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ツインデッド・オルド・オール 20XX年  作者: 赤沼 夜


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第6話 東京

「そこのお兄さん、人形劇を見ないですか?」


 ビルとビルの間にある空き地にテントが建っていた。テントは珍しいが、時間がなかったので、チラリと視線だけ送って通り過ぎようとしたら、大きなリュックみたいな物を背負った人が近づいてきて、声をかけてきた。

 

「人形劇?」

「無料だよー」

「無料なら……」


 テントに入ると、座席には子連れの親子や子供たちが座って何かを見ていた。

 明らかに場違いなところに来させられたと思ったが、とりあえず見ることにした。舞台上では目だけが空いた服を着た人が立っており、手には人形をつけている。その人形を見てみると、妖精と棒人間? なんか見たことあるような。


「え! なんで」


 周りがチラリと俺を見た。その人形は夢で序盤あたりで案内役の妖精を召喚した時に出てきたヤツに見えたからだ。しかし、よく見ると、夢で見たものとは違うみたいだ。

 しかし、俺は後悔する事になった。人形劇の話の内容は支配者が日本人を刺し殺すとい過激な内容だった。その話を子供達が笑って、大人達は笑顔でその様子を見ているという状態だった。

 俺は気分が悪くなり、テントから離れた。

 東京などの都市部は特に日本人に対する当たりが強い、街並みは日本なのに、周囲を見渡すと日本人はいなく、外国人しかいないというこの異常な状態を作り出し出した支配者とやらを日本人で許せる者はいないだろう。


「君大丈夫かい」


 ベンチで腰をかけて座っていると、男性が声を掛けてきた。

 顔を上げると、そこには茶髪で東京防衛隊の衣装を纏った男性が立っていた。

 胸には支配者直属の者がつけている紋章を付けていた。なりによりも気になる事に、その男は日本人に見えるという事だった。


「いや、近くのテントで見た劇あまり好きではなく、気分が悪くなったんだ」

「あーあれか、あの劇は確かに日本人からみると酷いよね。許せないって気持ちがあるよね」

「それで、東京防衛隊でさらに高い地位をお持ちの人が俺になんの用事だ」


 俺は強気な発言をしたが、内心はビクビクしていた。東京防衛隊の人達にケチをつけられたら、して無くてもした事にされるということなど、あまりいい噂を聞かない。

 その男性は先程の明るい表情から、目を薄めに開いて、真顔で俺を凝視している。その威圧感に俺は本能的に男性は危険なものだと判断していた。咄嗟に腰にある拳銃を押さえた。


「君は松永浩介、必殺技を使い、様々な強敵を倒してきた、しかし現在はその必殺技を使えない事で雑用をこなすことになったわけだね。なるほど、君の使っていた車は買い物用だから1人用だったんだね」

「今の目を薄めたやつで、わかったのか?」


 一体どんな技術を使ったのだろうか、見た感じスキャナーの類はつけてないように見える。


「君に逢いたい人が私はただそこに案内するだけさ」


 意味も分からずついて行くしか無かった。東京防衛隊に逆らったら何されるか分からない。


「少し待ってくれないか、俺は今任務中で勝手な行動をしていたら、怪しまれるかもしれない」

「ああ、そうだったね。ならこれを付けておくと良い」


 手渡しされた物は小型の端末というには薄いカードのような物だった。


「これは?」

「これを持っておくと、君の位置情報は買い物をしているルートを進むように見えるようになる」


 いつの間にそんな物を作っていたのだろうか、事前に俺の行動を把握することは可能かもしれない、東京防衛隊でさらに支配者直属の部隊となると、会社が提出した内容を自ら確認することも簡単だろう。

 このカードみたいな物を身につけるだけで、都市全体をジャミングをかけるなんて事が起きている可能性があるのか、流石東京防衛隊ということなのか。

 男性について行くと、青と黒の東京防衛隊のイメージカラーで彩られた車の前に着いた。

 車の中に入ると、座席に座るように促された。車が空に向かって浮き始めた。建物がどんどん小さくなっていく。


「君は支配者について偏見を持っているみたいだね」

「え?」

「私が日本人だとわかった時、何故日本人が東京防衛隊にいるんだと思ってたのだろう?」

「えーと」

「支配者は本当は日本人が好きなんだ、その印に東京など一部の都市はなるべくそのまま残している」

「……?」


 俺は男性が何を言っているのかが分からなかった。支配者は大量のロボットを日本に送り込んで、大量殺戮を起こし、日本を恐怖の渦に突き落とした。その後、大都市以外はプロット〇〇なんて名前つけた人、日本人にとっての敵だ。

 支配者直属なのだから、何か聞いていることはあるのだろうが、日本人が好きという謎発言に疑いの目を向けた。


「日本人の強さに憧れを持っている。日本人には憎悪、憎悪、怨恨、怨嗟、嫌悪それらが心を強くする。私はそんな強さを持った日本人を知っている。だかこそ見たい、もう一度見たいその輝きを」


 支配者の話なのか自分の話なのか、ハッキリして欲しい。俺はその話を聞くふりをして、聞き流すことに決めた。


「着いたよ」


 さっきの話は何も無かったかのように涼しげな笑顔で俺に顔を向けた。


「あ、ああ、わかった」


 俺は今すぐこの場から去りたい気持ちが心を埋め尽くした。


「このま真っ直ぐ行く時、君を待っている人がいる。また、もし何かあっても東京防衛隊は助けることはできない」

「わ、わかった」


 意識を朦朧とさせながら、歩き始めた。

 なんだか、とても変な気分だ。あの車の中は変な匂いが漂っていたように感じる。


「それじゃあ、さようなら。なんだか、また会える気がするよ」

「……」


 会いたくない。


 言われた通りに真っ直ぐ道を歩いていると、誰かが待っている事が確認出来た。

 少女の纏う衣装は、現実の街並みに似つかわしくないほど装飾的で華やかだった。

 青いベストの中にフリル襟ブラウスを着ており、スカートはレースとフリルの波に包まれ、彼女自身が非日常を体現しているように見える。

 まさに貴族の装い、この現代に何故貴族達は昔の衣装を好むのか分からなかったが、実際に見てみると高貴さがある。

 そんな服装に見知った髪型、ミッドナイトブルーの濃い青色のツインテールを靡かせている。


「リーア?」

「ラーメンさん」


 振り返りながら、コバルトブルーの瞳で俺を見つめて、笑顔なリーアの姿があった。


 ――――


 東京防衛隊の車の隣に10倍以上大きい車が飛んでいる。どんどん近づいて、2つの車の間に道ができた。その道を歩くのは茶髪の日本人男性。


「お帰りないさいませ、支配者様」


 支配者と呼ばれた男性は顎下から何かを掴んで、マスクを外した。薄紫色の髪、赤い瞳、青白い肌の男性が現れた。

 

「どういうことだ!! 面白い日本人がだからと私はわざわざ出向いたんだぞ、それがなんで、必殺技を使って舐めてるからと、必殺技を使えなくさせてあげた奴なんだ? 説明はあるんだろうな」


 ギラギラとした目でメイド服を着た巨乳の女性を見た。


「安心してください、何故リーアが松永さんを選んだのか、順を追って説明いたしましょう」

「ふむ、聞こう」

「リーナさんを強化手術を行う時、電脳空間の共存の実験を同時に行った事を覚えていますか?」

「なるほど、リーアは基本、人と会う機会滅多にない、その為、普段プロット4にいる奴と知り合いになれるわけが無い、あるとしたら実験中の電脳空間となるのか」

「何より、松永さんは遊びついでに入れた能力持ちでした」

「なるほど、能力持ちか、そりぁさぞ活躍したのだろ」

「この前、私が電脳空間の天使役を行った事を覚ていますか?」

「確か、変な名前付けたとか……お前の好きなラーメンだったか?」

「はい、その人物が松永さんですね」

「なるほど、リーアが仲良くしていたのはツキユ、グラス、フライヤ、ニアそしてラーメンだったな」

「はい、その中で目覚めているのはニアとラーメンのみ。何よりもツキユはプロット23、グラスはプロット12、フライヤはプロット32にいる為、難しいですね」

「確かにその中だと松永が1番相応しかったということか、松永がラーメンと考えたら確かに面白いかもしれない」


 支配者は窓がある方に歩いた。


「日本人が強くなった時にあの時以上に強い兵器を作っておかなければならい、今日が初の出陣だ。面白い物を見せてくれ、リーア」


 自信に満ちた表情で街を眺める。その目に映るのは、期待か希望か、あるいはその両方か──感情は、その者しか分からない。

 

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