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【書籍化決定】クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った  作者: 星野林


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一般的な島民アイネス

 私の名前はアイネス……八の島に住んでいる農民だ。


 褐色の肌というこの島特有の肌色を私も受け継いでおり、姫様と同じく銀髪……といっても私は鼠色に近い髪色をしているのが特徴的なごくごく普通の島民だった。


 あの日……魔王軍が八の島に攻めてきた日……私はたまたま親族の住む二の島に遊びに行っていたため生き延びることができたのであるが、親兄弟はあの戦災に巻き込まれてしまった。


 唯一生き延びることができたのは数ヶ月後に一の島のスラムで生活していた弟のみ。


 弟を見つけた時は飛び上がるほど喜んだが、情勢はどんどん逼迫していき、徴兵年齢の引き下げだったり、壊滅した島の住民を島の奪還という謳い文句で志願させて魔王軍と戦わせることで、なんとか戦線を維持している状況。


 私も生き残っていた弟を二の島の親族に預け、少しでも生活の足しにするために志願し、短期間の訓練を受けて、戦地に投入されたが、そこは地獄だった。


 押し寄せてくる強靭な魔王軍、ボロ雑巾の様に轢き潰される味方の兵士、聞こえてくる魔王軍の雄叫び、聞こえてくる仲間の悲鳴……。


 私も順番で死んでしまうと何度思ったことか……。


 しかし、それはある日突然終わりを迎えることになる。


 八の島に光の束が振り注ぎ、その2日後……私達が戦っていた島にも奇跡が起きた。


 ゴーレムの軍団が侵攻を始めたのだ。


 ゴーレムの軍団を見たときには私と味方の兵士達は終わりを確信したのだが、ゴーレムは魔王軍のみを攻撃し、私達には一切手を出さなかった。


 轢き潰していた側の魔王軍が轢き潰され、戦局は一変。


 主力を失った魔王軍は組織的な抵抗をすることができなくなり、私達が反撃に出て一気に瓦解。


 奇跡の大逆転を決めることができた。


 その大逆転のきっかけ……ゴーレムを操っていた冒険者が八の島に住み始めたって聞いた時にはお礼を言わなければと思い、八の島の復興が開始された時に軍を除隊し、弟を連れて早いうちに八の島に戻った。


 そこではあばら家での生活を覚悟していたが、石造りの立派な家が与えられるとして、家族と住んでいた頃よりも立派な家に弟と一緒に住まわせてもらうことができた。


「姉ちゃん、この家も英雄様が造ったって本当かな?」


「どうなんだろうね……でも英雄様のおかげで私達は柔らかいベッドでぐっすり眠ることができているからね。八の島に戻って家族のお墓を作ることができたのも英雄様のおかげ……感謝しないとね」


「うん!」


 八の島の復興が始まった当初、生活基盤が根底から破壊され尽くされていたので、厳しい状況になると思ったが、島長代理であるエリーゼ様の尽力により、配給制で食料は行き渡るし、畑も提供され、指定された作物を作りながらも、空いた土地には自由に作物を植えてよいって英雄様直々に言われたので感謝しながら弟と畑仕事に従事。


 畑も開墾作業からだと思ったが、土壌を作り、水路を作り、耕した上で、あとは種や苗を植えるだけの状態で私達に英雄様は提供してくれた。


 一番辛い作業を全部行ってくださったし、種を植えた作物は凄い勢いで成長を遂げて、1ヶ月そこらで収穫出来るようになっていた。


 私達の常識ではありえない成長速度だけど、これも英雄様の能力なのだとか……。


 もう英雄様には足を向けて寝られない。


 収穫した作物の大半は配給制が引き続き敷かれているので、税として徴収されたが、一部の自由に作ってよいって言われた作物は取られなかったので、新しく出来た街の市場で弟に売ってもらい、そこで得たお金で、英雄様の仲間が経営しているお店で商品を買うことができた。


 その日は久しぶりに肉を食べることができて、弟と楽しい食事をすることができた。


 そして一度収穫を終えた畑に、英雄様が生み出した肥料を大量に投入する。


 早く成長する分、土の栄養も早く消費してしまうらしく、肥料を多めに投入しないと、土が簡単に痩せてしまうのだとか……。


 それを聞いて私は納得した。


 再び種を撒いて、魔法で弟と一緒に水撒きをし、雑草も勢いよく伸びてくるので、これも魔法を使いながら草取りを行い……を繰り返していく。


 そうこうしていると、英雄様が能力を強化しようと言い出し、希望者から優先で、上位職に転職できる可能性が上がるという術を受けないかという御触れがでた。


 教会での転職との違いがよくわからなかったけど、今思うと、後々ダンジョンを探索する冒険者を島民で固めたかったんだと思う。


 事実、英雄様は農業に従事するにはまだ幼い孤児達にスライムを倒させる遊びをさせたりしていたから、何かあるのだとは思ったが……それが将来の冒険者育成とは思わないから……。


 儀式の内容は他言無用とのことで、弟にも言えないが、私と弟は英雄様のやることだから悪いことにはならないだろうとして、上位職への転職を試みた。


 すると私は英雄様にモンスターをテイムするみたいに一度捕獲されて、夢心地の時間(鍛える)を得た後に、レアリティアップ? というよくわからない術を受け入れるとステータスが大幅に上がっていた。


 最終的に逃されるとして、テイム状態から解除されたが、確かにこれは誰にも言うことはできない。


 人をテイムしているなんて知られたら邪道扱いされて、英雄様に悪評が広がるかもしれないから……。


「でも実際に上位職にはなれたな」


 私の場合、田舎娘という職業だったのが、カリスマ農家に役職が変わっていたし、同じく施術を受けた弟は部屋住みから、多くの人が成れないとされる魔法使いに役職が変わった。


 確かにこんな簡単に上位職やステータスが1.5倍ほど強く成れるのであれば、エリーゼ様も推薦して島民に施術を勧める訳だ。


 あと変わったイベントとしては、ゴム農園やアブラヤシの農園が再開して、元々この島の特産品だった、ゴムやアブラヤシの油が少量だけど輸出されるようになった。


 他にはそのゴムを用いて、英雄様の仲間の女性……アリス様が三輪車という魔石をはめ込む事で動力が動いて、走るより速く移動が出来る乗り物を量産していた。


 後ろに荷台を連結して取り付ければ、アイテムボックスを複数個載せられるので、収穫した作物を街に運んだり、配給される日用日や食料を家に運ぶのに凄い重宝していた。


 それに農地も働いている人が指定された量の作物か金額を支払えるのであれば自分の農地にしてしまっても良い……という政策が英雄様とエリーゼ様の連名で発布されて、私達農民のやる気はフルマックス。


 勿論英雄様から肥料を引き続き買わなければいけなかったりとか、作物の成長を早めているシンボルと呼ばれる装置の維持費とかを支払わなければならなくなるっていうデメリットはあるけど、まさかこんなに早く自分の土地が得られるなんて……。


 作物で支払いの場合、3年ちょっと……15回収穫出来る指定された作物を納め続ければ農地として貰えるらしい。


 能力の上がった私と弟は更に広い土地の管理が出来るようになったので、倒れない範囲で頑張り続けるのであった。





 3年後……私達は自分の土地を得ることができたし、私も人とは違う種族で魔人って言われている人達でもマッチョマンっていう黒光りしたイケメンなお兄さんと付き合うことに成功し、弟は牛娘というおっぱいの大きい牛の魔人と付き合い始めていた。


 私なんかお腹に彼氏の赤ちゃんを授かったし……。


 どっちの種族で生まれてくるか分からないけど、自分の土地を得られたことで、金銭的な余裕も生まれてきたし、弟と話し合って街から少し離れた場所に新しい広い農地を貰って、増えている魔人の人達を従業員として雇って、会社みたいに経営することができないかと考え始めていた。


 英雄様に伺えば、魔人の人達を紹介してくれるし、今この島での主力の労働者は魔人の人達。


 私と同じ考えの農家も多くて、魔人の人達を雇って収益を上げている人達もいる。


 そう考えるとやらない手はないだろう。


 ダンジョンも稼働して、島の賑わいも少しずつ戻ってきているし……本当に英雄様々だ。


 あとそう言えば3年間の間に英雄様が魔王軍の幹部を仲間にしたって話が出ているけど本当なのだろうか? 


「あ、クラリンさん。こんにちは」


「こんにちは〜」


「相変わらず凄い格好してますね」


「ふふ、このボディになってから絶好調なのよ! 今日もダンジョンで稼いでくるから! アイネスも旦那と仲良くねー」


「はーい」


 青紫色の肌に電撃の魔法や治癒の魔法を使いこなすクラリンさん……同じ女でもかっこいいって思っちゃう。


 これが最近の私の日常です。

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