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クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った  作者: 星野林


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50階層のボス

 レベル75になって俺は地図を作るという技を覚えることができた。


 頭の中にミニマップみたいなのが浮かんできて、インベントリの中に紙があれば、それに転写することができるという……ダンジョン探索をしている俺にとってはとてもありがたい技である。


「となると……だ。こういうこともできたりして……」


 俺はクリエイティブモードになった状態で、壁抜けしながら飛び回ると、頭の中の地図がどんどん埋まっていくのがわかる。


「こりゃいい。51階層から下もクリエイティブモードで飛び回って地図を作ってから皆と共に行動すれば、事故になる確率も減らせるだろう」


 地図を作るという技は強力だが、クリエイティブモードが無法すぎないか? 


 階層隅々まで歩き回ると、半日はかかる。


 今日の49階層のモンスターハウス5箇所巡る移動に2時間、倒してから素材集めに1箇所45分……合計7時間。


 ダンジョンの深層が深くなればなるほどダンジョンの階層ごとの面積は広くなるため、30階層はモンスターハウスの場所は5箇所だったが、49階層は分かる分だけでも12箇所ある。


 1日じゃとても回り切ることができないことも判明した。


「これなら湧き直しの時間も含めて、50階層も含めてローテーションした方がいいな。宝箱は時間が経過すればするほどよいものが出やすいからな」


 他の皆も頷いていた。


 ミンナが現在時刻を教えてくれる魔法を使うと、現在夕方の5時過ぎ……。


「今日は切り上げて終わりとしようか。明日は50階層に挑むのと、50階層のボスと戦ってみるか……誰戦う?」


「ゴーレムに戦わせるでいいんじゃありませんか? 駄目そうなら私とミンナの火力で消し炭にしますが」


「そうするか」






 ホノカ亭に戻った俺達はそれぞれ風呂に入った後に夕食をいただく。


「いやぁ、今日は49階層でも地図に載ってない場所に突入したから、高値のマジックアイテムが大量に出たな」


「ところで何でミミックはアリス目掛けて噛み付くんだろうか……アリスなんかした?」


『わかりません。ただ古代文明でもこの様なダンジョンを作り出すことは不可能だったはず……確かにモンスターが湧き出るのは地上でも起こっていることなので、自然の摂理と言い切れるのですが……ここはその流れを誰かの意図で変換してモンスターやマジックアイテムといった物質を生み出していますね』


「ラミー(ラミア娘)からの情報ではそこまで事は聞き出せなかったが……」


『そりゃ生産物は製造過程は分かったとしても、創造主の思考までは読めませんし……100階層に行けばわかるかもしれませんよ』


「クリエイティブモードを使えば簡単にいくことはできるかもしれないが……勇者じゃないと倒せないモンスターがいるらしいからな。あー、俺だけだったらそのモンスターを避けて奥に行けるのか」


「行ってみちゃいます?」


 マリーがいたずらっ子っぽく俺に聞くが、俺は首を横に振る。


「せっかくだ。門番は倒してから堂々入ろう。ダンジョンの謎を探求するのが目的でもないし……あくまでサブクエスト……寄り道だ」


「それもそうだね。金稼ぎがメインだもんね」


 ツルツルと今日は魚介で出汁をしっかりとったスープに中華麺を入れて、ラーメンっぽい料理を食べていた。


 朝市で買ったお肉は明日使うとのこと。


 アイテムボックスの中に綾乃が魔法で作った氷を大量に入れて、冷蔵庫みたいな役割を担っている箱をいつの間にか作っていた。


 言ってくれれば冷蔵庫くらいなら購入するのに……。


 今は困ってないから大丈夫だよと綾乃はいうが。


(そのうちプレゼントするか……有ったら絶対便利だしな……)


「そう言えばサイトウさん、大豊作の技使いました?」


「ああ、裏の畑に使ったな」


「今日のサラダ、畑で採れた野菜を沢山使ったんですよ!」


「おお、そうか……うん、シャキシャキした食感で美味しい」


「でもあの勢いで成長したら直ぐに枯れてしまわないでしょうか?」


 確かに、毎日ステータスの種は収穫していたから分からなかったが、今日で全部食べられる訳でもないし、俺がダンジョン探索終わりに裏の畑を見に行った時も取り残しが無数に残っていた。


「直ぐ枯れるようなら新しい苗を買ってきてまた植えるよ。ちょっとダンジョンの中っていう特殊な空間だと、技を使わないと育たないかと思ってね」


「なるほど……確かにそれはそうですね!」


 アカリも納得してくれたっぽい。


 そんな会話をしながら食事が終わり、洗濯物をホノカ亭の外の空間にある物干しに干していく。


 出来れば外で天日干しをしたいが、ダンジョン探索が休みの日に郊外で干すことにしよう。


 それ以外はこの空間で洗濯物を干す。


 後で綾乃が洗濯物を乾燥させる魔法を使って、一気に乾かすのでね。


「これでよしっと」


 時刻は夜の7時……普通なら寝る準備を始めるが、ちょっと外でやりたいことがあるので、ダンジョンの外に出て町を歩いていく。


「ここだよな?」


 クリエイティブモードになり、薄暗いスラムのあるエリアを空を飛んで、進んでいく。


「うーん、闇ギルドって言うけど、そう簡単に場所はわからないか……ん?」


 ローブを被った集団が建物の中に入っていくのが見えたので、壁の隙間からこっそり中を覗いてみる。


「闇カジノか。そういうのもこの町にあるんだな」


 スロットっぽい機械やルーレット、トランプを使って賭け事に興じている人々が多かった。


「たぶんこの種類は転移者が関わってるんだろうな」


 昔の転移者がトランプを作ったのが先か、カジノを作ったのが先か分からないが、見る限りルールが洗練されていたり、カジノの雰囲気が地球で想像できるアメリカとかにあるカジノそのまんま。


「行政は見て見ぬふりか……どうなのか分からないけど」


 ニュルンと壁から顔を引き抜く。


「こういう場所を野放しにしてるから汚職が蔓延ると思うんだけどなぁ……」


 その後も闇ギルドっぽい場所を探してみたが、特に見つからずに、今日は空振りに終わるのだった。









「今回も凄い量持ってきたな」


「ええ、49階層付近で狩りをしてきたので……換金お願いします」


「あいよ!」


 翌日、俺はスズナリさんに換金をお願いして、モンスターの素材や魔石、マジックアイテムを渡していた。


 仕事が早い男スズナリさんは30階層の時よりも大量の素材をテキパキと査定していき、俺に金額を提示してきた。


「今回の金額は300万シンクだな。量が量だったから端数は割り増して査定して、切りよくしておいたぞ」


「ありがとうございます」


 内訳を見ると、マジックアイテムが1個平均10万シンクの値段が付いていて、それが20個あったため、それで200万シンク。


 あとは魔石や魔物の素材がそれぞれ50万シンクずつで300万シンクって感じだ。


 マジックアイテムの回収が毎日これぐらいは厳しいが、50階層前後でこれだけ稼ぐ奴はそうは居ないと太鼓判を押された。


「よくて100万シンクってところだな。それも2日くらいかけてで、1日で300万シンクはマジックアイテムの換金率が高かったのもあるが、十分に上振れだ」


 中には30万シンクの値段が付いたマジックアイテムもあったのでそれを考えると、確かに上出来だろう。


 となると今回が上振れとして、250万シンクくらいがアベレージになるかな? 


 1ヶ月49階層と50階層で稼げば、7000万シンク……うーん、十分に稼げてはいるが、もっと深く潜ればもっと稼げることを考えると……目標の20億シンクを貯めるには70階層くらいで稼ぐのが適切かなぁ。


 71階層から不思議のダンジョンみたいにフロア構造が毎日変わるって言われたし……。


「もう少し稼ぎたいですね」


「絶対に無茶だけはするなよ」


「わかってますよ」


 こういう時に気遣ってくれる言葉が出てくるスズナリさんの性格の良さがにじみ出ていた。


 行政は腐ってるかもしれないが、こういう人がこの国を支えているんだろうな……って。








 その後、一度倉庫経由で30階層の秘密の空間にあるホノカ亭へと戻り、皆の準備が整うのを待ってから、今日は50階層に潜る。


「余力があるうちにボスに挑んだほうがいいよな?」


「そうだけど、私達ってモンスターハウスで仲間のモンスターが戦っている時は暇だから余力も何も無いと思うけど?」


「それはそう」


 ミンナの冷静なツッコミが今日も冴え渡る。


 直ぐに50階層のボス部屋の前に行くと、立て札が置かれており、そこには


『80階層のモンスターより明らかに強い為、挑む者は注意されたし』


 とのこと。


 俺は一応クリエイティブモードになっておき、ニャンとカグヤが扉を開ける。


 中には白い球体……いや楕円形の球体に人の手足が4本生えていて、顔面が【 ^o^】こんな感じのニコニコした人らしき姿をした化け物がそこに鎮座していた。


 ホモォ──ー


 5メートル近くある白い化け物が雄叫びを上げる。


 今まで見てきたモンスターとは明らかに別系統で異色の造形をしている。


「ゴーレム軍団行け!」


 俺はゴーレム軍団を外に出して、ホモォホモォと叫ぶモンスターに対して攻撃を仕掛ける。


「危ない!」


 ホモォ──ー


 白い化け物の口に光が収縮すると、咆哮と共に放出。


 ゴーレム達の体が熱せられて輝く。


 こちらに光線を放ってきたが、ミンナとマリーが咄嗟の判断で魔法防壁を展開して、光線は周囲に離散する。


 その間もゴーレムは光線の中を突き進み続け、白い化け物の手足にしがみつくとタコ殴りを開始。


 ホモォ……ホモォ……


 ゴーレムを振り払おうと叫び続ける白い化け物であったが、徐々に鳴き声は弱まっていき、最後は光になって消えてしまった。


 後には宝箱が残されていたのだった。






 宝箱から出てきたのは魔導書でタイトルはウ=ス異本と書かれており、内容は男の人が魔法について肉体を使って教えるというほぼBLに近い内容であるが、これに食いついてしまった仲間が一人……


「であります……でありますかぁ……」


 これ以後、カグヤは何故か腐海に落ちてしまい、俺を被写体にしたBL小説を描くのが趣味になるという悲しい出来事が起こるのであった。


 ちなみにウ=ス異本は換金したら100万シンクの値がついた。





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