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ツインデッド・オルド・オール 20XX年  作者: 赤沼 夜


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第2話 仕事

 俺は現在地上1000mの場所にいた。


「頭が回らない……」

「大丈夫?」

「家がめちゃくちゃで、朝ごはんちゃんと食えなかったんだよ」

「ふふん、そんな事があるかもと、こちらを用意したよ」


 棚から瓶のようなものを取り出した。それを俺に渡してくる。


「どうぞ」


 森咲は笑顔で俺に渡してくるが、俺の表情は苦笑い。これはいわゆる飲むだけで、様々な栄養素を摂取する事が可能な完全食な訳だが、なんといっても不味い、栄養のあるものは不味いと言うならまさにそれだ。


「今回のミッション失敗したらやばいよ?」

「わかった。わかったから」


 少しずつ飲むと、苦しみが続きそうだったから、一気に飲むことにした。


「あーーー、あーーー、不味い、不味い。なんでこんなに不味いんだよ」


 実は完全食が全て不味いという訳ではなく、味が美味しい種類は存在している。しかし、値段が高い。

 

「そういえばさ、もう装備はチェック大丈夫?」

「見た感じなんとも無かったよ」

「本当に? 家に誰も居なくて、しかも穴が8日も放置されてたんでしょ? 本当に大丈夫なの?」


 そんに心配なら、何故放置していたんだ、と言いたいところだったが、やめておく事にした。

 

「ちゃんと点検に出したけど、なんとも無かったよ」

「ならいいけど」


 現在車内にいる訳だが、この前の森咲が乗っていたZaとは違って、しっかりとした会社から借りている戦闘用の車だ。


「今回の作戦をもう1回説明するね」

「ああ」

「今回の作戦は簡単に言うと高層ビルの真ん中にいる。でかいヤツを殺せなくても撃退すれば成功ってこと」

「簡単に言うとそうなるな」


 今回行く高層ビルは現在、ある組織によって乗っ取られている状況にある。それを取り戻す為に俺らの所属する会社に依頼がきた。

 相手に結構厄介なやつがいる。身長3m、多重構造のパワードスーツを着ており、圧倒的パワーで様々な敵を粉砕してきた怪物。その怪物が高層ビルの真ん中にある大きい空間で警備している。そいつを倒さないと、この作戦は成功しない、そして、そいつを倒す為に俺が呼ばれた。俺には必殺技がある。それが、俺が選ばれた理由だ。

 作戦はまず、俺と森咲が2人で怪物を引き付けて、その間に別の部隊が他のやつらを倒すという非常にシンプルなものになっている。

 事前に防衛状況を確認してきた仲間に聞いたところ、相手は怪物さえいれば大丈夫だろうと、考えているのか、殆ど雑魚しかいないという報告が来ている。


「作戦まであと数分だね」

「もうそんな時間かよ」


 壁に付いているタッチパネルを操作すると、空中にディスプレイが出てくる。最後帰る場所は既に決めているから、その座標を設定して、呼べば自動で来てくれるようにしておいた。

 車の扉の前で、森咲の言葉を思い出して、念の為、装備を再度確かめた。

 特に異常は無かった。


「よし、行くか」

「うん」


 顔にマスクを被って、扉を開けて、空を飛んだ。パラシュートなしで空を泳ぐ、目的の建物に近づいて、ビルの中間あたりが見えてきて、ガラスを破壊しながら中に侵入した。

 俺達は、身体に組み込まれた装置と機構が組み込まれた装備をつけることで爆発的に上がった身体能力によって、今までの人間では到底出すことが出来なかった能力を出すことが可能になった。


「えーと、怪物はーー」


 前を向くと、待ってましたと言わんばかりの、怪物が俺達向かって突進を繰り出すところだった。


「――ッ、早い」

「私がーー」


 森咲が足を前に出して、その突進を止めようとしたが、不可能だ。想像よりも早い怪物の突進をもろに受けて、パリンというガラスが砕ける音と共に外に出された。空に飛ばされながら、俺は腰からゴムを出した。それを高層ビルのてっぺんの細長アンテナに向けて伸ばす。

 高速で飛ぶゴムは予想通りにアンテナに巻き付く、ボタンを押すと、ゴムが巻き上げられて、気がつくと高層ビルのてっぺんに浮遊していた。さっき飛ばされた方とは逆の方に落ちながら、腰に付いているユニットを展開する。カチャカチャと変形する音が微かに聞こえる中、高層ビルの真ん中辺りな到達した時に轟音を発した。腹の底から振動が這い上がりながら、高速に前に進み始めた。

 ガラスを破り、外を眺めていた怪物を後ろから蹴り飛ばす。不意をつかれた怪物は高層ビルから外に飛んでいく、気絶をしたのか、無抵抗に地面に向かって落ちていった。


「綺麗に飛んで行ったね」


 森咲が下から這い上がってきた。


「あとはあいつらか」


 背後を見ると、スーツを着たボディーガード達と人型ロボットが俺達を見ながら武器を構えている。


「まだ、ブライトさんの隊は来てないみたいだね」

「そうだな」

「なら、私達でやっちゃおか?」

「ああ」


 俺と森咲に向かって、相手は考え無しに、突っ込んできた。


「おおーー」

「ハイジョ、ハイジョ」


 俺と森咲の方に鉄砲で、バンッバンッと撃ってきた。俺は左に、森咲は右に回り込むように走って銃弾を避ける。何発か貰ったが、来ている服は防弾仕様で鉄砲で穴が空くことはまず無い、しかし、衝撃を無くすことは出来ない。

 コートの内ポケットに入れていた拳銃を取り出して、相手の頭を狙って発砲した。バシュッと音を立てながら、相手に綺麗に命中した。そのまま足から崩れて倒れ込んだ。

 頭から血を流し、明らかに死んだ仲間を見た、ボディーガード達が動揺する。


「く、くそ」


 ボディーガード達が前を見た時には俺の姿はない。


「こっちだぞ」


 柱と柱の間をジャンプして移動していた俺は、上にいた。


「上にいるぞ!!」

「いつの間に!?」

「わけ、わかんねーよ」


 ボディーガード達が俺を見つけて、拳銃を上に向ける。バッ!ババッ!ババッ!!横から森咲がボディーガード達の持っている拳銃に向かって発砲する。ボディーガード達の手から拳銃が落ちた。

 拳銃が落ちた事を確認して、俺は上から飛び降りながら、真下にいたボディーガードを蹴っばした。転がるように着地して、そのままボディーガードを殴る、蹴る。

 床に落ちた拳銃を取れないままボディーガード達は素手応戦することになった。

 力の差は歴然でバッタバッタとボディーガード達が倒れていく、森咲の方を見ると、ロボット達が森咲を囲むように迫っていたが、黒い刀でロボットの腕やら足やらを切っていた。

 あらかた倒し終えて、床にはボディーガード達とロボットが倒れている。

 ボディーガードはスーツを着て、拳銃を持っていたが、明らかに戦い慣れてない連中だった。ロボットも戦闘に特化したロボットのようには見えなく、普通のロボットに戦闘プログラムを入れただけのように見えた。本当に怪物だけが頼りだったのか、それともまだ増援がいるのか判断出来ない。


「とりあえずここで待機になりそうだな」


 森咲が同意しようとした時、外から太く響くエンジンの音が轟いた。

 音の方を見ると、そこには怪物が立っていた。


「君が噂の日本人……松永と言ったか? やるな日本人なのにな」

「突然どうした?」


 唐突な差別発言に眉を寄せる。

 

「ところで、少し前にプレゼントを家に送ったんだが、受け取って貰えただろうか?」

「プレゼント?」

「しかし、全く最近の医療技術はすごいと思わないかね」

「何が言いたい」


 怪物は真顔で俺を見ている。俺の表情を確認している。

 

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