようやく僕の脳みそが思考についてきた。

「早起きは3文の得なんて嘘だー」

 なんて反逆的言葉は飲み込んで悲しげな笑顔だけ返しておいた。


「さて、すること無いしなにするかなー」

 ミヨがトボトボ歩きながらつぶやいた。

 僕が『どこかで休みたいなー』と言おうとした瞬間

「あんたこの学校の校舎よく知らないでしょ?あたしが案内してあげる」

 僕も男だ、どれだけビビリでも思春期の男だ、ミヨに満面の笑みでこんなこと言われると長い付き合いの僕でさえ恥ずかしくなる。

「どうしたの顔赤いわよ?熱でも出たの?情けない」

 やっぱりミヨはミヨのようだ。少し恥ずかしくなった自分が恥ずかしいそう思った。

「じゃ、行くわよ」

 どうやら僕に拒否権は無いらしい。とは言ってもすることも無いのでついて行くことにした。

 これから『また歩かされるのか』と思った瞬間ミヨが足を止めた。とても急でぶつかりそうになったが怒ることはもちろんできない。

「まずこの学校の校舎の配置について話しとくことにするわ」

 と、ミヨが言い出した。そこから間髪いれずに

「まずこの学校は・・・」

 約10分の解説。ミヨは頭が良いほうではあるが説明が極端にヘタらしい。

 ようするにミヨの解説をまとめると

 この学校は中央に『共同区域』といういわゆる学校の本拠があり、その周りにぐるっと共同区域を囲むように各学部の区域があるらしい。

 「さて説明も終わったし探検に行くわよー」

 と、ミヨが言い時計を見ようと左腕を見てミヨが凍りついた。見る限り時計を忘れたらしい。

 しかし、尋常じゃないショックを受けている。

「私が・・わすれ・・なんて・・・せっかく・・一緒に・・れるのに」

 ボソボソ言っていていてよく聞こえないので

「どど、どうしたの?」

 と聞いてみた。すると

「なんでもないわよ、そ、それより時計忘れたから取りに帰るから先に探検してて」

 と、慌てたふうに言い残して走り去ってしまった。

「あ~あ結果僕1人か」

 つぶやきながら武帝学部周辺をウロウロしてから共同区域に入った。

「ミヨまだ帰ってこないな」

 校庭を見るとチラホラほほかの生徒たちが集まりだしていた。

 そんなことを考えていると、とても豪華な扉の前についていた。

 その横には校長室と書かれていた。

 しかし、静かな廊下には校長室から聞こえてくる、なにやらもめているような声が小さく響いていた。

『なんだろう』考えていると、

 金ぴかの扉が勢い良く開いた。それと同時に見覚えのある格好をした生徒が出てきた。

 その生徒は、中の真っ赤な、鮮血のような色をしたシャツを見せびらかすかのように全てのボタンが開いたカッターシャツとブレザーを着ていた。

「あら、たしか朝会いましたよね。偶然ですねー」

 と、これまた気さくにしゃべりかけてきた。

「たた、確か蛇岸さんですよね」

 自分って2回目は結構いける人間なんだと思った。

「そうそう覚えててくれて光栄ですわー。そういえばあなたのお名前聞いてませんよね」

 と言われたので

「ぼぼぼ、僕は蛇川 雅代といいます」

 できるだけしゃべりたくないので1番簡単な答えを答えた。

「なるほど雅代君ね、じゃあマサであだ名決定ですね。あ、僕も蛇岸っての嫌いなんで火音って呼んでくだはったらええですよ」

「じゃ、じゃあ火音さんで」

「同級生ですし呼び捨てでいいですよ。喋るのもゆっくりで」

 やっぱり見た目によらず優しいようだ。

「わわ、わかった火音君」

「よしそれでええは」

 火音は深くうなずいた。

「ところでまさ君は自分の職業称号マイスターは知っとるん?」

「マ、マイスターって何ですか?」

 僕が聞いたとたん火音が固まるぐらい驚いていた。

「そうかマサ君は何にも知らんのやね。じゃあ教えてあげよ、1からな」

 なぜか火音は嬉しそうだった。

「まず人は生まれつき『アビリティー・コア』という各個人それぞれが指紋のように違う能力の基盤を持っているんだ。それをこの後にある入学式の後で調べるの。それを解析し終わったら、それを使用可能な能力、つまりは『アビリティー』にするための『サークレット』を作るんだ」

「あ、あの、結局マイスターってなんなの」

「ああ、マイスターってのは同じアビリティーの中でも人それぞれ違うから、まーアビリティーの詳細みたいなをマイスター呼ぶんや」

「あ、あとそれと1ついいですか」

 僕は恐る恐る聞いてみた。

「なんだか特別ななまり方ですね。どこ出身なんですか?」

 初めて会った時からずっと気になっていたので勇気を出して聞いてみた。すると

「俺はこの辺にある阿鬼雄あきおってとこに実家があるな。このなまり方は面白いから今日だけ特別にやってるんや」

 聞いた瞬間驚きすぎてい一瞬逃げたくなってしまったのを無理やり抑えた。なぜそれほど驚いたのかというと僕の家も阿鬼雄にあるからである。

「へ、へ、へぇ~そうなんですか」

 いろいろ聞かれるのが怖いので自分で聞いておきながら会話の中で全力の逃亡をしてみせた。


「あー、あー、これホントにマイクに入ってんの?、まあいいわ」

近くにあった放送用のスピーカーから聞いたことの無い声が聞こえてきた。

「もう少しで新入生の集合時間だ早く集まれー」

 とても力強く筋の通ったその女の、おそらく先輩の声を聞いてから僕は時計の針が8:10を指していることに気がついた。

「ややや、やばやば、やば、やや」

「落ち着いて、深呼吸して落ち着いて、で今何時?」

「8時10分です」

「やばっ」

 急に走り出した火音を追うように僕も走り出す

「今日は走ってばっかだ」

 毎日こうかと思うとゲンナリした。

更新遅くなってスイマセン><

学校の用事とか忙しくって

(もともと書くの遅いけど)


がんばって早く書くようにするんで応援よろしくです

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